地域から起こるこれからのワークライフスタイル探求プロジェクト

人の「暖かみ」と「煩わしさ」は表裏一体 ――海士町・巡の環を訪問して(1)

2015年5月11日



人の「暖かみ」と「煩わしさ」は表裏一体 ――海士町・巡の環を訪問して(1)

今回のイベントに先立ち、プロジェクトメンバーたちは島根県・海士町でフィールドワークを行いました。どんな気づきを得られたのでしょうか。富士通デザイン 高嶋大介さん、NPO法人ミラツク代表 西村勇哉さん、株式会社巡の環 代表取締役 阿部裕志さんがフィールドワークを振り返り、地域を拠点にしたワークライフスタイルについて語り合いました。阿部さんが感じる現代の働き方や仕事観を起点に、Iターンをした阿部さんの地域への思いを全3回でお届けします。
<参加者>
西村 勇哉(NPO法人ミラツク 代表理事)
阿部 裕志(株式会社巡の環 代表取締役)
高嶋 大介(富士通デザイン株式会社 チーフデザイナー)

地域特有の「煩わしさ」は、確実に薄れてきている

高嶋 「これからのワークライフスタイル探求プロジェクト」の全3回のフィールドワークで共通していたのは、その地域に縁もゆかりもない人がその地域の課題に挑んでいること。僕もそうですが、都会に生まれて地域がないから地域に魅かれるところもある。そういう地域への入り方について、阿部さんはどう思われますか?

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「世代間で共同体における人との関わり方が変わってきた」と話す巡の環 阿部裕志さん(写真中央)

阿部 僕らの祖父母の世代は地域に住んで共同体の範囲が狭く、自分を出せば他人とぶつかって息苦しかった。それが高度成長期の父母の世代は、都会に出てのびのび自分の可能性を試せた。都市で生まれた3代目、つまり僕らの世代になったとき、今度は「他人との関係が薄くなって寂しい。もう少し人と人との関係が暖かく、自然との距離も近いほうがいい」と思う人が増えはじめているように感じます。

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阿部さんによる、人と人との関わり方の変遷を表した図。個人(赤丸)と共同体(オレンジの枠)の範囲、関わり方は時代ごとに変わってきた(提供:阿部裕志)

ただ、間違っちゃいけないのは、昔に戻ればいいわけではない。人の暖かみと煩わしさは同じカードの表と裏。父母の世代が地域から都市へ出ることによって捨てた「人の暖かみ」というカードをもう一度拾えば、もれなく煩わしさもついてきます(笑)。

祖父母世代の関係性を“地域1.0”としたときに「自分を出しても他人とぶつかりにくく、自分らしく生きられるけれど他人との関係性もちゃんとある」、いわば“地域2.0”の状態にしないと、若い人たちは地域にやって来ない。

西村 海士町に若い人たちがたくさん移住してくることによって、その煩わしさは薄れているんでしょうか。それとも地域の暮らしはやはり昔のままですか?

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阿部 間違いなく薄れています。20年くらい前にIターンしてきた人と話をしていると、やはり当時と今ではまったく違う、と話します。そもそもIターンなんて言葉もなかったし、「よそ者が!」と叩かれてしまっていた。そのころ地域に移住して残っている人は、どれだけ殴られても倒れない“ゴリゴリのファイター”が多いんですよ(笑)。

でも、最近はそうでない人も残りやすくなっている。でも、地元の人から見れば、以前は島まるごと親戚みたいだったのに、最近では知らない人が増え過ぎて、これでいいの? みたいな声があるのも事実。暖かみと煩わしさの表裏カードは相変わらずあるんだけど、煩わしさのほうが薄くなって、さらにそこから人間関係が希薄になる兆候が見られるのは確かです。

地域の人間関係が持つ独特の「煩わしさ」が薄れて、地域に入り込みやすくなっている一方、人が増えすぎていて暖かみも感じづらくなってくるのではないかという阿部さん。しかし、海士町には移住者、移住希望者が絶えません。「海士町」が人を惹きつける要因を掘り下げます。

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