よこまなプロジェクト

学びの未来はエンターテインメントとともにある ――よこまなプロジェクト 第2回公開ワークショップレポート

2015年7月16日



学びの未来はエンターテインメントとともにある ――よこまなプロジェクト 第2回公開ワークショップレポート

横浜を拠点に、子どもたちが「主体的な課題設定力」と「粘り強い問題解決力」を身につけるための、新しい教育のあり方を考える「横浜でつくる学びの未来プロジェクト(通称:よこまなプロジェクト)」。全3回の公開ワークショップでは、ゲストの実践を通じて新しい教育への考えを深めます。「何を学ぶか」を議論した第1回に引き続き、第2回の焦点は「いかに学ぶか」。学び、メディア、デザインの3つの視点から新しい学びの場を構想し、実践的な研究を行う同志社女子大学 現代社会学部 特任教授であり、ネオミュージアム館長でもある上田信行さんをゲストに迎えました。

セサミストリートの舞台裏で知った「学びの原点」

2015年6月2日、よこまなプロジェクト第2回公開ワークショップが、第1回に引き続き、横浜市の「みなとみらいInnovation Future Center」で開催されました。今回のゲストは、日本におけるワークショップ実践の第一人者であり、「子ども学」の研究者でもある同志社女子大学 現代社会学部特任教授の上田信行さん。

同志社女子大学 現代社会学部 特任教授/ネオミュージアム館長 上田信行さん
同志社女子大学 現代社会学部 特任教授/ネオミュージアム館長 上田信行さん

上田さんがワークショップと出会ったきっかけは、1970年代に日本でスタートしたばかりの「セサミストリート」でした。同番組に触発され、「“楽しさの中に学びがあふれるような”未来の教育について研究したい」という一心で、アメリカへ留学。現地で「セサミストリート」制作の舞台裏を見学し、今でも忘れられない衝撃を受けたそうです。

「制作担当者だけでなく、教育やエンターテイメントの専門家たちが楽しそうに番組をつくっていました。もちろん、ただ楽しんでいるだけではありません。同時に、『貧困の連鎖を断ち切るには教育しかない』という信念を皆が共有し、そのうえで『いかに良い番組を子どもたちに届けるか』について、真剣な議論が行われていました。対話を通じて大人が学んでいる光景を見て、これが学びの未来だと直感したんです」

その後、80年代にはMIT(マサチューセッツ工科大学)のドナルド・ショーンを中心に、学びにおける「リフレクション」の重要性が提起されていました。リフレクションとは、自身が体験した物事について振り返り、省察しながら他者と対話し、より深く学ぶためのメタ認知的行為のこと。ワークショップでも、他人と会話することで新たな気づきを得るリフレクションが大きく影響しています。上田さんはアメリカでの留学体験を通して、そのことを実感したのです。

アメリカ留学で学びに関するさまざまな理論や人々に触れ、大いに刺激を受けた上田さん。その後、実践の場として自費でミュージアムを建築するなど、精力的に実践・研究を積み重ねていきました。そのなかで生まれたのが「プレイフル・ラーニング」という概念です。「プレイフル・ラーニング」とは、人々が集い、ともに本気でものごとに取り組むなかで起こるワクワク感溢れる学びを差す言葉。上田さんは、その実践を積み重ね、今日の日本で誰もが学びのかたちとしてイメージする「ワークショップ」の輪郭をつくりあげていったのです。

上田信行さんによる発表

学びをより深く洗練させる「メタ認知」

上田さんは、「学び」の風景を4種類に分類し、パフォーマンスや経験値において、現在の学びがよりダイナミックでプレイフルな方向へと急速にシフトしていることを指摘しました。

「旧来の学校型の学び、これをラーニング1.0とすると、2.0はより能動的なスタジオ型になります。ファブラボやアトリエなどの工房での体験学習が代表的ですね。3.0はステージ型で、オーディエンスに喜んでもらおうと、一生懸命にパフォーマンスすることによって気づく学びです。4.0は破壊型。別の国や会社、学校など、今まで知っていたものとは異なる文化を目のあたりにすることで、自身の既成概念や常識が破壊され、『そんな考え方があってもいいのか』といった衝撃を受けます。つまり、あえて不安定な揺らぎの状況に置くことで、新たな発見に気づき、学び続けていくかたちです」

学びが1.0から4.0にシフトするにつれ「自身の行動や思考を自分でモニタリングする『メタ認知』の能力が必要である」と上田さん。つまり、自分自身を対象化して、状況に応じて柔軟に対応する力が求められるということです。上田さんによれば、4.0へ向かうほど、座ったままではなく、立って動いて表現することへと、学びのあり方は変わってくるといいます。自分から行動することで周囲の状況や反応を把握し、次に取るべき行動を決定する。そうしたメタ認知能力を鍛える必要があるのです。

プレゼンテーション中に参加者全員で体を動かし一体感を得る
プレゼンテーション中に参加者全員で体を動かし一体感を得る

上田さんは、「自ら行動していくためには、多様な状況のなかで対話を通してメタ認知を鍛え、年齢や立場を理由に現状維持を選ぶのではなく、常に『The spirit of YET』(“まだまだ”の精神)を持ち続けることが重要です」と力強く語りました。

上田さんの強いメッセージ
上田さんの強いメッセージ

第1回と同様、ワークショップの最後には参加者同士で課題を共有するダイアローグが行われました。「学び」に関する自分ごとの課題を持った人を中心に、15のグループに分かれ、25分間のディスカッションを2回実施。上田さんが推進する「プレイフル・ラーニング」に感銘を受け、いかに楽しく学び続けられるかという問題意識を持ったテーマが目立ちました。

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参加者から提案された15の課題

第3回の公開ワークショップは7月7日、全国300校以上の公立学校で起業家精神育成授業を開催している隠岐國学習センター長の豊田庄吾さんをお招きしました。その様子はこちらからご覧ください。


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