よこまなプロジェクト

グローカル人財に必要な2つのセンス ――よこまなプロジェクト 第3回公開ワークショップレポート

2015年8月21日



グローカル人財に必要な2つのセンス ――よこまなプロジェクト 第3回公開ワークショップレポート

横浜を拠点に、子どもたちが「主体的な課題設定力」と「粘り強い問題解決力」を身につけるための、新しい教育のあり方を考える「横浜でつくる学びの未来プロジェクト(通称:よこまなプロジェクト)」。第1回第2回と続いた公開ワークショップ最終回は、隠岐諸島・海士町で地域の子どもたちの教育支援を行いながら、地域のリソースを活用した教育のモデルづくりを推進している、公立塾隠岐國学習センター長・豊田庄吾さんをゲストに迎えました。

未来の担い手をつくり出す「島留学」

2015年7月7日、よこまなプロジェクト公開ワークショップの最終回が、横浜市の「みなとみらいInnovation Future Center」で開催されました。今回のゲストは「島前高校魅力化プロジェクト」(詳細記事はこちら)をリードする隠岐國学習センター長・豊田庄吾さん。島外人材との交流によって、廃校寸前だった高校を持続可能な教育プラットフォームに変貌させました。

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隠岐國学習センター長 豊田庄吾さん

地域で産業を起こし、かつ、“その地ならでは”の価値を社会に発信する「地方創生リーダー」には「都会センス」「田舎センス」の両方が必要だと指摘する豊田さん。前者は「合理化と効率化によって仕事の生産性を高める能力」のこと、後者は「周囲の人々との融和と協働によって持続可能な自給自足モデルをつくる能力」を指します。

「私が移住した海士町をはじめ、人口減少が進む地方は日本における重要課題の最前線だといえます。そんなヒト・モノ・カネのいずれもがない状況で求められている人材とは、地域で新たな『生業』(=生きていけるだけの収入が得られる仕事)と『継業』(=廃業の危機にある既存産業を再生させることで生み出される仕事)をつくり出せる人のことです」

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島根県隠岐郡海士町

人材サービス会社の人事部門担当者、さらには企業研修の講師などを務めた経歴のある豊田さん。その経験を活かし、島前高校の生徒たちの学びのなかに、仕事をするために必要な観点を体感的に学べる「ビジネスゲーム」を取り入れることで、社会に必要な力を身につけさせています。公立塾では「対話の型づくり」(1年次)、「地域課題解決」(2年次)といった基礎カリキュラムに加え、大人たちと関わりながら地域の課題解決を模索する「プロジェクト学習」(3年次)の「夢ゼミ」が、島前高校ではシンガポールなど異文化の高校生と交流する「海外研修」などが展開され、異なる前提や価値観を持つ人々との協働スキルを高めています。

自分と異なるセンスをいかに受け入れるか

モデレーターのNPO法人ミラツク代表理事・西村勇也さんと参加者を会まじえたダイアローグでは、もとは部外者だった豊田さんが、いかにして地域との協力関係をつくり、ここまでの活動を実現するに至ったのか、という点に質問が集まりました。特に既存の公教育との住み分けや連携のスキームについては、東京コミュニティスクール探究プロデューサー・市川力さんが登壇した第1回ワークショップでも関心の高かったテーマです。

「最初はもちろん警戒されましたが(笑)、今では学校内に自分の席ができ、一緒に盛り上げていこうという雰囲気になっています。“島ならでは”の教育が何であるかを考えていくと、やはりリアルな土地、そしてそこに住まう“人”という存在を無視することはできません。その点でいえば、たとえば『地元の生徒たちの家系にどんな人がいたのか』『どんな商売をしていたのか』というようなことは3代先までわかっている。そうした歴史を踏まえながら、生徒たちには当事者意識を持ってもらう工夫が必要でした」

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「魅力化プロジェクト」の舞台となった島前高校

また、高い目的意識をもって島外から入学してくる生徒に対し、「地元の生徒が萎縮してしまうのでは?」という質問もありました。それに対し豊田さんは「最初はおとなしかった生徒もまったく異なるバックグラウンドにいる新入生と触れ合うことで、異文化を理解しようというモチベーションが高まる」と答えます。「都会センス」と「田舎センス」の両方を身につけるには、子どもたち自身が自分と違うものをどこまで寛容に受け入れるかが鍵となるようです。

前2回と同様、ワークショップ後半の参加者同士のダイアローグでは、15のグループに分かれ、2回に分けた25分間のディスカッションを行いました。第1回、第2回のワークショップにも参加していた人が多かったためか、学びに関する“自分ごと”の問題をより深く掘り下げたテーマが目立ちました。特にご自身にお子さんのいる参加者は、学校での教育に加えて「生きる力」「創意工夫する力」をどのように高めるかというテーマに関心が集まっていたようです。

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参加者のディスカッションテーマ

全3回にわたりレポートしてきた「よこまな公開ワークショップ」は、これでいったんの区切りとなります。ゲストと参加者のダイアローグを通じて、明確な正解のない社会では「主体的な課題設定力」と「粘り強い問題解決力」が重要なスキルとなることが改めて確認されました。しかしプロジェクトの本番はこれからです。次回はワークショップを通じて明確になった問題意識を行動に移すべく、「フィールドワーク」をまじえたクローズドセッションの模様をお伝えしていきます。


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