あしたラボUNIVERSITY

出場最年少・大学1年生が挑んだ「みらいの大学」探し ——あしたラボUNIVERSITY「大ガッコソン!」(神戸会場)

2016年3月18日



出場最年少・大学1年生が挑んだ「みらいの大学」探し ——あしたラボUNIVERSITY「大ガッコソン!」(神戸会場)

2年目を迎えた「あしたラボUNIVERSITY」では、2月18・19日の両日、大学生・社会人の協働によるアイデアソン「大ガッコソン!」を開催した。同時開催となった横浜・神戸両会場を合わせ113名(学生66名、社会人47名)が参加。2会場で24のアイデアが生まれ、そのうち最優秀賞&優秀賞チームが3月7日の決勝プレゼンにコマを進めた。出場者に大学3年生&社会人が多いなかで、最年少となる大学1年生の立場からアイデアソンに挑んだ2人の姿を追った。2人がアイデアソンにぶつけた、今時の大学生の本音とは?

2回目のアイデアソンに挑む2人の“大学1年生”

「デザイン・クリエイティブセンター神戸・KIITO」(兵庫県神戸市三宮)で開催された「大ガッコソン!」神戸大会。出場者の1人、大分大学経済学部1年生の林昌輝さんは、2015年10月の「大分大学×大分トリニータ アイデアソン」の準優勝チームのメンバーで、副賞として「大ガッコソン!」への参加権利が与えられた。

林昌輝さん大分大学1年生の林昌輝さん(中央)

アイデアソン初日のプログラムは、ゲストによるキーノートの後、アイデアを創発するための4つのワークで構成されている。

ワーク「大ガッコソン!」に用意された4つのワーク

その後はペアブレスト、そしてアイデアスケッチに移行。アイデアスケッチでは各自が3点前後作成したスケッチが会場のテーブルに並べられ、会場投票により上位者が選出された。

イベントプログラムイベント前半のプログラムの様子。(左上から)アイデアカメラ、ペアブレスト、(左下から)アイデアスケッチ、会場投票

林さんのアイデアスケッチは惜しくも上位入選に至らなかったが、ファシリテーターから「上位以外にも自薦も辞さず」と呼びかけられると、「普段はあまり積極的ではない性格」と自己分析する林さんは手を挙げた。こうしてアイデア発表後のチームビルディングで、林さんのもとにチーム「The Futures」が結成された。

林昌輝さん 自薦のアイデアを発表する林さん

一方、林さんと一緒に参加した大分大学経済学部1年の原遼太郎さんは、チームビルディングで、ある美大生が考えた「カップリングMe」というアイデアに関心を持ち、チーム「カランコエ」に参加した。しかし初日も終盤にさしかかったとき、アイデアリーダーが所用により2日目のアイデアソンに参加できないことを知る。「かなりの想定外だった」という逆境下で、原さんは年上ばかりのメンバーに囲まれながら、アイデアのアウトプットに向けてチームを盛り立てた。

原遼太郎さん大分大学経済学部1年の原遼太郎さん(右)

「みんなで1つの方向に向かわなくては——。それを確認することに意識を払いました。その作業を何度も繰り返した先に、絶対にいいものが生まれる。昨年の大分大学アイデアソンで学んだことです」と原さん。「大分大学アイデアソン」で2人と同じチームだった富士通・福村健一さんは、初アイデアソンに臨んだ当時の様子を次のように述懐する。

「大分アイデアソンではメンバーの意見が“かけ算的”に合わさったことで、アイデアがブラッシュアップされ、おかげで準優勝もいただけた。今回もそのかけ算を、この日会ったばかりのチームメンバーとできるかどうか、それが2人にとっての課題だったと思います」(福村さん)

福村健一さん 大ガッコソンの運営メンバーとして各チームを盛り立てた、富士通・福村健一さん

初日は玉石混淆。あとは「なぜ?」を何度も問うていく

一方で、アイデアを創発していくことには、2人とも暗中模索したようだ。

カランコエアイデアについて真剣な議論を交わすチーム「カランコエ」

“地域課題の解決”が主たるテーマとなった2014年度(「あしたのまちHack」)に続き、今年の「大ガッコソン!」のテーマとなったのは「常識を覆せ、わたしの考える みらいの大学」。日本でも国を挙げ、21世紀型スキルへの転換が図られ、新たな教育ソリューションやテクノロジーの導入が期待されている。アイデアソン参加者は、設定された「2030年の大学」をイメージし、そのときに必要となるソリューションやテクノロジーを編み出した。“未だ存在しない大学”の課題を拾い上げる点に、このアイデアソンの難しさがある。

アイデアソンのファシリテーターを務めた富士通総研・黒木昭博さんは、「大ガッコソン!」の意義を次のように説明する。

「ファシリテーターとして初日に意識したことは、未来の可能性を断片的であってもとにかく幅広く探ることでした。だから『2030年の大学』というテーマ設定に対し、初日の時点ではまだ玉石混淆の状態。林くん、原くんのチームに限らず、未来を洞察する点にまだまだ足らない部分があるのも仕方がありません。あとは、何を本質的な課題とし、何を提供するのかを突き詰めていきます。それはどんな社会をつくりたいからなのか。また、なぜそのアイデアを自分が実現したいと思うのか。ひたすら自分に問うていきながら試行錯誤をすることが、2日目のワークとなっていくのです」(黒木さん)

黒木昭博さん 神戸会場でファシリテーターも務めた富士通総研・黒木昭博さん

初日、原さんと林さんのチームは、ネットワーキング会を終えても会場に残り、遅くまでチーム内で話し合いをもっていた。同様に各チーム、アイデアに課題を抱えたまま、「大ガッコソン!」初日が終了。2日目は、初日の反省点を踏まえ、朝からプレゼンタイムまでアイデアをブラッシュアップし、プレゼンの準備を着々と進めた。

企画運営スタッフ プレゼンテーションについて意見交換するチーム「カランコエ」と「大ガッコソン!」企画運営スタッフ

“2030年感”を模索! 未だ存在しない職業も提案してくれる

こうして迎えたプレゼンタイム。プレゼンのトップバッターとして登場したのは、原さんのチーム「カランコエ」だった。

プレゼンテーション チーム「カランコエ」によるプレゼンテーション

「カランコエ」のアイデアは、装着したヘッドセットからその人が何に“トキメキ”を示すかを検知し、その人に適した「未来の職業」を提案するというもの。既存の職業だけでなく、今はその時点ではまだ存在していない “新しい職業”も提案できるのが大きな特徴だ。

たとえば「俳優」と「ビジネスマン」のどちらにもトキメキを感じている人には「雇われジョブズ」(プレゼンのプロフェッショナルで、プレゼンをするためだけの仕事)を提案する。大学1年生のみならず、「将来なりたい職業が見つからない」という、大学生の普遍的な悩みを解決する点に多様性があり、「未だ存在しない職業を見つける」という点に“2030年感”が見出されていた。

もともとのアイデアは、1年次にさまざまな学問のなかから“トキメキ”を検知し、2年次以降はそのトキメキをもとに、自分にぴったりの学部を決めてくれるというものだった。初日終了時点、「カランコエ」が現状の課題を書き出したシートには「もっと2030年感を出したい!」「みんなが同じになっちゃわない?」「このシステムでどう社会を変えたいのか?」といった付箋がたくさん貼られていた。

「『2030年感』がないこと、そして、いろいろな人に対応できる『多様性』が初日時点での課題だった」と原さん。2日目のプレゼンでは、これらの課題を見事クリアにしたといえる。

「将来の自分はどんな姿か」——今時の大学生の素直な思い

林さんのチーム「The Futures」は、プレゼン10チーム目に登場した。もともとは「怠けている人たちの意識を向上させるため、自分の将来を可視化できるツール」というアイデアだったが、2日目の議論でアイデアが発展した。グラスを装着すると、VRで現れたアバターが未来に必要なスキルをアドバイスしてくれる。どういう仕事に就いているか、目標の道筋を示す、というアイデアに様変わりした。

The Futures「The Futures」チームのプレゼンテーション。グラスを装着した様子を体現してみせた

「僕自身が怠けている人間というわけではないけれど、そんな僕でも高校生活から大学進学までを漠然と過ごし、大学で何かしらの変化を望んでみるものの、未だ働くことに対するイメージを持てずにいます。しかもその状況を変えたいけれど、自分から動けていない。それが今の大学生活に対する、自分自身の問題点なんです」(林さん)

原さんと林さん、もともと仲の良い2人は日常的な会話のなかで、こうした大学生に陥りがちな「モチベーションの低さ」について話題にすることがしばしばあるという。そうした点からか、奇しくも2人のアイデアは「将来の自分が見えるようになりたい」というところにフォーカスされていた。

裏を返せば、今時の大学生が「大学・学び」に対して感じる課題はそんなところにある。それは「みらいの大学」を考えるうえでも、普遍的なテーマであるといえるのかもしれない——。

アイデアソンが2人にもたらした行動変容

神戸会場集合写真神戸会場の表彰チームを囲んでの集合写真

プレゼンの結果発表で最優秀賞、優秀賞、参加者投票賞の3部門が発表され、残念ながら2チームとも受賞には至らなかった。しかしその結果以上に、2回目のアイデアソンは2人にとって貴重な2日間になったようだ。2人は2回目のアイデアソンの効果をどのように感じ取っただろうか。

原遼太郎さん(左)と林昌輝さん(右)2日間の成果を振り返る原遼太郎さん(左)と林昌輝さん(右)

「大分のときには、他の人の意見に乗っかって、後から意見を言う立場だった。けれど、今回は自分の案を広めていこうと思っていたんです。今回はアイデアリーダーを務め、自分の考えを人に伝えることの難しさを感じました。自分はこう思って、こういうビジョンがある。それを人に伝えても、きちんとキャッチしてもらうことは容易ではない。また新たな自分の課題が見えました」(林さん)

「(2回のアイデアソンを通して)どんな人とでも物怖じせずにしゃべれるようになりましたね。その人がどんな人かも大事だけど、その人の考え方や価値観、アイデア自体を見れるようにもなった。たとえ合わなそうな人がいたとしても、その人が出すものを公正な目で評価したりすることはかなり養われたと思う」(原さん)

学校というテーマのもと、自分と学びの関係性を考え、かつ、アイデアソンという共創のワークを繰り返すことで自分自身の課題を見つめ直した2人。数年後、社会に飛び立っていく2人がどんな姿になっているのか、とても楽しみだ。

神戸ガッコソン


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