あしたラボUNIVERSITY

初のハッカソン! イベントダイジェスト ——「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」(1)

2017年3月15日



初のハッカソン! イベントダイジェスト ——「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」(1)

2014年11月14日の開校宣言から2年と2カ月。「あしたラボUNIVERSITY」が活動3年目を迎えた。年度ごとの目玉イベントとして、これまで開催されたのはアイデアソン(2015年2月「あしたのまちHack」/2016年2月「大ガッコソン!」)だったが、今年度は3日間にわたる“ハッカソン”の企画・運営にチャレンジした。しかも企画・運営はもちろん、ファシリテーションや専門的なインプット講座の講師に至るまで、運営リソースはほぼすべて富士通グループの社員で賄った。“自前”のハッカソンは、どのようなプロセスで構築されたのか。「あしたラボUNIVERSITYハッカソン! 半径3メートルから世界を変えよう」の模様から探っていきたい。

ハッカソンで“勝つ”ための実践講座 ——「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」(2)
開校宣言から2年半、あしたラボUNIVERSITYから見えたもの ——「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」(3)

フィールドワークで課題を見つける、設定する

「あしたラボUNIVERSITYハッカソン! 半径3メートルから世界を変えよう」(以下、「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」)は2017年1月11〜13日の3日間で開催された。3日間のプログラムは以下の図の通り。

ハッカソン3日間のプログラム。オレンジ色がインプットワーク、青色がアイデア発想のワークやチームビルディング、そして緑色が開発を表す。開発に挑むのは2日目の終わりからだった
ハッカソン3日間のプログラム。オレンジ色がインプットワーク、青色がアイデア発想のワークやチームビルディング、そして緑色が開発を表す。開発に挑むのは2日目の終わりからだった

これまで学生向けアイデアソンを2年続けて開催してきた「あしたラボUNIVERSITY」にとって、ハッカソンの開催は初めての試みだった。プログラムを設計するうえで、特に初日には初参戦組のための企画が用意された。120分という限られた時間内でアイデア出しからチームによる発表までを行う「ミニ・アイデアソン」と、ものづくり・ビジネス・デザインの3講座(1コマ2時間)を選択式に受講する「ハッカソンで“勝つ”ための実践講座」がそれである。

学生参加者が大部分を占める「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」だからこそ、参加者はハードウェアやソフトウェアのつくり方、ビジネスの視点、はたまたアイデアを有効なサービスにまで高めるためのプロセスを知らない人も多い。ここまでのステップで、まずは簡単にアイデアソンを体験してもらい、かつ、ハッカソンに挑むうえで最低限持っておきたい事前知識を醸成させた。これらの体験は、2日目、3日目のワークに活かされていくこととなる。

ハッカソン2日目の冒頭に行われたキーノートも、ハッカソンに欠かせないインプットワークだった。

振動と光で音の特徴を髪の毛から伝えるデバイス「Ontenna」開発者・本多達也さん(富士通グローバルマーケティング本部総合デザインセンター)と、国産初のボブスレー製作に挑んだ「下町ボブスレー」の仕掛け人・細貝淳一さん(下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会・ゼネラルマネージャー兼広報委員長)両名の話から、ものづくりの視点やマインドセットを学んだ。特に「万人受けするものをつくるよりも、目の前にいる人のためにものづくりをしたかった」という本多さんの話は、「半径3メートルの課題発見」を行う後のワークにぴったりの内容だったようだ。

キーノート後のワークは「課題発見&設定」の時間。参加者はそれぞれの身近にある「半径3メートル」の課題を整理し、それをワークシートに記入した。その後、ランチも兼ねたフィールドワークで会場周辺(蒲田)を練り歩きながら視点を広げ、フィールドワークで得た気づきは再びワークシートに盛り込まれた。課題発見&設定の練習を終えた参加者は、初日午前に開かれたミニ・アイデアソンの要領で「半径3メートルの課題発見」をテーマにアイデア出しを行った。

初日のミニ・アイデアソン。上段左から、ペア・ブレスト、アイデアスケッチ、ハイライト法(スケッチの展示と上位アイデアの選定)、下段左から、アイデア発表とチームビルディング、ダーティプロトタイピング、チームによるアイデア発表。これらはいわば2日目以降のハッカソンに挑むための準備といえる
初日のミニ・アイデアソン。上段左から、ペア・ブレスト、アイデアスケッチ、ハイライト法(スケッチの展示と上位アイデアの選定)、下段左から、アイデア発表とチームビルディング、ダーティプロトタイピング、チームによるアイデア発表。これらはいわば2日目以降のハッカソンに挑むための準備といえる

その後、チームのなかで自分がどんな役回りを担いたいのか、エンジニア、デザイナー、ビジネスプランナーのバランスにも配慮しながらチームをつくり、チームでアイデアを発表。実践講座の講師らからのフィードバックも得たら、いよいよ開発のスタートだ。

2日目の終了時間は18時の予定だったが、ほとんどのチームが居残りで遅くまで開発を続けていた。チームによる開発は、3日目のタイムリミットギリギリまで行われた
2日目の終了時間は18時の予定だったが、ほとんどのチームが居残りで遅くまで開発を続けていた。チームによる開発は、3日目のタイムリミットギリギリまで行われた

いよいよアイデア発表、3つの審査員特別賞も

3日目・16時のタイムリミットを迎え、いよいよハッカソンのチーム発表がはじまった。なお表彰には、参加者投票賞、3つの審査員特別賞(半径3メートル賞、世界を変える技術賞、生活が変わる賞)、そして最優秀賞が設けられた。

審査員は3名。左から、ライフハッカー[日本版]編集長の米田智彦さん、富士通株式会社執行役員常務の宮田一雄さん、ニフティ株式会社技術理事の松井くにおさん。最優秀賞は3名による総合得点、審査員特別賞各賞は審査員それぞれの観点で選ばれた
審査員は3名。左から、ライフハッカー[日本版]編集長の米田智彦さん、富士通株式会社執行役員常務の宮田一雄さん、ニフティ株式会社技術理事の松井くにおさん。最優秀賞は3名による総合得点、審査員特別賞各賞は審査員それぞれの観点で選ばれた

プレゼンの持ち時間は、1チーム120秒。スライド、寸劇、ムービーなど発表の形式は何でもOKだが、時間は厳守だ。この日のために開発されたタイマー(写真手前にある箱入りのライト)が会場にセットされる。タイマーは10秒ごとに端からライトが順番に点灯。すべて点灯(60秒経過)したら、今度は端から1つずつライトが消え、すべてが消灯したら120秒のタイムリミットを迎える。タイムリミットを過ぎると爆発音が流れ、プレゼンは強制的に終了する。

寸劇中チームに残り時間を知らせるタイマー(手前にある箱入りのライト)は、ハッカソンをサポートする技術チームの吉川藍菜さんがこの日のために製作したお手製のものだ
寸劇中チームに残り時間を知らせるタイマー(手前にある箱入りのライト)は、ハッカソンをサポートする技術チームの吉川藍菜さんがこの日のために製作したお手製のものだ

プレゼンの後は、40分間のタッチ&トライの時間。審査員が参加10チームをまわり、順番に採点していく。この際にチームは審査員にアイデアを売り込む。審査員からの質疑応答にもきちんと答えられるかどうかも、ハッカソン勝利では重要なカギとなる。

最優秀賞アイデアは「視覚障害者に歩く楽しみを提供する」

最秀賞を受賞したのは「山本新喜劇」。学生3名、社会人2名の混成チームだ。

山本新喜劇は視覚障害者の白杖によるトラブル、盲人用信号や点字ブロックが少ない歩行者道路を課題ととらえた。そこで「視覚障害者が歩く(walk)ことをもっと好き(like)になるように」と編み出したアイデアが「walike」(ワライク)。アタマ、腕、足に装着したウエアラブルデバイスが、歩行者を正しい道に誘導。障害物や赤信号などの危険も知らせ、転倒したりしたときのアラートも位置情報で通知する。タッチ&トライでは「レゴ®マインドストームEV3」で作ったデモ機で見事なデモを披露した。

プログラミングを習得させられる「レゴ®マインドストームEV3」で歩行者を表現。模造紙に引かれた黒線は点字ブロックを見立てている。実際にカラーセンサーが黒線(点字ブロック)を検知し、歩行者を誘導。危険が迫ったときの動作もデモで表現した
プログラミングを習得させられる「レゴ®マインドストームEV3」で歩行者を表現。模造紙に引かれた黒線は点字ブロックを見立てている。実際にカラーセンサーが黒線(点字ブロック)を検知し、歩行者を誘導。危険が迫ったときの動作もデモで表現した

審査の評価項目は、①課題の着眼点・課題設定力、②解決のインパクト度、③技術力、④巻き込み度・アピール力、⑤ユーザー視点(各10ポイント、50点満点)の5項目。審査員3名の「山本新喜劇」の総合点は112点(150点満点)だった。

いくつかのチームが総合点評価を僅差で争ったが、審査員3名ともが上位に選んでいる点、3名とも「①課題の着眼点・課題設定力」が高評価だった点が含まれ、最終的には満場一致で最優秀賞に決まった。

最優秀賞を受賞した「山本新喜劇」
最優秀賞を受賞した「山本新喜劇」

参加10チームのアイデアは実にさまざまだったが、どれもユーザー像をしっかりととらえ、課題の設定&解決方法がしっかりと練られていた印象があった。これも初日に行われた「ハッカソンで“勝つ”ための実践講座」の賜物といえるだろう。各講座で参加者はどんなことを学んだのか。次回は実践講座のスポットを当てる。

ハッカソンで“勝つ”ための実践講座 ——「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」(2)へ続く
開校宣言から2年半、あしたラボUNIVERSITYから見えたもの ——「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」(3)


初のハッカソン! イベントダイジェスト ——「あしたラボUNIVERSITYハッカソン!」(1)

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