歯からQOL向上を目指す予防歯科プロジェクト

【予防歯科プロジェクト】むし歯にならないための診療とは? ——“予防歯科”を歯医者さんで体験してみた(前編)

2017年3月17日



【予防歯科プロジェクト】むし歯にならないための診療とは? ——“予防歯科”を歯医者さんで体験してみた(前編)

できれば行かずに済ませたい。歯が痛くなったり歯茎が腫れたら、いやいや通って治してもらう――。多くの人にとって、歯医者さんはそんな場所ではないでしょうか。しかし、そんな常識を覆す歯科医が全国にじわじわ増えています。“むし歯になったら駆け込む”のではなく“一生、自分の歯で過ごすために通う”歯医者さん、それが「予防歯科」です。では、実際の受診はどのように行われるのでしょうか? 「あしたのコミュニティーラボ」編集部スタッフの浜田さんによる、“はじめての予防歯科”体験記を前後編でお届けします。

【予防歯科プロジェクト】ついに、自分でも知らなかった「歯のリスク」が明らかに!? ──“予防歯科”を歯医者さんで体験してみた(後編)

「予防歯科」って何がどう違うの? ドキドキの初診

最後に歯医者さんに行ったのはいつだったか、みなさんは覚えていますか? わたしはあまり記憶にありません。たしか、3〜4年前に高いお金を払って治療したような……。むし歯になった歯が何本あるのかも覚えていません。かかりつけ医はなく、痛くなったらネットで調べて、夜遅くても開いている近くの歯医者さんに行く程度──。

朝昼晩と歯磨きしているし、たまに思い立ったら寝る前にデンタルフロスもします。でも自分の歯がどんな状態なのか把握していないので、ひどいむし歯が見つかったらどうしよう……と“知りたさ半分、怖さ半分”でアップルデンタルセンター(西東京市)の予防歯科を受診してみました。

今回受診したのは、予防歯科に取り組む西東京市のアップルデンタルセンターさんです
今回受診したのは、予防歯科に取り組む西東京市のアップルデンタルセンターさんです

どうやって診療していくの?

予防歯科での診療はおおまかにいうと、こんなスケジュールで進みます。

(1日目)
①受付で診療内容について詳細な説明を受け、案内の映像をみる
②約1時間の口腔内検査を受ける(口のなかの写真撮影、レントゲン、唾液検査、歯周病検査、応急処置)

(2日目)
③口のなかの状態、唾液検査結果の説明を受ける
④予防法や今後の処置について説明を受ける
⑤スケーリング(歯茎の上の歯石除去)
⑥歯磨きのやり方など、自宅でのケア方法の説明を受ける

(3日目以降)
⑦バイオフィルム(後述)、歯茎の中に付着している歯石などを除去。いわば口のなかの大掃除
⑧口腔内の状態を再評価
⑨必要に応じてむし歯治療
⑩以降は⑧⑨を繰り返す

まず、受付で問診票を書いて、診療方針とスケジュールの説明を受けます。さらに「歯科患者向けクラウドサービス」にもその場で登録。

はじめに受付で説明を受けました。背後には、壁一面にカルテが並んでいます
はじめに受付で説明を受けました。背後には、壁一面にカルテが並んでいます

今までの歯医者さんとは違う──。すぐに治療しないところをみて、そう思いました。

検査によって自分の弱点をまず知ることが大切なのだそう。それぞれの弱点に合わせて必要なケアを歯科衛生士さんが説明してくれます。ふだんの歯磨きでは落とせない歯石を衛生士さんが掃除し、口腔内の環境を改善。そして治療が必要な箇所があれば、ここではじめて治療に入るのだそうです。

治療が済めばおしまいではないというのが、これまでとは大きく違うところだと感じました。

問診票では、過去の歯科受診などについて記入していきます
問診票では、過去の歯科受診などについて記入していきます

問診票には、今まで歯医者さんに対して抱いていた違和感や不信感が、すべて項目化されていたのが印象的でした。「このへんが不満だったりしますよね?」と寄り添ってくれている感じ。丁寧な説明を受けたことも相まって、この歯医者さんだったらちゃんとケアしてくれるかも、と期待感が高まります。

なってからじゃなく、ならないための受診

口のなかを健康にして、それを維持するのがいちばん大切。そのために定期的なメンテナンスを受けます。メンテナンスのペースは自分にあったものを提案してくれます。ひとによっては年2回から4回まで幅があるとのことでした。

子どもの頃からリスクに応じたメンテナンスを続けていれば80歳になっても28本の歯すべて残せると聞いてびっくり。1つ告白すると、永久歯の数が28本というのもはじめて知りました。日本人の平均は80歳で12本とか。思ったより少ないんですね。

「いま残っている自分の歯をこれ以上減らさないようにするために、歯医者にかかりましょう」という歯科衛生士・花岡さんの説明に目からウロコ。

担当してくれた、歯科衛生士の花岡佑み子さん(写真左)
担当してくれた、歯科衛生士の花岡佑み子さん(写真左)

むし歯や歯周病に”なったら”駆け込むのではなく、むし歯や歯周病に”ならないため”に通う──。そういう歯医者さんなのか!

治療の前に、まず「検査」

ひと通り案内を受けると、次は口腔内の健康状態を知るためのデータ集め。それぞれの検査の意味や、どのくらいの時間がかかるか、写真は何枚撮るかなどの説明を事前に受けました。

口腔内の写真を撮ってもらう様子
口腔内の写真を撮ってもらう様子

まず唾液検査をして、次に口腔内写真、レントゲン写真を撮影しました。唾液検査ははじめて受けました。口腔内の撮影は3分以内で終わり、とてもスムーズに感じました。口を開けっぱなしにするので、長引いたらちょっとつらいのかもしれません。

ひととおりデータを取って、初日は終了とのこと。やはり、とくに治療は行いませんでした。

むし歯のメカニズムが明らかに

2日目の受診では「むし歯・歯周病の成り立ち」について花岡さんから詳しい説明を受けました。

いわく、「むし歯の原因は正しくない歯磨き、間食の多い食習慣、細菌の多さ、唾液が少ないなど、全部で8項目あります。もちろん人は歯のことだけ考えて暮らすことはできません。どこに弱点があり、どう改善すればいいのか、いちばんの近道を教えますから一緒に歩きましょう」とのこと。めんどくさがりのわたしにはありがたく、同時に心強く感じました。

「脱灰(だっかい)」と「再石灰化(さいせっかいか)」という、耳慣れない言葉もはじめて知りました。むし歯とは、口腔内が酸性に傾き、歯のミネラル分が外に出ていく脱灰によって穴が開いていくことなんだそうです。脱灰は、食事のたびに起こるけれど、唾液には再石灰化の働きがある。脱灰がどんどん進むとむし歯になってしまいますが、再石灰化をきちんと進めてあげればむし歯を防ぐことができるらしく、このバランスが重要だそうです。歯医者さんで、こんな話を聞くのははじめてでした。

言葉だけではなく、写真を見せながら教えてくれます
言葉だけではなく、写真を見せながら教えてくれます

アップルデンタルセンターでは、診察の前段階で必ずこうしたセミナーを実施しているそうです。その理由を聞くと、「むし歯や歯周病になる原因を正しく知らないと、歯を失ってしまう可能性が高くなるから」とのこと。

「むし歯に対してどんな治療をするか」よりも、口腔内の環境を「むし歯になりにくいように改善する」ことが大切。そして、そのためには原因とリスクを知る必要があることが、よくわかりました。

バケツの水が溢れないようにすれば、むし歯は防げる!?

むし歯の原因とリスクについて理解するにあたっては、歯ブラシ、食べ物、細菌などの要因を「蛇口」に、唾液と歯質の口腔内の環境を「バケツ」にたとえて説明してもらいました。これがとてもわかりやすかったです。

正しいむし歯の治療って?
むし歯の要因は「蛇口」、歯質と口内環境は「バケツ」にたとえると、理解が進みます(画像提供:アップルデンタルセンター)

蛇口から少しずつ水が出ていたとしても、バケツが大きければ水は溢れない。でも蛇口から大量に水が噴き出し、バケツが小さいと、すぐ溢れて床が濡れてしまいます。これがむし歯になりかけの状態で、さらに床に穴が空くと完全にむし歯になった状態です。

このたとえでいうと、今までの歯医者さんの治療は、床の穴をふさいでいるだけでした。しかも、この蛇口やバケツは、人によって性質も機能も違うそうです。

スライドイメージ画像
人によって「蛇口」や「バケツ」の性質も機能も違います(画像提供:アップルデンタルセンター)

だから、蛇口からの水量、水の溜まり具合、バケツの大きさを見て対処しなければ、根本的にむし歯はなくせないんですね。この説明には、なるほど、という実感を持ちました。

【予防歯科プロジェクト】ついに、自分でも知らなかった「歯のリスク」が明らかに!? ──“予防歯科”を歯医者さんで体験してみた(後編)


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