医療現場の想いをかたちにする看工連携プロジェクト

現場の課題をどのように掘り下げたのか?【看工連携プロジェクト(2)】

2018年2月5日



現場の課題をどのように掘り下げたのか?【看工連携プロジェクト(2)】

人の命を守り、健康を支える医療現場の声を反映した医療機器の製品化を目指す「看工連携プロジェクト」。その名のとおり、医療・看護関係者(看)である東京北医療センター、東京工科大学、ものづくり関係者(工)である東京都大田区のものづくり企業、富士通などが連携。医療・看護現場の課題を伺った(1)に続き、(2)では「アイデア創出ワークショップ」を企画・開催した中心メンバー2名に、医療・看護現場の課題をどのように抽出したのか、そのプロセスを伺いました。

看工連携でオープンイノベーションの風を!

医療機器メーカーを経営する現役の医療機器業界人として、2017年4月から医工連携支援に携わるようになったという大田区産業振興協会次世代産業創造コーディネーターの吉田孝次さんはプロジェクトの中心人物の1人。

そもそも大田区「看工連携プロジェクト」の推進役である大田区産業振興協会は、かねてより”医工連携支援”に努めてきました。

吉田さんは「医工連携の取り組みは医療機器開発のしくみを知っていただくとてもいいチャンスです。せっかくの機会なので、より多くのマルチプレイヤーを巻き込み、アイデア創出からアウトプットまでのスピードを上げるオープンイノベーションの風を起こしたかった」と、本プロジェクトを発足させた経緯を話します。


大田区産業振興協会 次世代産業創造コーディネーターの吉田孝次さん

「社会課題をオープンイノベーションで解決していく」というミッションを持つ富士通・共創ビジネスセンターでプロジェクトを担当したデジタルイノベーター(デザイナー)の井上拓也さんは、2017年11月21日の「アイデア創出ワークショップ」のねらい、そして成果について次のように評価します。

「オープンイノベーションの手法を用いてビジネスを進めていくことは、富士通グループ内でも主流になりつつあります。今回の場合も、会議室のようなところであらたまって話をしてもらうよりは、フラットに話ができることを期待しました。特に今回のワークショップでよかったのは、ものづくり関係者のみなさんが、次なる取り組みに積極的だったこと。アイデアが埋もれてしまうことなく、着実にプロジェクトが動き出していると感じています」(井上さん)


富士通 デジタルイノベーター(デザイナー)の井上拓也さん

前向きに「できるかも!」と思わされるヒアリング

ワークショップではヒアリングの段階から、医療・看護関係者が「ダーティプロトタイピング」(編集部注:実際には動作しない簡単な試作)を用いて現場の課題に関する説明を行いました。それに対して医療従事者ではないものづくり関係者(大田区のものづくり企業、富士通など)が、医療・看護関係者へさらなるヒアリングを実施しました。


ダーティプロトタイピングを用いたヒアリングの様子

そうした工夫により、(1)で東京北医療センター副センター長兼看護部長の又木満理さんが話していたように、医療・看護にまつわる現場の課題が洗い出され、「誰に、何を体験してほしいのか」が明確にされながら本当に必要なアイデアだけが生み出されたといいます。


空のペットボトルと既成品のペットボトルキャップ・ストローを使った議論がつづく

又木さんがあらためてワークショップの成果を振り返ります。

「いかんせん私たちはすぐに限界のラインを引きたがっていましたが、ヒアリングを終えてみると私たちの側の誰からも”できない”という言葉がひと言も出てきませんでした。これまでは”無理”と考えていたこともみんなが常に前向きにとらえられる。”できるかもしれない!”と思わされる、貴重なヒアリングの時間だったと思います」(又木さん)


東京北医療センター 副センター長兼看護部長の又木満理さん

ワークショップ終了後には、参加者にアンケートを取り、定性評価・定量評価が行われましたが、参加者の思い入れの度合いを示すスコアであるNPS(-100ポイント〜+100ポイント)も「+52ポイント」と、非常に高い数値を示したといいます。

医療・看護のプロとともに考えることがリスク回避に

さて、今後のプロジェクトのマイルストーンとしては、2018年1月31日から2月2日の3日間に大田区産業プラザPiOで開催される「第22回 高度技術・技能展 おおた工業フェア」に向け、いくつかの試作品が発表されます。その先も7月に開催される「国際モダンホスピタルショウ」へ出展を予定するなど、最長1年ほどの期間をかけ、製品化を目指していくそうです。

最後に、吉田さんは、ワークショップの評価として、次のように提言しました。

「通常、新たな医療機器を企画し、製品を開発する場合、まずリスクマネジメントが重要です。そうでなければ、いざ製品化の段になってからの認可が下りません。その点が医療・看護業界におけるものづくりが他の分野と大きく異なるポイント。しかし今回のワークショップは、ちょっとした工夫を凝らしたことでワークショップの段階から医療機器の専門家視点でリスクマネジメントができている。きっとトータルで見れば、製品化までにかかる時間も短いと思います。かつ、医療機器のつくり方をシミュレーション的に体験できる場にもなっていますし、そのしくみができたことについて、われわれ医工連携チームとしても非常に満足度の高いものとなりました」(吉田さん)

まずは「ものづくり工業フェア」で、どんな試作品がお披露目されるのか期待がふくらみます。あしたのコミュニティーラボでは、次回以降も大田区「看工連携プロジェクト」を追いかけていきます。

第22回 高度技術・技能展 おおた工業フェア
1/31(水)〜2/2(金)まで開催された展示会イベントでは、大田区「看工連携プロジェクト」についての展示や講演が行われました。

看工連携の取り組みが社会にもたらす価値とは?【看工連携プロジェクト(3)】(前編)へ続く


現場の課題をどのように掘り下げたのか?【看工連携プロジェクト(2)】

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