創造的関係性をつくりだす「グラフィックカタリスト」プロジェクト

働き方を追求した先に見えた「ビオトープ」というチームのあり方──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(前編)

2018年4月20日



働き方を追求した先に見えた「ビオトープ」というチームのあり方──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(前編)

創造的関係性をつくりだす“グラフィックカタリスト”プロジェクト」では、2017年4月から約1年、数回にわたってグラフィックカタリスト・ビオトープ(GCB)メンバーの活動をお伝えしてきました。

その間に多種多様なプロジェクトで活躍してきたGCBメンバー。GCBメンバーはこれらの活動を通じ、自身の今後の可能性や働き方について社外の方々と広く考えてきたようです。今回は本プロジェクトの総括として、GCB発起人であるタムラカイさんに再び登場いただき、一般社団法人at Will Work 代表理事の藤本あゆみさんをゲストに招いた対談を収録。GCBという組織を通じた働き方の変革、そして「本当の働き方改革」実現のため、個人・組織・社会に必要なことは何かディスカッションしていただきました。前後編でお伝えします。

働き方改革に必要なステップは「半径5メートルの輪を増やす」こと──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(後編)

1億2,000万通りの選択肢を見つけよう

──まずは、藤本さんが代表理事を務める一般社団法人at Will Workのミッション、そしてそのミッション実現のために開催している「働き方を考えるカンファレンス」について簡単にご紹介いただけますか。

藤本 at Will Workは企業・人・団体による事例共有のプラットフォームとして、ノウハウの蓄積・体系化、そして共有を目的にした一般社団法人です。

2018年2月15日に開催した「働き方を考えるカンファレンス2018」は今年で2回目を数え、登壇者54名、来場者800名の方にお集まりいただきました。今回のテーマは「働くを定義∞する」。1億2,000万通りの働き方・生き方を選択してもらいたい──そんな思いを込めました。

一般社団法人at Will Work 代表理事 藤本あゆみさん
一般社団法人at Will Work 代表理事 藤本あゆみさん

タムカイさんには高知県土佐町で活動するNPO法人SOMA 代表理事・瀬戸昌宣さんとともにセッションの1つに登壇していただき、さらには今年はエモグラフィ・ダイアログのワークショップを開催してもらいました。GCBの皆さんにも2年連続でセッションのレコーディングにご協力いただいています。

──タムカイさんのご感想は?

タムラ 僕的に印象的だったのは「ファイアーサイドチャット」という試みでしたね。100名単位が参加する1コマ30分のセッションのあと、僕ら登壇者がステージを下り、ステージの外に設けられた特設ブースで希望者とコミュニケーションが取れるというものでした。なかなかユニークなしかけでしたが、あの発想はどういうことからきたんでしょうか?

ファイアーサイドチャットの様子
ファイアーサイドチャットの様子。ステージ後に参加者も交えてより深い議論が行われた(画像提供:一般社団法人at Will Work)

藤本 こういうカンファレンスって「すごく貴重な情報を得たけど、その後どうすればいいの?」なんてやきもきするものじゃないですか。ただ「おもしろかった」で終えずに、次の行動につなげてもらいたく、ファイアーサイドチャットを含めて今年はいろいろとトライアルをしてみました。

──GCBはat Will Workのアワードプログラム「WORK STORY AWARD」で、昨年「これぞ本質だ賞」を受賞していたりもしていますが、藤本さんが1年間、GCBの活動を見てきて感じたことはありますか?

藤本 グラフィックレコーディングがあることは、カンファレンスのスタンダードになりつつあります。GCBにも昨年・今年とご協力いただき、グラレコ自体にも来場者の期待が集まっていると感じます。そんななか、今年はその期待を上回ってくれた。ほんと、感動でした!

グラフィックカタリスト・ビオトープ タムラカイさん
グラフィックカタリスト・ビオトープ タムラカイさん

タムラ ありがとうございます。グラレコへの注目が高まっていることは事実ですし、僕たちもさまざまな場所で実践を重ねてきてその成果が出せてよかったです。また、WORK STORY AWARDをいただけたのはGCBの思想や働き方が「本質的である」と言っていただけたことが理由だったのでうれしかったですね。

グラレコについては実践する人が着実に増え、他の会社でもグラレコのチームができたりしていますし、GCBらしさとはなんだろうということを考えていかないと、と思っている今日このごろです。

GCBは「やりたいことがやれる」組織

──ここからは、そうしたGCBという「チームづくり」についてお2人でディスカッションしていただきたいと思います。国内で「働き方改革」が推進されるなか、ルールや制度づくりとは違った枠組みで、個人が会社組織やチームといかに向き合うべきか、というのがディスカッションテーマです。初回のインタビューでもありましたが、GCBは企業内のチームでありながら、必ずしも本業に直結した部隊ではない。一方で、メンバー各々が理想の働き方を実現しているチームであり、こうしたチームは「働き方改革」の議論でも大きなポイントだと思うのですが。

タムラ 最近は「ティール組織」(*1)が話題ですが、実は今のように取りざたされる前にこの理論に触れていて、GCBにもそれに近い要素があります。僕はGCBの「リーダー」ではありませんし、あえて呼称するなら「発起人の1人」に過ぎません。

他のメンバーの仕事のやり方、行動等々を支配してしまうような「会社的なチーム」とは本質からして違いますし、GCBに外から案件が入ってきたときには、メンバー各々が「やりたい」か「やりたくないか」で判断しています。

藤本 会社組織って、そうして意外に「やりたい人」と「やりたくない人」にちゃんと分かれてしまうじゃないですか。私はさまざまな会社組織に在籍していた人間ですが、組織人は「仕事は会社から与えられるもので、なんとなく平均点をとればいい」という発想に集約されてしまいがちですよね。

グラフィックカタリスト・ビオトープのメンバー
グラフィックカタリスト・ビオトープのメンバー

タムラ そうですよね。もう1人のGCB発起人であり人材育成に携わっていた こばりん(小針美紀さん) が、GCB発足以前からたびたびティール組織のことは話題にしていたんです。彼女は「もっと人が、人らしく生きていける組織ってつくれないだろうか」という課題意識を持っているなかでティール組織の考え方に出会ったそうで。

最初はティール組織が何かわからなかったので、「Teal」を辞書で調べて「青緑色って何?」と不思議に思っていましたが(笑)、彼女の考える組織の理想を聞くにつれ、その考えに共感しました。それがGCBの今のあり方につながっています。

ただ、富士通という組織でそれをそのまま実行するには、すでにできあがった大きな組織の制度を壊さなければいけない。そこで、まずはGCBが会社組織内で実験的に取り組むチームとして機能しているという感じです。

(*1)ティール組織とは:マイクロマネジメントをしなくても、組織の目的に向かって自律的に行動することが可能な組織のこと。進化型組織とも呼ばれる。ヒエラルキーのあるもとで上意下達の意思伝達が起こる組織を「オレンジ組織」、ヒエラルキーは残しながらも各々の裁量をある程度許しているのが「グリーン組織」。もともと「ティール」は青緑色の一種で、「ティール組織」はグリーン組織でもオレンジ組織でもなく、「指示命令系統がないなか信頼関係で結びついている」という組織を指す。

リーダーではなく「リーダーシップ」を持つ

藤本 先ほどの話の続きですが、「やりたいことをやりたい」「やりたくないことは無理にやらなくていい」という人間が本来持つべき価値観は、社会人生活を送るにつれ忘れてしまいがちだと思うんですよ。でも仕事はどうしたってチームでやるもの。会社の仕事を1人で完結できることはほとんどありません。

その点GCBのように、チームを最大限に活用すれば、やりたいことを120%の力でやることでより高い成果があがるし、GCBのようなチームづくりが「働き方改革」に寄与できる面は大きいと思います。

でも、社内(富士通デザイン)での見られ方ってどうですか?

タムラ ある視点から見れば、とても面倒なことをやっているように見えるみたいですね。でも長い視点でみれば、僕よりも下の世代を含め、自分がやりたいことを「やりたい!」と言える人間がもっと増えたほうがいいと思うし、それは「カンファレンス2018」のテーマだった「働き方は∞」と同義かもしれません。

左・藤本あゆみさん、右・タムラカイさん

藤本 GCBには「リーダーがいない」というのも大きなポイントだと思います。日本の場合は「リーダー」というと上司が「自分についてこい!」って言って、周りは冷ややかな目線を送っている……みたいなことになりがちです。

でも「リーダー」と「リーダーシップ」はまったく違いますよね? 私も、リーダーシップ──すなわち「こうしてみない?」と行動や発言をリードすることはあっても、チームを自分が引っ張っていこう、という気持ちはさらさらありませんから。

タムラ 要はファシリテーターの役割ですよね。

藤本 そうですね。「働き方改革」を考えるうえで間違えちゃいけないのは、それによって仕事がラクになるわけではない、つまり「どんな働き方をして成果を出すかを問われている」ということなんだと思います。

しかし、今は個々人でそれを考え、企業に新しい考え方を持って帰った瞬間に「うちでそれはできないから」と心を折られるのが残念ながら現状だと思います。

一方でGCBのようなチームが組織内にあることで、そこに気づく人が増えると思います。さらに言うと、現実問題として「働き方を選択できる社会」の実現はもう少し先のことかもしれませんが、企業の側も個人の多様な働き方のバランスを整え、企業と個人の働き方の整合性を取ろうとしている空気感も感じています。だから、民間レベルでも働き方を変える雰囲気を醸成していければ、と思っています。

藤本あゆみさん
一般社団法人at Will Work 代表理事
2002年キャリアデザインセンター入社。入社3年目に当時唯一の女性マネージャーに最年少で就任。2007年4月グーグルに転職。人材業界担当統括部長を歴任。「Women Will Project」のパートナー担当を経て、同社退社後2016年5月、一般社団法人at Will Workを設立。その後株式会社お金のデザインを経てPlug and Play Japan株式会社にてマーケティング/PRを担当。
GCBという自律したチームが「働き方改革待ったなし」の組織の働き方にもたらす価値を考えた前編。後編ではさらに、働き方“改革”につなげるためのヒントについて話を広げていきます。

働き方改革に必要なステップは「半径5メートルの輪を増やす」こと──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(後編)へ続く


働き方を追求した先に見えた「ビオトープ」というチームのあり方──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(前編)

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