創造的関係性をつくりだす「グラフィックカタリスト」プロジェクト

働き方改革に必要なステップは「半径5メートルの輪を増やす」こと──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(後編)

2018年4月20日



働き方改革に必要なステップは「半径5メートルの輪を増やす」こと──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(後編)

会社組織に所属しながら、本業とは別に、自分のやりたいことを実現できるようになるには? それがグラフィックカタリスト・ビオトープ(GCB)が示す、これからの働き方改革の本質でした。では、そうした価値観が社会的に認められるために、どのような行動が必要になるのでしょうか? 一般社団法人at Will Workの藤本あゆみさんをゲストに招いたGCB対談。後編では「健全な働き方改革を、いかにして社会に広げていくのか」をテーマにディスカッションしていただきました。

働き方を追求した先に見えた「ビオトープ」というチームのあり方──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(前編)

働き方改革実現のための重要ピースは「温故知新」

──前編のトピックの続きです。「自分がしたい働き方」を会社内部で遂行するうえで、1つ邪魔になるのが「世代間ギャップ」ではないでしょうか。今の世代の価値観が会社組織をマネジメントする「上の世代」の考え方と合わないことで、結局現実に引き戻されてしまう……。どこで折り合いをつければよいものなのでしょうか?

タムラ 「世代間ギャップ」はたしかにありますが、僕の経験でいえば、賛同してくれる人、賛同しない人、傍観する人はどの世代にもいるものです。だから変に世代ごとに壁をつくるのではなく、もっと純粋な目で見て、賛同してくれる人を集めればいいと思います。

そして、その際に何が必要なのかといえば、自分が「ちゃんとしてます!」と外の人に示して信頼してもらうことだと思っています。本業のときもそうですし、GCBの社外的な活動で会社側にメリットを生じさせているかもそう。極端にいえば、人として品行方正であるかといったことまで関係すると思います。

グラフィックカタリスト・ビオトープ タムラカイさん
グラフィックカタリスト・ビオトープ タムラカイさん

藤本 ただ、たしかに世代間ギャップはありますよね。今の「働き方改革」は、上の世代の人たちに「これまでの価値観は忘れて、新しいことをしようよ」と問われていると思われるものが多く、上の世代からしたら「もうちょっと自分たちのことも慮ってよ」と思うのもうなずけます。

既存の枠組みやルールから変えなければいけない部分も多々あるでしょうが、上の世代やこれまでの働き方から学べる部分もたくさんあると、私も思います。

タムラ 温故知新ですよね。

藤本 そう。たとえば「週休2日制」は、松下幸之助が生みの親だとされているそうなんですよ。民間企業が導入しはじめたのは、1980年代のことですが、松下電気産業(現・パナソニック)ではそれより前の1965年に導入しています。

タムラ 松下幸之助はなぜ「週休2日制」を開始したのでしょう?

藤本 単に「2日間、からだを休ませる」ということ以上に、「1日学び、1日休む」という意味があったそうです。そこには今までの経験だけでは太刀打ちできなくなる、学び続けることの大切さを込めていたのだと思います。

そういう話を聞くと、一方的に「学びって大切だよ」と言い続けられることが腑に落ちなくても、歴史から学んで理解できることってあるのではないかと思うんです。だから来年のカンファレンスは「歴史を振り返る」「歴史から学ぶ」をテーマに置いてみようと思っています。

ルールは自分たちでつくる──原体験は桐朋生時代だった

──ここまでお話いただいたように「働き方改革」の議論では、個人のマインドセット、あるいは組織・チームづくりの課題等々、さまざまテーマがあると思います。一方で少し視点を変えると、その新しい価値観をいかにして社会全体に広めていけばよいのか、という論点にも行き着きますが、お2人はどう考えますか?

タムラ 誤解を恐れずにいえば「利用する」つもりで人や組織と関わっていくやり方も「あり」なんじゃないかと思います。「利用する」とはつまり、自分に何かしらの「思惑」があるってことですが、社会に広げる以前に思惑のある者同士が、そのことを健全に言える関係を築くことこそがまず必要だと思います。

藤本 at Will Workの名前にしたのもそれに近い考えがあって、個人・会社・社会のいずれにも「will(意思)」を持ってほしいんです。

思惑もwillですよね。お互いの意思や思惑がわかったうえで対話し、合致している部分はやってみればいいし、していない部分は別のアプローチを考えればいい。お互いが手持ちのカードを等価交換していくようなイメージとも言えるでしょうか。お互いのカードがわからなければ、対話のしようもありませんから。

タムラ 今伺ったような「at Will Work」のコンセプトにたどり着く、藤本さんの原体験のような時代ってあるんでしょうか? だいぶ変な学校だった、というのは聞いたことがあるんですが(笑)。

藤本 うん、だいぶ変な学校でしたね(笑)。東京・国立に男子校、調布に女子校がある桐朋中学校・高等学校という中高一貫校の出身ですが、すごく自主性を重んじた学校で、私たち生徒が常に学校側から「どうしたいの?」と問われるような、そんな環境下にありました。

一般社団法人at Will Work 代表理事 藤本あゆみさん
一般社団法人at Will Work 代表理事 藤本あゆみさん

それこそ当時、ルーズソックスが流行っていたから「学校でルーズソックスをOKとするべきか否か」なんてことを生徒同士が真剣に話している。そのときは「履きたい人は履いてOKなんじゃない?」みたいな結論に至ったと記憶していますが(笑)、そうは言いながらも「桐朋生のアイデンティティと、先輩から受け継がれたこの歴史はきちんと守ろう」とか生徒たちが能動的に考えていたりもしているんです。高校の授業は選択制で時間割も自分でつくっていましたし……。

そうやってルールは自分でつくれる、もしも(そのルールが)違うと思ったら発信してもいい、ってことを体験していたことが、今の私を形成しているかもしれないですね。

タムラ 僕も父親ですから、自分の子どもが社会人になったとき、どうやって生きていくんだろうって考えることがあって、最近誰かに会うたびにそんな質問をしているんです。そっか〜。桐朋時代のこと、もっと聞きたいなぁ。

藤本 卒業した仲間同士で話すと「自分たち、みんな偉くはなれないよね」って話していますよ。必要だ、と思ったことをすぐに口にしてしまうし、正しいことを見つけようとするから政治的なこととか魑魅魍魎のなかで勝ち抜くみたいなことがとても苦手(笑)。

そういえば、前編でも話が出た、カンファレンスでタムカイさんとセッションに登壇してもらった瀬戸昌宣くん(NPO法人SOMA 代表理事)も、実は桐朋時代の小学校(小学校は共学)の同級生で、今の仕事をしていたなかでの久々の再開でした。彼の活動も噂には聞いていたんですが。

タムラ 今の世のなかに、前提から検討し直し、自分たちで最適解を導くような桐朋生のような人が合致してきたのかもしれないですね。

社会って何?──社会という言葉のとらえ方

──藤本さんは「社会に広げる」活動についていかがお考えですか? やはりat Will Workでも「社会全体にどう広げるか」みたいな議論になることが多いですよね?

藤本 そうですね。タムカイさんがおっしゃっていたことにも近いのですが「何かルールみたいなものをつくって、それをいっせいに社会に広げて同調させる」みたいなアプローチには違和感があります。「働き方を変える」ことが強制になってはいけないし、「変わることがいい、変わらないことがだめ」というメッセージにしてもいけません。

ただ、そういうことを議論する場に、人をより集めるしかけ方には常に関心があります。働き方改革も、楽しくないと「やってみたい!」なんて思ってもらえないですから。

タムラ すごくよくわかります。僕のGCBの活動も、楽しい感じにしかしていない(笑)。

藤本 必要に駆られてやるのではなくて、一緒にやってみたいと思ってもらえる──そんな雰囲気づくりこそ重要だと思うし、それが本質的な「社会への広げ方」なんじゃないでしょうか。なにごとも、誰かが変えてくれるから変わるのではなく、「みんなが変わる」ことが広がって、それがさらに大きくなったとき「変わった!」となる──そんな構造をイメージしていますね。

タムラ 僕もそう思います。「社会」って言葉を捉えようとしても、一見全部入っているように思える一方で、何も入っていないような気もするじゃないですか? すると「自分って社会の一部なんだっけ?」って疑念に持たれかねません。集まったところに社会の意思が生まれるのであって、社会の意思のもとに自分たちがいるのではありませんから。

同い年、瀬戸さんとも互いに知り合いという共通点もあり、笑顔が絶えなかった
同い年、瀬戸さんとも互いに知り合いという共通点もあり、笑顔が絶えなかった

藤本 at Will Workの活動自体も「1億2,000万通りの働き方」という話をよくしますが、あくまで自分たちが「主体」なんです。私=藤本の働き方を自由に変えていくルールづくりをどうつくることができるのか。

働き方では、たとえば地方はどうなるという課題もありますが、そこをどうしようとはいっさい考えていません。でもそれはきっと、他に人が考えてくれるし、それこそ瀬戸くんが考えてくれています。そういう「みんなが考えられるしくみ」をつくらなければいけないとも思いますし、自分の半径5メートルを変えつつ、その半径5メートルの輪の絶対数が増えていったら、それが結果的に「働き方を選択できる社会」になるのではないでしょうか。

活路は5メートルのなかにあるかもしれないけど、情報は外からたくさん入ってきて、結果的に5メートルの色合いもどんどん変わってくる──それが私たちの実現したい社会なのかもしれません。

藤本あゆみさん
一般社団法人at Will Work 代表理事
2002年キャリアデザインセンター入社。入社3年目に当時唯一の女性マネージャーに最年少で就任。2007年4月グーグルに転職。人材業界担当統括部長を歴任。「Women Will Project」のパートナー担当を経て、同社退社後2016年5月、一般社団法人at Will Workを設立。その後株式会社お金のデザインを経てPlug and Play Japan株式会社にてマーケティング/PRを担当。

働き方を追求した先に見えた「ビオトープ」というチームのあり方──【対談】at Will Work藤本あゆみさん×GCBタムラカイさん(前編)


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