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【レポート】漢方と日常生活を融合させるには? オープンイノベーションの実践 ──漢方ICTワークショップ(前編)

2015年06月02日



【レポート】漢方と日常生活を融合させるには? オープンイノベーションの実践 ──漢方ICTワークショップ(前編) | あしたのコミュニティーラボ
長年、健康やQOL向上に貢献してきた漢方医学。近年は慢性疾患患者の増加や医療費高騰といった医療問題を受け、病気予防の手段としても注目されています。一方、診療する側からみると暗黙知が多く、ノウハウを共有しづらいため「普及すれども定着せず」とも言われています。その溝を埋めるべく、北里大学東洋医学総合研究所と富士通グループが協働で行う「ICTを活用した漢方診療における暗黙知の形式知化・標準化に挑戦するプロジェクト(通称:漢方ICT)」。あしたラボでもその活動を追ってきましたが現在コア技術の開発を進めるその一方で、漢方医学のデジタル化によって実現可能な未病ケアコンセプトを検討しています。今回はコンセプト検討にあたって行われたワークショップ“漢方を用いた未病制御が生活文化として定着している日常を考える”の様子を、前後編にわたってお届けします。

生後7カ月から61歳まで、セクターを越えて集まった多様なメンバー

2015年1月10日、最年少は生後7カ月の赤ちゃんから最年長は61歳まで、総勢45名のメンバーがHAB-YU platformに集まりました。なかには、北里大学東洋医学総合研究所の医師・鍼灸師や職員の方、富士通グループ社員、科学技術振興機構などのプロジェクトメンバーをはじめ、特別ゲストとしてダンサー、デザイナーやカメラマンなどのクリエイティブメンバーなども参加しました。

この日のゴールは、漢方ICTが実現するゴールをわかりやすく表現すること。具体的には「明確なブランド価値を記すフレーズ」としての“タグライン”を抽出し、さらにそのタグラインの意味を身体の動きで表現するワークショップです。これからも数年にわたって継続する国家プロジェクトを発展的に進めていくには、関係者間でのプロジェクトに対する価値意識(タグライン)を明確化し、共有していくことが重要です。

なぜ身体表現を利用するのか。2つの理由があります。1つは、タグラインとしてメンバーの意見を集約していく過程で、あえて言葉を使わずに漢方の価値を表現することにより、言語として表層化されていない意識まで抽出することができる可能性があるため。もう1つは、身体を使う表現をグループ単位で考えることで、チーミングが発展するという効果が期待できるためです。

診療現場だけではなく、日常生活や家庭にも浸透させていきたいという思い。それをベースに考えると、将来の未病ケアを支える漢方ICTには、より多くの人々に使いやすい形のUX/UI(ユーザーにどのような体験をしてもらうか、それをどうサービスのデザインに落とし込むかを表す用語)が必要となり、多くの人の声や実体験をもとにつくりあげることが重要なのです。
【レポート】漢方と日常生活を融合させるには? オープンイノベーションの実践 ──漢方ICTワークショップ(前編)堅い表情の方が多かったワークショップ開始冒頭。終了時にはどんな表情を見せているのでしょうか

10年後の未来に向けてのインプット

まず、ワークショップの統括コーディネーターである富士通総研の片岡枝里花さんが、これまでのプロジェクトの経緯や漢方による未病制御がビジネスにもたらす可能性についてプレゼンテーションを行いました。リスクは高いものの、実用化への大きな期待がかかる分野での融合・連携をテーマとした漢方ICTの活動によって、漢方という伝統医学に新しい可能性を描くきっかけをつくることができ、現在までに着実なコア技術の開発を進めてきた、と続けます。
kampo01_03ワークショップの統括コーディネーターである富士通総研の片岡枝里花さん
続いて、漢方ICTのリサーチリーダーである、北里大学 東洋医学総合研究所所長の花輪壽彦さんから、長年漢方医学の臨床に携わってきた実体験をもとにした、10年後の漢方医学による未病制御の可能性に対するビジョンが語られました。
【レポート】漢方と日常生活を融合させるには? オープンイノベーションの実践 ──漢方ICTワークショップ(前編)漢方ICTのリサーチリーダーである北里大学東洋医学総合研究所所長 花輪壽彦さん
そもそも未病制御とは“病気になる前の段階から心身の不調を把握し、ケアする仕組みをつくること”。ウェアラブルセンサーやスマートデバイスなどのテクノロジーの進化と漢方医学が融合することにより、医療費削減や漢方という心身を含めた人体を定性的にとらえる手法によって、あらゆる年代の人々が抱える不定愁訴がなくなり、子どもや大人、高齢者が相互に常に支え合う体制が整えられる、とその壮大なビジョンを語りました。

では、それを考えるヒントはどこにあるのでしょうか。外部の有識者として、サステイナブルデザインやエコデザインなどの研究活動を行う桑沢デザイン研究所 本田圭吾さんからは未来の理想像から現在に必要な行動を考える「バックキャスティング」や、社会が持つ課題をデザイン対象とする「ソーシャルデザイン」に関する考え方が紹介されました。

【レポート】漢方と日常生活を融合させるには? オープンイノベーションの実践 ──漢方ICTワークショップ(前編)
キーノートセッションスピーカーの桑沢デザイン研究所 本田圭吾さん(左)、
未来予報研究会 曽我浩太郎さん(中央)、宮川麻衣子さん(右)

また、テクノロジーを起点に未来ビジネスのリサーチやミートアップを展開している未来予報研究会の曽我浩太郎さんと宮川麻衣子さんからは、2025年のライフスタイルやヘルスケアの最新動向から描いた未来が共有されました。参加メンバーにとっては“これからライフスタイルはどう変化するのか?”をインプットしながら、「漢方とは何か?」「漢方によって何ができるのか?」という問いをあらためて考え直す時間となりました。

“漢方の活用”に向けて、未来予測やフレームワークを学んだ参加者たち。現状とフレームワークのインプットが終わった後は、いよいよアウトプットの時間です。今回は「身体表現」で漢方活用シーンを表現するというユニークなプログラム。後編ではアウトプットの様子をお伝えします。

【レポート】踊って伝える! 共通言語「ダンス」で漢方を広げる ──漢方ICTワークショップ(後編)へ続く


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