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こんにちは、あしたのコミュニティーラボ編集部の福村です。10月24日(土)、大分大学経済学部とJリーグの大分トリニータを運営する大分フットボールクラブ(以降、大分FC)、富士通総研が共同で開催したアイデアソンを運営サポートしました。

立教大学とのアイデアソン社内ハッカソンなど、さまざまなイベントに関わるなかで、ある仮説を持つようになってきました。それは、共体験、つまり「1つの同じ空間を共に体験することで、暗黙の前提を共有することができ、共感性が高まり、真の課題に根差したアイデアが創発される」こと。この仮説を、今回垣間見ることができました。

周囲を巻き込み、社会的価値を生み出せる人材を育てる

主催元である大分大学経済学部は「経済合理性を生み出すとともに、社会的価値を創出する」イノベーション人材の育成を目指し、企業や公的セクターと連携した授業開発に取り組んでいます。

今回のアイデアソンまでの流れ(作成:編集部)
今回のアイデアソンまでの流れ(作成:編集部)

今年初頭から段階的にアイデアソンに取り組み、今回はじめて正式な授業としてアイデアソンを開催しました。

若い世代を大分トリニータのファンにしたい

アイデアソンを共同開催したのは、Jリーグに所属する大分トリニータを運営する大分FC。“サッカーを通じて、大分の活力に貢献する”という企業理念のもと、チームの成績だけでなく、地域での関わりを大切にしながら事業運営にあたっています。

大分FC 経営企画部 副部長の河野真之さんは「20歳前後の若い世代とのつながりが少ないことを危機感として持っていました。企業の視点から言えば、今回の企画は大分FCの新たなファンになってほしい大学生を “ターゲットとして調査”するねらいもありました」と言います。

自らも参加して対話を重ねる大分FC 経営企画部 副部長の河野真之さん
自らも参加して対話を重ねる大分FC 経営企画部 副部長の河野真之さん

今回の取り組みは、”大分に活力を”という大きなテーマのもと、大分大学経済学部と大分FCの目指すゴールが重なり実現しました。

大分トリニータと若い世代をつなぐアイデア

「大分トリニータと若い世代との絆を深めるアイデア」をテーマに、学生、大分FC、教員、地元企業、公益セクターなど、総勢45名が参加したアイデアソン。10チームが競いあったなかで、グランプリを獲得したのは、学生2名と社会人2名の混成チーム「にこにこ大分」でした。

同チームのアイデアでは、まずスタジアムの空きスペースに電光掲示板を設置。その掲示板を通じ、観客全体の盛り上がりを可視化し一緒に盛り上がり、スタジアムとスタジアム外のサポーターがインタラクティブにやりとりします。それによって、ファン同士の絆を深め、ひいては地域全体に一体感をもたらすことを目指したサービスでした。

グランプリを獲得したにこにこ大分チーム。学生2名と社会人2名の混成チーム
グランプリを獲得したにこにこ大分チーム。学生2名と社会人2名の混成チーム

審査員を務めた大分FCの青野浩志代表取締役社長は「大分銀行ドームは、サッカー専用としてつくられたわけではないため、観客席とフィールドの距離感があり過ぎると感じていました。その距離感を埋め、ファン同士の一体感を醸成できるところに魅力を感じました」と評価しました。

1枚の写真が物語る課題

今回学生は、真の課題を現場体験から見つけるためにアイデアソン3週間前にフィールドワークを行いました。大分市内や大分銀行ドームに足を運び、試合観戦や観客へのインタビューなどを通じて、課題を探りました。結果としてグランプリのアイデアは、フィールドワーク中に撮影したスタジアムの写真から生まれました。

にこにこ大分チームの原田莉奈さん(経済学部 3年生)は「“アイデアカメラ”のワーク中に、スタジアムとフィールド間のトラックを選手が寂しそうに歩いている1枚の写真を見つけました。その後のペアブレストで、同期の毛利早希さんとその話で盛り上がり、空いているスペースを有効活用して、スタジアムをもっと盛り上げるアイデアが出てきました」と、フィールドワークの効果を振り返ります。

原田さんのアイデアに共感し、同じチームになった毛利早希さんからも「お互いスタジアムを見ているので、実体験としてすぐに共感できました」とのコメント。そのアイデアに社会人の視点が加わることで、スタジアムの距離感を埋め、ファン同士の一体感を生み出すアイデアができあがりました。

フィールドワーク中に学生が撮影し、アイデアの着想のきっかけになったスタジアムの写真
フィールドワーク中に学生が撮影し、アイデアの着想のきっかけになったスタジアムの写真

共体験が導く真の課題

「フィールドワーク」は、人々がつくり出した空間や環境、そこでの行動など、実際の現場を”ありのまま見る”ことで、その背後にある暗黙の前提を捉える、「質的」なリサーチ方法です。プログラム設計とファシリテーターを担当した富士通総研のシニアコンサルタント 黒木昭博さんはこう振り返ります。

「アイデアソンの前にフィールドワークを取り入れることで、アイデアソンの場だけの着想に捉われず、言葉になりにくい現場の課題に根差したアイデアを創発していくことがねらいでした」

これが功を奏し、にこにこ大分チームの原田さんと毛利さんは、体験をもとに1枚の写真に共感し、アイデアが創発されました。

さらに、発想内容の質に加え、今回共体験がもたらした効果はもう1つあります。それが、「大学生へのマーケティングに関する手応えだった」と、アイデアソンにプレーヤーとしても参加した、大分FCの河野さんは言います。

「大きく2つの発見がありました。まず学生への大分トリニータの認知度が想像以上に低いこと。そして、さまざまな人とつながりを持ちたいが、干渉もあまりされたくない傾向がある大分に住む学生の心理を理解できたことです。今回の体験を活かして、若い世代の深層心理をくすぐるようなサービスを考えていきたい」

今回の活動を大学生と共体験することにより、定量的なデータや単なるアンケートだけでは見えてこなかった課題を浮き彫りにすることができました。

同じ空間を共に体験しているからこそ、暗黙の前提を共有でき、共感性が高まり、真の課題に根差したアイデアが創発される。今回のアイデアソンは1つのケースでしかありませんが、私自身もアイデアソンに実際に参加し、主催者や参加者の声を聴きながら、共体験の重要性を体感できた時間でした。

【関連リンク】
大分大学経済学部
大分トリニータ
富士通総研


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