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地域コミュニティーの先進事例から学ぶ── 人と社会を動かすコミュニケーションのヒント
イベントレポート(下)

2013年06月05日



地域コミュニティーの先進事例から学ぶ── 人と社会を動かすコミュニケーションのヒント<br />イベントレポート(下) | あしたのコミュニティーラボ
地域を盛り上げるファシリテーターの成功体験から、仕事やプライベートでも使えるコミュニケーションのヒントを学ぼうという本イベント。後編では、青森県で地域活動に奔走する米田剛さんのプレゼンテーションと、山崎亮さんモデレートによるトークセッションなどの様子をお届けします。

前編はこちらから

仕事の専門性を地域社会に生かせるプロボノの喜び

プロボノとして地域の情報化を進めている株式会社富士通システムズ・イーストの米田剛さん
プロボノ(職能を社会貢献に生かす人)として地域の情報化を進めている米田剛さん。富士通システムズ・イーストに勤務しながら、NPO法人・地域情報化モデル研究会の代表理事も兼任し、公私ともに、ICTを活用して地域を元気にする活動に取り組んでいます。

2007年にNPO法人を設立。地域SNSで青森の人と人をつなげ、地域商店のウェブ発信基盤「ぷらなび」で青森の人と店をつなげました。2009年からはICTによる観光の活性化に取り組み、太宰治生誕百年を記念した観光情報基盤の提供、地元のレンタカー会社とNPOとのコラボによる旅行者誘致、地域の視点で旅行プランなどを組み立て集客につなげる着地型観光クラウドサービスの提供などを行っています。
観光ルートをナビつきで道案内してくれる「Myルートガイド」
観光クラウドで利用できる「Myルートガイド」は、自分で設定した観光ルートをナビつきで道案内してくれるサービス。マップ上で行きたいスポットをクリックしていくと、最短の運転経路が表示され、クローズアップすれば移動ルート周辺の立ち寄り情報も浮上します。「定番の名所だけではなく、埋もれがちな地元発信の小さな観光資源も拾い上げ、ユーザー独自の視点で立体的に観光ルートを組み立てられるところにこだわった」と、米田さん。

このサービスは青森県内30団体で共同利用され、各観光サイトで広域周遊ルート案内に活用されています。地元ならではの緻密な観光情報は、自治体からオープンデータとして無料提供されたもの。現場の生の声、旬な話題も拾い上げて地域情報資源を集結する観光クラウドは、旅のおもしろさである小さな発見を促すプラットフォームとして機能します。地域のデータで地域をつなぎ、埋もれた魅力を浮上させたい。それが、米田さんの願いです。

米田さんがNPO法人・地域情報化モデル研究会を立ち上げたのは、「富士通社員として何らかの形で地域社会と接点を持ちたい」と考えたからです。行政、企業、住民など、さまざまな立場のプロボノ組織として、地域の知恵とリソースを集めて関係性を強め、創造的に地域の課題を解決し、地域活性化のモデルを築く。観光クラウドなどの新たなICT需要の創出は、富士通の本業にも関わります。
三方良しで続けられる地域貢献のモデル図 (提供:米田剛さん)
「非営利で地域のために役立ち、しかも職業上の専門性が生かせるプロボノの活動は、お金に代え難い喜びがある」と、米田さんは言います。個人の社会参加と企業の社会事業の架け橋になるのがプロボノ。企業は従業員を地域社会に解放し、従業員は地域社会に対して善意と知恵の貢献をして、地域社会は企業と共創関係を結ぶ。こうした三者関係は、それぞれに価値を生みます。企業にとっては人財育成、新需要の創出、CSRの向上。従業員にとっては創造性や見識の拡大、新たな働く喜びの発見、ネットワークづくり。地域社会にとっては市民の参加と恊働による創造的な課題解決、といった具合に。

「プロボノの良さは、こうした“三方良し”の好循環で地域貢献を続けられること」と、米田さんはまとめました。

世のため人のための大風呂敷なら、穴だらけでもいい


山崎さんから3人に、共通の質問が投げかけられました。

「たくさんの人々とコミュニケーションをとりながら新しいタイプの事業を進める際の心構えや、気をつけていること、工夫していることは何でしょうか?」

「社会貢献はこうあるべきだ」と、他人に無理強いしてはならない。そう考える左京さんは、自分がやりたいことを話すのではなく、地域の人たちからやってみたいことを聞き出すようにしています。お願いするのではなく、地域の人たちが主体的に動き出す状態をつくろうと心がけている、というのです。

「それはとてもよくわかりますね」と山崎さん。コミュニティーデザインも、基本は「聞く」仕事だそうです。話の聞き出し方、まとめ方。その意見を、地域の人たち自身が実現してみたくなるように仕向けること。そこに専門性が発揮されるのです。

資金調達は、大きな責任を伴う仕事。米良さんは、その自覚を持ちつつ、勇気を出して社会的なプロジェクトに一歩を踏み出した人たちと並走する気持ちで応援し、ポジティブな循環をつくりあげようと心がけているそうです。

頭で考えるのではなく感覚で物事を判断するタイプだという米田さんは、自分のバイブレーションと同調する人たちとつきあうのがコツ、と明かしてくれました。新しい事業の場合、計算づくでやれるのは半分まで。あとの半分は運で、これが成功のカギ。運を引き寄せられるかどうかは、「世のため」「人のため」にどこまでこだわれるか、にかかっている。「世のため」「人のため」の原則にズレなければ運を招き寄せる出会いがある、と米田さんは信じています。

それを受けた山崎さんいわく、「穴だらけの大風呂敷を広げる」。「私のためではなく、世のため、人のための大風呂敷であれば、たとえ穴だらけでも、それを埋めてくれる専門家が現れることが多い」というわけです。

そうはいっても、社会起業家って食べていけるの?

質疑応答での回答に、真剣に耳を傾ける参加者の皆さん
参加者同士のディスカッションのあと、質疑応答で「社会が何を欲しているのかを知るすべは何でしょう?」という質問がありました。

山崎さんは、「地域に聞くのがベスト」と明快に回答。最初に、地域でおもしろい活動をしている人を3人紹介してもらい、現状と課題をヒアリングし、そこから芋づる式にキーマンをたどって、ひたすら話を聞き回ります。どこかの会議室に集まってもらうのではなく、家か仕事場に訪ねて行くのがコツ。そこにある、いろいろなモノが話のきっかけになることが多いからだそうです。

「中高生の関心を引いて集客するには」という質問にも、左京さんが、かつて中高生1,500人にアンケートした結果、思いがけない回答が多かったことを引き合いに出し、「本人たちに聞く」ことの大切さを強調しました。また、山崎さんは、ウェブ2.0やオープンデータといったトレンドが日常化した未来に生きる中高生のICTへの関心は非常に高く、米田さんのような活動を引き継ぐ人たちがこの世代から現れるにちがいない、と補足しました。

「社会起業家って食べていけるのでしょうか?」という、誰もが気になる当然の疑問に、これ以上ない的確な答えを出してくれたのは左京さんです。

あなた次第でイエスでもあるし、ノーでもある、と。あの人に仕事を頼みたい、相談してみたい。そんなふうに思ってもらえるスキルや知識や人柄があるかどうか。考えてみれば、これは社会起業家に限ったことではなく、どんな仕事でも同じです。社会起業家を特別な仕事と考える必要はないのでしょう。

山崎さんによれば、コミュニティーデザインの場合、「その人がいることで、ちょっとだけその場が明るくなる」ことが求められる素養のひとつだそうです。これも、コミュニケーションに関わる仕事には必須の条件かもしれません。

左京さんは会社員の経験があり、米良さんは大学院からそのまま、米田さんは現役の会社員。そんな「働き方」にも通ずる三者三様のバックボーンで、「人と社会を動かすコミュニケーション」の仕事に携わっています。
プログラム終了後も、会場では遅くまでコミュニケーションの輪が広がっていた
今回のワークショップイベントに参加した会場の皆さんは、プログラム終了後も遅くまで近くの人たちと熱の入った会話を楽しんでいました。それぞれの立場から登壇者の話を自分なりに消化して、コミュニケーションのヒントを持ち帰ったのではないでしょうか。

「あしたのコミュニティーラボ」では、今後もさまざまなテーマでイベントを開催していきます。ご期待ください!


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