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「日本ファブラボ会議2013」イベントレポート
——第1部「ファブラボのいま」(前編)

2013年10月01日



「日本ファブラボ会議2013」イベントレポート<br/> ——第1部「ファブラボのいま」(前編) | あしたのコミュニティーラボ
FabLab Japan Networkと〈あしたのコミュニティーラボ〉がタッグを組み、2013年8月30日(金)に行われたイベント「日本ファブラボ会議2013」。第1部・第2部ともに、イベントの模様を詳しくお届けします。第1部では、国内のファブラボ運営者を中心に、各拠点の取り組みや、FAB9の振り返り、今後の内外ネットワークとの連携の可能性について考えました。

1週間のクリエイティブサマーキャンプ

8月21日(水)〜27日(火)、横浜で開催された第9回世界ファブラボ会議(FAB9)。39か国、250名のファブラボ関係者が5会場を渡り歩き、国際シンポジウムには800名が参加するなど盛況のうちに幕を閉じました。それを受けて開催されたのが、「日本ファブラボ会議2013」です(主催:FabLab Japan/共催:あしたのコミュニティーラボ/協力:公益財団法人日本デザイン振興会)。六本木・東京ミッドタウンのイベントスペースDESIGN HUBには、昼過ぎからファブラボや次代のものづくりに関心を寄せる社会人が集まりました。
慶応義塾大学環境情報学部准教授の田中浩也さん
15時から始まった第1部では、国内6か所のファブラボ運営者が登壇し、FAB9を振り返りました。まず実行委員長の田中浩也さん (慶応義塾大学環境情報学部准教授)が、大きな失敗もなく無事終了したことを報告。そもそも「世界ファブラボ会議」とは、学会でもなければビジネスミーティングでもなく、世界のファブラボ関係者が一堂に会する1週間の集中強化合宿です。

田中さんが初めて世界ファブラボ会議に参加したのは第5回のインド。身のまわりの問題を解決するための発明力の高いものづくりに1人ひとりが取り組んでいることを目の当たりにしました。そして、ぜひ日本でも開催したいとの悲願が、今回実ったというわけです。

今回のFAB9は、世界と日本のファブラボ関係者が情報交換のできたよい機会。1日の流れはざっとこんな具合でした。

朝9時に集合して各ラボが3分間ずつプレゼンテーション。次いで日本と海外から1人ずつ招待講演が行われ、有意義な議論が展開されました。午後は分科会。ものづくり技術、ファブラボのマネジメント、社会に対する影響など、各々が興味をもつテーマについて会場を分けてセッションが行われました。ものづくりセッションでは、24時間作業のできる特設スペース「スーパーファブラボ」で、ナカダイマテリアル提供の産業廃棄物を使ったオリジナルリサイクル楽器を競作するという総合テーマに有志が取り組み、最終日にはその成果を披露する自作楽器コンサートで大盛り上がり。ディナーは、「おもてなし」の発想を逆転させ、あえて海外の人たちに怪しげな巻き寿司などをつくってもらい、それをみんなでおいしくいただきました。そのまま飲み会に突入し明け方まで! そして朝9時にはまた元気に集まる。そんな1週間でした。
FAB9は、ものづくりや飲食をともにしながら、世界中のファブラボ関係者が意見交換を行う貴重な場となった
(提供:FabLab Japan Network)

最年少参加者は2歳、最年長は75歳。年齢も国籍も多様なメンバーが集まり、1人ひとりの顔が見えるグローバルなつながりができたと田中さんは感じています。世界ファブラボ会議は、何のためにファブラボを運営しているのか、最初の動機づけ、ルーツの部分、1人ひとりの原点を年に一度確認し、交換し合う場。そしてそれを明日からの活動につなげていく場。田中さんはそう捉えています。

Learn(まなぶ)-Make(つくる)-Share(わかちあう)のサイクルを回すファブラボには、国や地域によって各々さまざまな目的があり、外部から見ているとわかりにくい反面、その幅広い多様性の中から、新しいコンセプトが生まれる可能性も高い。FAB9を1つの契機として、それを探る努力を続けていきたい、と田中さんは締めくくりました。

既存の企業にはない、スピード感のあるものづくり

6か所のファブラボの運営者から、それぞれのファブラボの紹介と、FAB9に参加した感想が述べられました。

「FabLab kamakura 」は、2011年、FabLab Tsukubaと前後し日本で初めて発足したファブラボの1つ。秋田から移築した125年前の酒蔵を拠点に、鎌倉という地域性に根づいて、コミュニティー、リサーチ、インキュベーションを3本柱とし、地元の職人や工芸家とデジタル工作機器との出会いによる新たな商品開発、親子が一緒にものづくりを楽しめる“ファブラーニング”、途上国のファブラボとのコラボなど、さまざまな活動 を展開しています。
FabLab kamakura LLC代表の渡辺ゆうかさん
FabLab kamakuraの渡辺ゆうかさん は、FAB9のテーマの1つだった「教育」に着目しました。未来への投資として、ファブラボは子どもたちにどんな教育プログラムを提供できるのか。海外ではすでにさまざまな取り組みが成されています。今回、アジアのファブラボのネットワークができたことで、時差のない韓国や台湾と遠隔でワークショップが可能になりました。そこでの共通語は英語。日本のネックは語学力とプレゼンテーション力なので、そのスキルをボトムアップしていきたいと渡辺さんは考えています。

茨城県の筑波大学のすぐそばにある「FPGA-CAFE / FabLab Tsukuba」はエレクトロニクスのエンジニアのコミュニティースペース。日曜日のみ営業で、電子部品の販売や、カフェで紅茶やコーヒーも飲めます。2012年に大学発ベンチャー企業、株式会社SUSUBOXを設立。FPGA-CAFE / FabLab Tsukubaを運営し、FPGA(Field-Programmable Gate Array=書き換え可能な集積回路)を用いたパーソナルファブリケーション向けのツール開発などでビジネスチャンスを探っています。
SUSUBOX代表取締役の相部範之(すすたわり)さん
SUSUBOX代表取締役の相部範之(すすたわり)さんは、FAB9最終日の手づくり楽器コンサート に特別ゲストとして招かれた宇田道信さんと、彼が開発した新しい電子楽器「ウダー」について語りました。ウダーは、円柱型の本体を両手で握り、巻かれたロープを押せば音が出るしくみ。宇田さんはFPGA-CAFE / FabLab Tsukubaの利用者です。演奏が終わると、どんな構造になっているのか興味津々の各国の参加者がステージに殺到し、宇田さんを取り囲んでいたのが、いかにもファブラボ的な光景でした。

「FabLab Shibuya」は今のところ都内唯一のファブラボです。入居しているのはシェアオフィスで、デザイナーや建築家などプロのクリエイターとアマチュアが同じテーブルについてコミュニケーションできます。PCの画像データから出力できるように古い編み機を改造しソフトをオープンソース化したり、ハイブリッドカーを電源に使い、学校で子どもたちに「ファブ体験」してもらう 出前式 “モバイルファブラボ ” などのプロジェクトを展開中です。
FabLab Shibuyaの井上恵介さん
FabLab Shibuyaの井上恵介さんがFAB9に感じたキーワードは「スピード」でした。その場にある廃材で楽器をつくり、見ず知らずの人とバンドを組んで演奏する。それを1週間でやってしまう、そのスピード感。いま手を動かせる人たちが即座に集まり、ウェブとリアルを行き来しつつ、同じ空気を吸いながら共通の目標に向かってものづくりを完成させるスピード感は、既存の企業にはないものです。ファブラボの神髄はこれだ、と井上さんは痛感したそうです。

後編に続く


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