Cases
社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

健康であり続けるためのプラットフォームのつくり方

2014年03月10日



健康であり続けるためのプラットフォームのつくり方 | あしたのコミュニティーラボ
健康との理想の付き合い方とは、どんなものだろう。健康を目的に何かをするのではなく、スポーツやエクササイズなど楽しいことに熱中していたら、いつのまにかそうなっていた――。そんな、目的ではなく「結果」としての健康を実現するためのしくみを、プラットフォームとして提供する企業がドコモ・ヘルスケアだ。NTTドコモとオムロン、2つの企業グループが手を携えたこの取り組みを通じて、ヘルスケアの新しいビジネスモデルの可能性を探ってみたい。

健康へのモチベーションをくすぐる

「からだと社会をつなぐ」。
これは、2012年に設立されたドコモ・ヘルスケア株式会社が掲げるビジョンだ。

モバイルのサービスを進化させ、さまざまな産業との融合によって、新たな価値創造への取り組みをクラウドで加速させるNTTドコモ。

家庭で計測したデータを、個人の健康管理から医療現場まで活用し、生活習慣病の予防・治療や疾病管理をサポートするオムロングループ。

両グループ企業による提携は、どのようにからだと社会をつなごうとしているのか。

「血圧計や体重体組成計など多種多様なオムロンの健康機器の技術と、ドコモのモバイルITが融合したうえに、新しいサービスレイヤーをつくるのがドコモ・ヘルスケアのミッションです」と同社代表取締役社長の竹林一さんは語る。

「健康を計るしくみはすでにあります。これからは健康であり続けるしくみを提供したい。データを分析して体調を見える化するだけでは、サービスとはいえません。ウェルネス(健康美容)やメディカル(医療)領域の多様な企業と連携し、トータルなヘルスケアのためのプラットフォームを構築して、からだ発のライフスタイルを提案する。それが、からだと社会をつなぐことになります」

ドコモ・ヘルスケア株式会社代表取締役社長の竹林一さん


ひとくちにヘルスケアといっても、年齢性別によってニーズは違う。

たとえばダイエット。中年男性の目的は肥満解消やメタボ予防だが、若い女性にとっては、友人の結婚式までスリムになりたい、水着の季節までスタイルを良くしたい、というモチベーションだったりする。明らかに前者はメディカルよりの領域で、後者はウェルネスを指向している。同じダイエット目的でもユーザー層によってサービス提供の建てつけを変えなければならない。

ヘルスケアのサービスモデルを考えるうえで最も重要なのが、こうしたモチベーションをくすぐるしくみのつくり方、と竹林さんは強調する。

「メディカルの領域でモチベーションを与えるのは医師です。お医者さんのサポートで患者さんは早くウェルネスを取り戻したいと努めます。一方、ウェルネス志向のモチベーションになり得るのがモバイル端末ではないかと。常に持ち歩いているスマホと健康機器を連動させることによって、健康へのモチベーションをアップし、健康であり続けるしくみを提供できると考えています」

投薬だけに頼らない、データによる医療予防へ

では、モバイル端末と健康機器をどう連動させることによって、健康であり続けたいという気持ちをくすぐることができるのか。

たとえば、ドコモ・ヘルスケアのスマホアプリに「カラダのキモチ」がある。自分と会話するようにして体調のリズムがわかり、それに応じた快適な生活を送るためのアドバイスが受けられる女性向けのサービスだ。10秒で検温できるオムロンの婦人体温計をスマホにかざすと測定データが転送され、基礎体温のグラフが作成される。これに基づき、あなたに合った食やセルフケアなどのアドバイスが届き、体の変調も発見して通知。受診勧奨メッセージをきっかけに医者にかかると見舞金も支払われる。

また「からだの時計 WM」は、体内時計を整えて、健康的なからだづくりをサポートするサービス。約1,000本のヘルスケア関連コンテンツが使い放題で、生活リズムを判定し、ダイエットや疲労回復、アンチエイジングなど目的別に合ったアドバイスも届く。健康電話相談も年中無休、通話料無料で受けられる。さらに、手首にはめて歩数や消費カロリー、睡眠時間を計測し、アプリで確認できる「ムーブバンド」もある。
「からだの時計 WM」生活リズムチェック画面と「カラダのキモチ」アドバイス画面
(提供:ドコモ・ヘルスケア株式会社)

「ヘルスケアには食事も睡眠も運動も大切ですし、万一の際の医療保険も欠かせません。しかし、それらのサービスはこれまでバラバラに存在していました。モバイル端末を通じてそれらを統合し、集積されたデータの一元的な蓄積・分析・予測によって、1人ひとりのニーズに合ったヘルスケアのサービスを簡単に利用できるプラットフォームを目指しています」と竹林さん。

おもしろいのは、データからさまざまな傾向が読み取れることだ。プラットフォームに集積する全国数十万人のユーザーの健康データをもとに、個人情報をカットして集計すると、地方圏より大都市圏のほうが1日の歩数が多い、秋から冬にかけて全国的に血圧と体重が上昇する、平均睡眠時間の県別比較、といった事実が浮かび上がってくる。

こうしたビッグデータを分析していくと、たとえば血圧と気温や室温の相関関係がわかり、寒い朝は起床1時間前に暖房を入れるようにすると血圧の上昇を防げる、といったソリューションを提供できるかもしれない。

竹林さんは、「個人の特性に合わせてそうしたメッセージが出るようになれば、薬だけに頼らず病気の予防も可能」とみている。
蓄積された健康データをもとに、全国の健康に関する情報をみることができる「にっぽん健康情報マップ」

しくみを、コミュニティーに埋め込む

健康であり続けるしくみの提供によって、からだと社会をつないだ先に、どんな社会のあり方が見えてくるのか。

2020年、東京オリンピック。スポーツで世界の視線が日本に集まる一大イベントに、ヘルスケアの観点から竹林さんは着目する。

「海外の人たちに、『なんで日本のお年寄りはこんなに元気なの?』と思わせたいじゃないですか。みんなよく歩くし、血圧も安定している。超高齢化社会でも元気な国があることを世界にアピールできたらすてきですよね。

ある調剤薬局の社長に聞いた例ですが、ポイントカードの点数がたまったら商品を割り引くのではなく、お客さんみんなで温泉旅行や海外旅行に行くのだそうです。すると、医者に通ってきちんと薬を飲み、食事にも気をつけて来年もみんなで旅行に行きたいと、お年寄りのモチベーションが上がる。健康であり続けるしくみはあくまで手段であり、いうなれば縁の下の力持ちであって、コミュニティーのなかにそれをうまく組み込めたとき、初めて健康で豊かな社会が到来するのだと思います」

「レコーディングダイエット」がひところ注目を集めたように、たとえば歩数や歩いた距離・時間・経路などを記録すること自体で、いつのまにか歩くことが楽しくなり、結果として健康になった、ということはよくある。

どこをくすぐれば健康へのモチベーションが高まるかには個人差がある。そこがヘルスケアのビジネスモデルの勘所だ。

ちなみに、ドコモ・ヘルスケアの社員の健康に対する意識はどうなのか。

「健康をミッションとする会社の社長が痛風でした、ではお話にならないので、最後まで課題だった尿酸値を先日の社内検診でクリアしました」と竹林さんは笑う。
竹林さんの右手にもムーブバンドが
とはいえ、事業推進本部プロモーション部長の中川博人さんによれば、「健康のために特別何かを社員に強制してはいない」そうだ。

「ただ、ヘルスケアのサービスを提供していると、医師等の専門家が監修したアドバイスがおのずと頭に入り、その知識を日常生活に活かせます。現にそれを実践することで体に良いことがある。だから自然に健康意識が高まっているのではないでしょうか」

ドコモ・ヘルスケア株式会社事業推進本部プロモーション部長の中川博人さん


強制される「ねばならない」から高いモチベーションは生まれにくい。これは仕事も健康も同じだろう。運動でも食事でも美容でも睡眠でも、自発的に何か強い動機に突き動かされて取り組むうちに、楽しくなって続けられる。その結果として健康になり、コミュニティーも活気づく。そんなプロセスを支援することが、社会とつながるヘルスケアビジネスの核心であるに違いない。

ドコモ・ヘルスケア株式会社

3月13日(木)のヘルスケア・イベントでは、ドコモ・ヘルスケア代表取締役社長の竹林一さんが登場します! 詳細は下記のリンクをご覧ください。
http://www.ashita-lab.jp/special/1824/


いいね!を押して
Facebookページをフォロー

あしたラボの最新情報をお届けします。

Twitterであしたラボ(@ashita_lab)をフォローしよう!

皆さんの感想をお聞かせください!





  • facebook
  •  twitter
  • USTREAM
  • RSS

Copyright 2017 あしたのコミュニティーラボ