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東北を元気にするアイデアをEyes,JAPANと考えてみた ――「さくらハッカソン2014」に向けて(後編)

2014年03月31日



あしたのコミュニティーラボ(以下、あしたラボ)が主催する「さくらハッカソン2014」(4月12〜13日)に先立ち、アドバイザーのEyes,Japan社長、山寺純さんとあしたラボ編集部スタッフが、〈東北を元気にするアイデア〉を考えてみた。前編に引き続き、「プレ・さくらハッカソン」のレポートとして、ぜひアイデア発想の参考にしてほしい。

前編はこちら

東北の桜プラスαの「体験」をどう演出するか

富士通は東北・夢の桜街道プロジェクトの一環として、あしたラボでも紹介した観光クラウドサービス「Webルートガイド」を基盤に、東北の桜の札所八十八か所を最短ルートでつなぎ、周辺や途中の立ち寄りスポットや食の情報も盛り込んだ「東北桜旅ナビ」のサービスを提供する。それに関連して「東北の桜をめぐる旅」にどう付加価値をつけるか、というテーマに話がおよんだ。

山寺 最短コースに加えて、わざとノイズ情報を入れたコースも選べるルートガイドにできないですかね。カーナビもスマホも便利すぎるんですよ。知らない路地に迷い込んで、たまたま入った店の料理がうまかった、となると嬉しさも倍増するじゃないですか。たとえ失敗だったとしても、それはそれで旅のいい思い出話になるし。まさにUX(User Experience)で、ただ観光地を広域に効率良く回っただけだと、記憶のフックがないから体験として残りにくい。

Eyes, JAPAN代表取締役社長 山寺純さん

下野 予定調和じゃないところにも旅の楽しさはあるし、それを含めて旅の価値ですからね。

山寺 それから、東北にいて少し危惧するのは、桜の開花時期が東京とズレるので「今年は観たからもういいかな」とテンション下がる人がいませんかね。毎年ホームページに鶴ヶ城の桜の写真を載せるんですが、アクセス数がグンと上がるのは東京の開花時期の直前なんです。ところが鶴ヶ城の桜は4月中旬なので、まだつぼみもふくらむ前だから、載せる写真がない。

会津・鶴ヶ城の桜 (提供:Eyes, JAPAN)

武田 東北・夢の桜街道の推進協議会メンバーの社員で「4月は忙しくて花見に行けた試しがない」と言う人がいました。だから5月に東北で桜の見どころがあれば家族で行ってみたい、と。また、上野公園とか東京の花見の名所に会社で行くと、花見というよりも、ただの宴会ですしね。

高橋 近所の公園に家族でお弁当を持って花見には行かないけれど、家族旅行として遠出するなら……。

山寺 ピクニック的な感じですね。ああ、いいかもしれない。

武田 今年の桜は観たからもういいや、という人もいるでしょうが、桜プラスαの体験があるなら行きたい、という気持ちをくすぐることができれば……。

山寺 以前、鶴ヶ城で会社の花見をしたとき、大学のクラシックサークルに弦楽四重奏の生演奏をしてもらったことがあるんです。ちゃんとタキシードを着てもらって。それはすごく印象に残った。周りの人も感激してお酒を差し入れてくれたりして。なにかそういうマッチングができるといいですね。

不安定な状態をコントロールするのが醍醐味

旅は予定調和じゃないところがおもしろい――。そこから連想して、山寺さんの名刺の英文の肩書き“Chief Chaos Officer”に話題が移った。カオス(複雑系の現象)とはまさに予定調和の対極。アイデアを生む源泉はカオスにあり……?

武田 予定調和からイノベーションは生まれませんよね。Eyes,JAPANの経営者として、イノベーションを起こすために“Chief Chaos Officer”の「カオス」にどういう思いを込め、それをふだんのビジネスのなかでどのように仕掛けているのですか。

山寺 ものになるかもしれないし、ならないかもしれない。やってみなければわからない。オレが挑みたいのはテクノロジーの先端領域です。大企業はリスクが高すぎて手を出せず、アカデミズムはそもそも商売にする気はない。未踏の分野だからいちばん難しく、学びながらなので大変だし、失敗するケースも多々あります。ただし、当たれば高い単価を取れて、ノウハウもたまる。要は開拓者になりたいんで、誰でもできるようなものには興味がありません。

水を沸騰させると水蒸気になります。水は液体で水蒸気は気体。どちらも安定した状態です。ところが100℃になるかならないか、ギリギリのところは気体か液体かわからない。その不安定な状態はカオス理論でいうとなかなかコントロールできません。そこをコントロールするのが会社経営の醍醐味です。

会社を経営していると、いつのまにか安定した予定調和の方向へ行きがちです。そこにあえて、外国人や学生アルバイトなどの価値観の違う知恵を入れたり、エンジニアとデザイナーをコラボさせたり、適度なストレスをかけます。ハッカソンをやるのも、エンジニアが他流試合で学ぶことが多いからで、これも適度なストレスの1つ。オレのいうカオスって、そういうことです。

武田 「あしたラボ」も、外部のさまざまな人と対話して生まれた新しい空気を増幅させて、豊かな社会をつくるためのちょっとしたカオスを発生させようとする取り組みだと考えています。大企業のなかでそれをやるには、いろいろと創意工夫が必要ですが。

山寺 ウチみたいな小さな会社だとオレの独断と偏見ですべてできますが、大きな組織でやるのは大変だと思います。だから「あしたラボ」を最初に見たとき、これ富士通さんがやってるの? と、わりかし衝撃的でした。だから協力したいなと思った。高い山に登るのは大変ですが、高ければ高いほど燃えるじゃないですか。困難に出会ってもオレはあまりつらいと思わないんですよ。べつにチャレンジなんだから失敗することもあるし、これをもし乗り越えられたら、将来振り返ったときに、あの瞬間すごくロマンチックだったよね、と思える。そう考えると意外にテンション上がって、もうひと頑張りしようという気になります。これ、意外に大事ですよ。あのとき大変だったけど人生でいちばんロマンチックだったなあ、って思い出があるのは楽しいじゃないですか。

武田 ありがとうございます。いいお話が聞けました。

折しもこの日は、アルツ磐梯スキー場でEyes,JAPANが事務局を務める「メディカル×セキュリティ ハッカソン2014」が開催された。医療関係者の基調講演に続き、大学生、エンジニア、デザイナーなど34名が、新しい医療アプリケーションやサービス、医療機器やソフトウェアの脆弱性調査、侵入テストなどをテーマとしたハッカソンに挑んだ。スキーリゾートを会場とするだけに、室内だけでなくゲレンデも活用。アウトドアでアイロンをかけるパフォーマンス・スポーツ「エクストリームアイロン」(山寺さんの趣味)を雪山で繰り広げたり、無線操縦の無人航空機「ドローン」の試験飛行を見学したり、初対面の参加者同士で盛り上がれるイベントも用意されていた。

磐梯山中腹にて行われたエクストリームアイロンと無人航空機ドローンの試験飛行

ハッカソンにはこんな遊び心も大切。4月に開催する「さくらハッカソン2014」も、参加者のアイデアを刺激するような時間や空間を共有したいと思います。ぜひお楽しみに。

4月12日(土)、13日(日)の「さくらハッカソン2014」では、Eyes, JAPANの山寺純さんがモデレーターとして参加します。ぜひ、みなさんの「東北に人を呼ぶアイデア」を実際にカタチにしてください。詳細は下記のリンクから!


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