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ヘルスケアビジネスの新しい可能性~「コミュニティーで健康を支える」というアプローチ~イベントレポート(後編)

2014年04月16日



ヘルスケアビジネスの新しい可能性~「コミュニティーで健康を支える」というアプローチ~イベントレポート(後編) | あしたのコミュニティーラボ
3月13日に行われた、2014年最初の「あしたのコミュニティーラボ」主催イベント、「ヘルスケアビジネスの新しい可能性」。イベントレポート後編では、革新的なヘルスケアビジネスに取り組む2人のパネリストによるプレゼンテーション、そして質疑応答の様子をお伝えします。

前編はこちら

スマホを使い、ユーザーの健康へのモチベーションを引き出す

「健康を測る」しくみから「健康であり続ける」しくみづくりへ。健康機器メーカーのオムロン出身でドコモヘルスケア社長の竹林一さんは、オムロングループとNTTグループが提携した同社のビジョンをそう語ります。


ドコモ・ヘルスケア株式会社代表取締役社長 竹林一さん

ひとくちにヘルスケアといっても、ウェルネス(健康増進)領域とメディカル(病気治療)領域で顧客ニーズは違います。メディカルにお金を払うのはリスク回避のニーズ。ウェルネスにお金を払うのは、健康の維持と増進によってもう一段上のハピネス(豊かで幸福な生活)を手に入れたいというニーズ。

いずれにせよ、ユーザーの健康へのモチベーションを上げ継続するしくみをつくることがヘルスケアのビジネスモデルでは重要、と竹林さんは指摘します。
提供: ドコモ・ヘルスケア株式会社
その一例が、2013年6月からはじめて40万人弱のユーザーがいる女性向けアプリ「カラダのキモチ」。10秒で測定できる婦人体温計などで測ったデータを、スマホ経由でクラウドに蓄積すると、生活アドバイスや、保険会社など提携企業の商品・サービスが提供されます。体調の変動に応じて、病院での受診勧奨が出ることも。それに従って病院に行くと、なんと見舞金が出るしくみまで用意されています。これにはモデレーターの秋山さんも「女性はお金に対する意識が高いので、とても魅力的」と驚きの声を上げていました。関連企業と提携し、こうした「ヘルスケアの生態系」を構築することがビジネスモデルの勘所になっています。

個人情報をカットしてユーザーの測定データの平均値を出すと「にっぽんからだマップ」が得られ、血圧・体重・歩数・睡眠時間などの県別や季節による違いが色分けで明らかになります。2020年の東京オリンピックまで、多くの県が青色(正常値・適正値)になって世界を驚かすのが竹林さんの夢です。
「にっぽんからだマップ」を青色(正常値)に近づけていくのが竹林さんの目標
(提供: ドコモ・ヘルスケア株式会社)

いつもそばにあるスマホなどのデジタルデバイスを敷居の低い動機づけにして、健康であり続けるための新しいしくみを提供し、1人ひとりに応じたスマートライフを実現する。ドコモ・ヘルスケアのめざす理想です。

最後に竹林さんは、医療現場での空間アートの試み、ハナムラチカヒロさんの「霧はれて光きたる春」を紹介してくれました。病棟の窓外に発生した霧が晴れると、あたり一面にシャボン玉が乱舞。入院患者も見舞いに来た家族もみんながこれを目にすることで、初めて病院のなかにコミュニティが生まれ、元気になろうという意思が共有されます。この取り組みが意義深いのは、アートと医療の融合によってモチベーションが導入され、入院患者が元気になって人生を楽しみたいという意欲が生まれること。そう竹林さんは考えます。これもまた、コミュニティーで健康を支えるアプローチの1つといえるでしょう。

人と「どうぶつ」が、健康を支えあうしくみ

 
今林徹さんは、富士通イノベーションソリューション事業本部ソーシャルクラウドサービス統括部のシニアディレクター。まだICTが十分に使われてない領域の事業革新をICTで支援し、良い循環を生み出すことで、世の中の役に立ちたい。それが今林さんにとって仕事のモチベーションになっています。

どうぶつの世界も、そうした領域の1つ(ちなみに富士通では、愛玩動物を指すニュアンスのある「ペット」という言葉を避け、あえて「どうぶつ」という、やさしいイメージのひらがな表記を使っています。「ペット」という言葉には、人が一方的に自分の欲求を満たすための愛玩動物というニュアンスがあるからです)。

富士通株式会社イノベーションソリューション事業本部ソーシャルクラウドサービス統括部 今林徹さん

よく飼い主が「ウチの子」と言うように、どうぶつは今や大切な家族の一員であり、パートナー。どうぶつも高齢化し、日頃の健康管理は重要な課題になっています。どうぶつのライフログをクラウドで一元管理し共有できるしくみがあれば、動物病院、ペットホテル、トリミングサロンなどの施設を利用したとき、いちいち飼い主が説明しなくても、個々のどうぶつの状態に合わせた最適なサービスを受けられるでしょう。ペット関連業界に新たな付加価値を創造し、どうぶつと飼い主が安心して暮らせる社会を実現する。これが今林さんのグループがめざす「どうぶつクラウド」プロジェクトのビジョンです。
提供: 富士通株式会社
具体的な活用の一例が「わんダント」。愛犬の首輪に装着し、健康状態を示す歩数や「ぶるぶる」(震え)、環境温度を自動記録します。スマホやパソコンに吸い上げクラウドにアップしたデータは可視化されウェブサイトで確認可能。もの言わぬ愛犬の健康管理と病気の早期発見に役立つツールです。

どうぶつクラウドは動物病院のネットワーク化による情報共有を促し、医療と経営の高度化に貢献できます。こうした活用では、ペット保険のリーディングカンパニーで多くの動物病院と取引のあるアニコム社との協業で動物病院向けのクラウドサービスを共同開発し、提供を始めたところです。

どうぶつは人の健康もサポートしてくれます。震災時には被災者の心の支えになったり、認知症の改善や血圧の低下といった効果も。アニマルセラピー(動物介在療法)も医療行為の一種として取り組まれています。こうした領域でもクラウドサービスによる情報共有を役立てたいと今林さんは考えます。

ターゲットの見極め方、アライアンスの組み方

登壇者のプレゼンテーションが終わると、トークセッションへ。秋山さんが3人の登壇者に2つの質問を投げかけました。事業化する際のターゲットについてと、他社との連携、共創の仕方です。

川添さんによれば、ワンコイン健診のメイン・ターゲットは健康意識の高い中高年主婦。その場合は、駅ナカやスーパーなどをサービス提供の場として、鉄道会社や流通・小売業者などとアライアンス(事業提携契約)を組みます。それ以外のターゲット、たとえば健康意識のまったくないフリーターに向けてはパチンコ店と組んだそうです。その結果、看護師さんと話してみたいというような不純な動機(?)から、診断を受ける人が増えました。ターゲットの属性に合わせて、それぞれの生活圏やコミュニティーに入り込んでいくことが肝要、と川添さんは言います。


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