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あしたラボのイベントとその様子をご紹介します。

提供:株式会社富士通総研

「なんとなく体に良いもの」とされてきた漢方医学。診療の標準化やエビデンス化をし、そのさらなる普及、定着化を図るための活動が加速しています。2014年4月19日(土)には「漢方診療標準化プロジェクト第1回シンポジウム」が開催されました。その様子をお届けする前に、前編では「未病」など漢方医学の特色を見るとともに、さらなる普及には何が足りないのか、現在の漢方医学が抱える課題について考えていきます。

イベントレポート後編に続く

漢方医学が抱える課題解決に向けて、北里大学と富士通のCOI-Tプログラム

あしたのコミニュティーラボ(以下、あしたラボ)では、2013年12月~2014年3月に「“健康”が社会を豊かにする?」をテーマに、ヘルスケア領域のイノベーション事例を特集しました。2014年1月20日には、「東西医学を統合したヘルスケアシステムをつくる―健康寿命を延ばす、豊かな社会への挑戦」というタイトルで、ICTを用いた漢方医学の暗黙知の形式知化に取り組む、北里大学東洋医学総合研究所、富士通株式会社と株式会社富士通総研の事例を紹介しています。

現在このプロジェクトは製薬会社2社を含めて2013年11月より文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」拠点公募において、COI-T(トライアル)拠点として北里大学で取り組むその他のテーマとともに採択され、さらなる進展を見せています。2014年4月19日(土)にはCOI-Tの取り組みを対外的に発表する「漢方診療標準化プロジェクト第1回シンポジウム」が北里大学薬学部コンベンションホール(東京都港区)で開催され、一般参加者を含む125名が集まりました。

会場となった北里大学薬学部コンベンションホール(提供:株式会社富士通総研)

漢方医学と「未病」

少子高齢化を迎えた日本では社会保障費の高騰という大きな問題を抱えており、2014年4月からの消費税増税や初診料の引き上げという形で、私たちの生活に影響を及ぼしています。

そこで注目を集めているのが、病気にならずに健康で長生きし生活をエンジョイする「健康寿命の延伸」という考え方。このためには日々の健康状態に気をつけるだけではなく、病気と診断される前の「未病」をいち早く察知し、適切な対応を取ることが必要です。

この「未病」を特定し、対策を講じるためのメソッドが集約されているのが漢方医学。西洋医学のようにピンポイントで病態を特定し対症的に治療する方法とは異なり、四診(望診・問診・聞診・切診)と呼ばれる診断方法によって体質や病態をはじめ、身体全体を診るのが漢方医学の特色です。そのため、個人の状態をより細やかに把握することができ、病気の根本的原因の解決や体質改善についてもサポートするという優れた特徴を持っています。

PCやスマートフォンに向かう時間が長い現代人は肩こり、腰痛、冷え、めまいなどの「未病」の症状で悩んでいる人も多くいます。これらの症状は、西洋医学的治療では、薬で対症的に抑えることしかできませんが、漢方医学はこれらの症状を人々の体全体の健康バランスに着目して最適な状態に改善します。

四診による診断(提供:株式会社富士通総研)

なぜ漢方診療の標準化が必要なのか

最近、「未病」で悩む女性を中心に「漢方医学は身体に良さそうなので興味がある」という人が増えています。実際、知識や経験が豊富な医師によって適切に診断され、漢方薬を処方されると漢方医学の優れた効果を体感することができます。しかし、この知識や経験という属人的な要素をどう評価・判断するのかが問題です。

漢方医学はその診断や治療の過程に暗黙知が多いことから、科学的根拠をもとに示すことが難しいと言われています。2001年からは、大学医学部での漢方教育が必須にはなりましたが、教育・普及のための手段の整備はまだこれからで、「四診」に基づいた漢方医学的根拠をもとに漢方薬を処方できる医師の数は国内でもまだ多くありません。また、漢方医学の有効性についても、科学的根拠に基づいて実証されていないことも多いのです。

現代の漢方医学は長年に渡る歴史のなかで、なんとなく体に良いとされてきたもの。それゆえ、漢方医学のさらなる普及、定着化を図るためには、診療の標準化やエビデンス化が重要になります。

2010年には、世界に広がる東洋医学の国際標準化を図るために、ISO/TC249(国際標準化機構中医薬標準化技術委員会)が創設されました。この流れをふまえて、日本の漢方医学も自らの価値を世界に発信していくことが求められています。

後編では、2014年4月19日(土)に開催された「漢方診療標準化プロジェクト第1回シンポジウム」の様子をレポートします。

漢方医学の歴史にICTで新たな幕開けを── 北里大学「漢方診療標準化プロジェクト第1回シンポジウム」 イベントレポート後編に続く


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