Opinions
各界の専門分野を持つ有識者の方々から、社会を変えるイノベーションのヒントを学びます。

無数にある社会課題の解決に対してデザインはどう関われるのか。全4部に分けてお届けしてきた太刀川さんインタビュー。最終回となる本稿では、どんな仕事にも応用可能という視野の持ち方を伺った。

領域を超えデザインの射程距離を伸ばしたい──太刀川英輔さんインタビュー(1)
領域を超えデザインの射程距離を伸ばしたい──太刀川英輔さんインタビュー(2)
領域を超えデザインの射程距離を伸ばしたい──太刀川英輔さんインタビュー(3)

「長く磨かれた文化」に時代を超えるヒントがある

──TOHOKもそうだし、器や生地など地域ならではの伝統工芸を子ども向けの商品に仕立て上げるオンラインショップ「和える(aeru)」もそうですが、太刀川さんは日本の伝統的なものづくりに関心が高いのでしょうか。

太刀川 確かに好きですね。どうしてかな……。もともと価値のあるものが埋もれている状態が嫌いだったり、価値が本来の姿を取り戻すジャンプを見たいのかもしれません。

同じつくり手として職人さんへの尊敬もあるし。それに、今までずっと時間をかけて磨かれ、ふるいにかけられてきた暮らしや文化のなかにこそ、長い時間を超えられるデザインのヒントがあるような気がしていて。たぶん無意識のなかで、今までつながり流れてきた大きな文化の潮流みたいなものと断絶しちゃっている今の小さなデザインを、現代の文化を、つなぎ直したいという欲求があるんだと思います。

──震災後の活動を通じて、社会的な課題の解決にデザインがコミットすることについてどう考えますか。

太刀川 多くの問題の根源は「近視眼的なものの見方」にあります。眼前の欲望だけ満たされればいい。その集積で全体の調和が崩れたり、どこが壊れたかわからない不可解な事態に陥っているわけです。それって結局、見ているタイムスパンが短いから。個人が見られる範囲なんて限られているし、僕だってそうです。

でも、複雑な課題解決には「未来を見る力」を伸ばすしかありません。デザインが社会課題を解決するなんて考えるのはおこがましくて、社会課題に何とかデザインを紐付けられないか、と考えるのが大事なんだと思う。デザインに限らず、どんな仕事でも紐づけられるはずです。そのために必要なのは、分断された領域の枠を超えて射程距離を伸ばすこと。可能性はそこにある。それはまさに、より大きな問いを設定し直すことであり、矮小になりがちなクリエイティブを、包含的なクリエイティブにつくりかえる作業にほかなりません。

領域を超えデザインの射程距離を伸ばしたい──太刀川英輔さんインタビュー(1)
領域を超えデザインの射程距離を伸ばしたい──太刀川英輔さんインタビュー(2)
領域を超えデザインの射程距離を伸ばしたい──太刀川英輔さんインタビュー(3)

関連リンク
NOSIGNER
OLIVE
OCICA
TOHOK(とーほく)
株式会社 和える

太刀川英輔(たちかわ・えいすけ)

NOSIGNER株式会社代表取締役


慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。同大学院在学中の2006年に「見えない物をデザインする人」という意味を持つデザインファームNOSIGNERを創業。ソーシャルデザインイノベーション(社会に良い変化をもたらすためのデザイン)を生み出すことを理念に活動中。従来のデザイン領域にとらわれず、複数の技術を相乗的に使い、ビジネスモデルの構築やブランディングを含めた総合的なデザインを手がける。


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