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社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

被災地が抱える課題を理解し、解決策を共に考える旅。昨年1月からスタートした「ふくしま復興かけはしツアー」が7回目を迎えている。津波と原発災害の爪痕が今なお残る相馬市、南相馬市、新地町の福島市相双地区を巡り、復興に取り組む人たちと直にふれあうことで、報道では伝わらない被災地の実相が心に焼きつく。かけはしツアーを共同企画する福島交通株式会社の支倉文江さん、一般社団法人Bridge for Fukushimaの加藤裕介さんに話を聞いた。

1歩ずつ。1歩ずつ。ツアー参加者だけでなく協力関係者たちにも生まれた変化――「ふくしま復興かけはしツアー」(2)

被災地の現実を見て、知って、考える――「ふくしま復興かけはしツアー」(3)

地元の旅行会社としての使命感に駆られて

前身の信達軌道から遡れば、福島交通株式会社 は100年の歴史がある地元の交通事業者。文字通り県民の足となって、路線バス、高速バス、飯坂線(福島〜飯坂温泉間)を運営している。東日本大震災直後も、住民退避の交通手段の提供という大役を担った。貸切営業部主任の支倉文江さんが当時を振り返る。

「3月11日の震災直後から福島県の沿岸部の多くの方々を体育館や一時避難所へお連れしました」


福島交通株式会社貸切営業部主任 支倉文江さん

一時避難所から各温泉地の2次避難所へ、さらに仮設住宅への移動や一時帰宅の際も福島交通のバスが使われた。そうした間にも、住民の足を止めてはいけないと、できる限り路線バスを運行。そのための燃料確保にも奔走した。震災からしばらく福島交通の社員は、ほぼ不眠不休の日々が続いたという。
 
ただし旅行部門では、当然ながらツアーがことごとくキャンセル。予断を許さない原発事故の状況が続くなか、県民も退避しているのに、福島への旅行者などいるのか。そして福島の人々は旅ができるのか。キャンセル手続きの業務を進めながら、旅行部門のスタッフには不安な面持ちが広がっていった。

だが、時がたつにつれ冷静に考えるようになった、と支倉さんは言う。

「この現実を1人でも多くの方に見ていただきたい。過去に起きたこと、いま起きていること、これからどこへ進もうとしているのか。情報発信も大切ですが、実際にいらして、ご自身の目でそれらを確認していただく。旅行会社として私たちにできることはそれしかない、という使命感に駆られました」

被災地に寄り添い支援活動をする団体と共創

震災の年、2011年秋から独自のツアーを企画し、売り出してみた。だが、なかなか集客に結びつかない。支倉さんは気づく。旅行会社という従来の枠のなかで考えて、今までと同じようなことをしていては通用しない、と。

「今にしてみれば中途半端なツアーでした。安全な観光地を入れ込みながら被災地も見ていただいたり。現地の方と深く接する機会もなかった。もう1度、本当に見ていただきたいものは何か、よく考えました。ありのままの現実を知っていただくには、旅行会社だけでは到底できない。被災地に寄り添って支援活動をしている人たちと一緒にやろう、と思い至ったのです」


ツアー協力者が創設した交流スペースにて(提供:福島交通株式会社)

2012年秋、一般社団法人Bridge for Fukushima にコンタクトを取った。福島出身の伴場賢一さんが立ち上げたBridge for Fukushimaは、被災地の課題を解決するため首都圏とのかけ橋になることをミッションとし、主に相馬市や南相馬市の相双地区で被災者自らが主体となった復興活動を支援している。

Bridge for Fukushimaが現地で復興に取り組むキーパーソンをコーディネイトし、福島交通がツアーの組み立てと商品化を担う。こうした連携によって「ふくしま復興かけはしツアー」 第1回は2013年1月25日に催行された。

ツアー参加者と現地で復興活動に取り組む人を繋ぎ、これから自分たちに何ができるのか、一緒に考える。ただ観光するだけではなく、復興に向けたアクションのきっかけとなるツアー。それが「ふくしま復興かけはしツアー」だ。

第2部では、Bridge For Fukushimaの加藤裕介さんがどのように現地のキーパーソンを束ね、福島交通の支倉さんと共にツアーの内容を充実させていったのか、お話を伺う。

1歩ずつ。1歩ずつ。ツアー参加者だけでなく協力関係者たちにも生まれた変化――「ふくしま復興かけはしツアー」(2)へ続く

被災地の現実を見て、知って、考える――「ふくしま復興かけはしツアー」(3)

関連リンク
福島交通株式会社
一般社団法人Bridge for Fukushima
ふくしま復興かけはしツアー


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