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社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

福島交通株式会社と一般社団法人Bridge for Fukushimaとの共創によりはじまった「ふくしま復興かけはしツアー」。現地キーパーソンとの協力関係を構築し、内容に深みをもたらし、新しい形のツアーの実現に尽力しているコーディネーターの一般社団法人Bridge for Fukushima加藤裕介さんにもお話を伺った。

観光するだけじゃない。被災地の旅行会社だからこそできるツアーとは?————「ふくしま復興かけはしツアー」(1)
被災地の現実を見て、知って、考える——「ふくしま復興かけはしツアー」(3)

「右腕派遣プログラム」で福島に腰を据える

Bridge for Fukushimaのかけはしツアー担当は、支倉さんが「もはや福島になくてはならない人」と全幅の信頼を寄せる加藤裕介さん。

加藤さんは福島出身ではない。福島に親戚はいないし、知り合いもいなかった。福島と縁を結んだのは、震災1年後に東京のNPO法人ETICの「右腕派遣プログラム」でBridge for Fukushimaに送り込まれたのがきっかけだ。右腕派遣プログラムとは、被災地の復興に取り組むリーダーのもとへ、その右腕となる有能かつ意欲ある若手人材を派遣する復興支援プロジェクトだ。

新卒で大手コンサルティング会社に就職しながらも、わずか1年で加藤さんは辞し、被災地を支援する活動に飛び込んだ。

「入社前に東日本大震災が起きたので、東北の復興のために何かしたいという思いが、もともとありました。中国に留学していたことから、入社して半年は中国に赴任していて、帰国したら被災地の様子があまり変わっていなかった。じゃあ、やろうかと。ETICは大学のときインターンシッププログラムを通じてよく知っていたので、右腕派遣プログラムに参加しました」

会社を辞めることにも、被災地支援に取り組むことにも、さほどの決心はいらなかったという。そのうえ、ご両親の理解にも恵まれた。

「入社する段階で、これからオレみたいな人間は、1つの会社で一生勤め上げるつもりはないから、それはわかっていてほしい、と宣言しておきましたから。さもありなん、という感じですね。ちょっと早かったけど」

被災3県のうち岩手、宮城にはボランティアや支援団体が多く入っていたが、福島とくに原発立地周辺の地域にはそれまで立ち入れなかったこともあって、震災後1年を経て復興は立ち遅れていた。

福島の有志が立ち上げた支援活動に、東京から来たさわやかで有能な若者が現地に腰を据えて取り組んでいる。地元の人たちは心を開き、加藤さんは「なくてはならない人」になった。

ツアーを重ねるごとに見えるキーパーソンの変化

かけはしツアーで参加者と話をする地元のキーパーソンは、加藤さんがコーディネイトした。いずれも各々の持ち場で復興に取り組むリーダーであり被災者だ。

住宅用建材の販売業を営んでいた南相馬市小高区の久米静香さんは、原発事故で相馬市に避難した。小高区は避難指示解除準備区域と居住制限区域。久米さんはNPO法人浮船の里を設立し、2年後の帰還目標に向けた住民の話し合いのスペース「あすなろ交流広場」を主宰。ここを拠点に、かつて盛んだった養蚕と機織りを復活させ商品化する試みを始めている。

コミュニティーと商いの場をづくりを進める久米静香さん
(提供:一般社団法人Bridge for Fukushima)

相馬市の水産業、高橋永真さんは津波で自宅と加工場を失い、仮設住宅に暮らす。NPO法人はらがま朝市クラブを立ち上げ、仮設にいる浜の人たちに、かつてのようにおいしい魚を食べてもらいたいと、県外から魚を取り寄せ、週末に朝市を開催。放射性物質の影響で漁に出られない漁師たちと共に、相馬で新しい水産加工業をつくりあげ、復興への道筋をつけようとしている。

消費者に食を、生産者に職を届ける仕組みづくりを進める高橋永真さん
(提供:一般社団法人Bridge for Fukushima)

新地町の日下智子さんは、事務用品会社の社長であり、NPO法人みらいと理事としてイベントや町づくりワークショップを運営し、2児の母でもあり、現町長が父親というさまざまな顔をもつ。ちなみに新地町では、津波の被害にあった住民と、移転先の高台の住民との合意形成が早い段階で完了した。行政と住民の距離が近く、復興の先進事例として注目を集めている。

復興のまちづくりに関するワークショップを運営する日下智子さん
(提供:一般社団法人Bridge for Fukushima)

和田智行さんは、東京から南相馬市小高区にUターンしていたが、原発事故で避難を余儀なくされ、妻子を連れ会津若松へ。2014年4月から活動拠点をふるさとに戻し、小高区に帰還・移住する事業者を支援するためのコ・ワーキングスペース「小高ワーカーズベース」を5月15日にオープンさせた。

ふるさとに活気を取り戻すべく場作りを進めている和田智行さん。中央右から2番目
(提供:一般社団法人Bridge for Fukushima)

かけはしツアーを7回重ねてきて最も心を動かされるのは、地元のキーパーソンの皆さんが着実に一歩ずつ、復興へ向けて前へ進んでいる「変化」を見てとれること。支倉さんと加藤さんは、そう口を揃える。

参加者だけでなくツアー関係者のポジティブな変化をも生み出してきた「ふくしま復興かけはしツアー」。次回は、ツアーの今後の展望について、支倉さん、加藤さんのお二人にお話を伺う。

被災地の現実を見て、知って、考える——「ふくしま復興かけはしツアー」(3)へ続く

観光するだけじゃない。被災地の旅行会社だからこそできるツアーとは?————「ふくしま復興かけはしツアー」(1)

関連リンク
福島交通株式会社
一般社団法人Bridge for Fukushima
ふくしま復興かけはしツアー


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