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各界の専門分野を持つ有識者の方々から、社会を変えるイノベーションのヒントを学びます。

対話(ダイアローグ)を通じて、立場を異にする人たちの間に協力関係を生み出し、よりよい社会に向けたイノベーションを生み出す。NPO法人ミラツクのミッションは、あしたのコミュニティーラボがメディアとして目指すことと共通する部分が大きい。当サイトの柴崎辰彦代表が、組織と分野を超えたネットワークを築いて多彩なワークショップを運営する西村勇也代表理事に、イノベーションを生み出すための「場づくり」について聞いた。前後編に分けてお届けする。

未来が生まれる場所をつくる ――ミラツク西村勇也さんインタビュー後編はこちら

異質な誰をその場に連れてくるか

柴崎 「あしたのコミュニティーラボ(以下、あしたラボ)」は富士通が運営するメディアですが、多様な問題意識を持つ外部の方々とのオープンな議論を軸に、ウェブのバーチャルな場とイベントのリアルな場を行き来しながら、ビジネスイノベーション、さらにはその先にあるソーシャルイノベーションにつながる共創を目指しています。


あしたのコミュニティーラボ 柴崎辰彦代表

西村 僕らにとってもすごく関心の高い活動ですね。もともとミラツクというNPOは、フェイス・トゥ・フェイスの話し合いの場づくりからはじまりました。そしてコミュニティーをつくるフェーズに移り、今はプラットフォームをつくるフェーズに入っています。何のためのプラットフォームかというと、ソーシャルイノベーションを加速するためです。どうやって加速するのかといえば、異なるセクター、異なる立場、異なる地域の人たちが協力する――。言葉にすると簡単ですが、これはとても難しい。


NPO法人ミラツク代表理事 西村勇也さん

どうすれば、ただ仲良くするだけでなく、協力することができるのか。行政、大学、企業、NPO、財団法人……立場を異にする人たちが協力しないと前に進みません。そのためには「そこに誰を連れてくるか」がカギになります。僕らは、いろんなところに足を運んで、おもしろい人だな、と思ったらミラツクに連れてきます。すると確かに、異質な人たちが組み合わさって協力が加速する。ならば次は、もっと違う人をどう連れてくるか。その繰り返しです。

柴崎 動物の世界でも雑種のほうが強いのと同じように、均一な人間の集まりでは共創力も競争力も高まりませんよね。同じような教育を受けて、同じような仕事をしてきた人間のグループだと、同じ発想しか出てこない。誰をリーダーに据えても同じことです。やはり、投げるのが得意な人もいれば、打つのが得意な人もいる。そんなチームを組まないとイノベーションは生まれません。

西村 同質なグループが生み出すイノベーションのインパクトは小さいですが、数が多い。一方で異質なチームが生み出すイノベーションの数は少ないですがインパクトは大きい。1回の大当たりを引ける可能性。それが醍醐味です。地道な「カイゼン」なら同質なグループのほうが得意で、異質なチームには向いていません。地道にやることの幅を少しずつ広げていく。そんなところに、多様な人材を集めたチームによるオープンイノベーションの価値があるのだと思います。

僕らは企業と仕事をする機会も多くありますが、アイデアを広げる段階ではなるべくいろんな人に声をかけ、多種多様なチームをつくっています。実際にそれを形に変えるにあたっては圧倒的に企業の力が強いので、受け渡していく。選択肢を広げるのはオープンに。ゴールを決めて集中するには企業のリソースが不可欠です。

個人の意思を引き出すダイアローグとは

柴崎 異質な人たちがチームを組んで協力できるようにする「場づくり」については、どんなことに留意して実践しているのですか。

西村 僕らのワークショップは大きく分けると2種類あります。1つはトピックスを絞ってアイデアを出す、頭を論理的に使うワークショップ。もう1つは「ダイアローグ」(対話)と呼んでいて、個人の意思を引き出すワークショップです。結局、自分のやりたいことと重ならなければ何もはじまりません。大学でダイアローグのワークショップをしても、今まで「自分の意思を引き出された」経験のない学生が多い。でも、聞くと出てきます。人間20年も生きていれば、何らかの価値観を持っていて、そこに紐づいた「やりたいこと」は必ずあるはず。それを殺さずに育てていくのがダイアローグの勘所です。

柴崎 単なる「会話」ではなく、個人の意思が引き出されるような「対話」になるためには、どのような仕掛けが必要なのでしょう。

西村 コミュニケーションのステップを踏むことと、グルーピングですね。相手の情報を知り、考えを知り、価値観を知る。恋愛と同じですよ。いきなり「結婚してください」と告白する人は、いない。きちんとステップを踏む必要がある。それが絶対条件です。

しかし、100人いたら全員でこのコミュニケーションのステップを踏むのは、100人で縄跳びをしているようなもので難しい。だから適切にグルーピングする。4人でする縄跳びならなんとかなります。それができたら1人だけ残して、またチームを変えて4人で飛んでみる。そうやって徐々に、個人もチームもスキルを上げながらステップを踏んでいきます。これは、どのプログラムでも共通の方法です。最終的には「結婚してください」みたいなドキドキ感をもって自分のやりたいことを表明する。そこまでいけたら、すごくいいダイアローグの場になります。

より大きなイノベーションを起こすためには異質な人が集まる「場づくり」が必要だ。では、その「場」はどのようにつくれば良いのだろうか。西村さんが普段「ダイアローグ」で意識していること。また、企業などの組織の中でつくった「場」において、イノベーターをどのように育てていくべきかということについて、西村さんに伺った。

未来が生まれる場所をつくる ――ミラツク西村勇也さんインタビュー後編に続く

関連リンク
NPO法人ミラツク
さくらハッカソン2014


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