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IoT時代のおもちゃ、”Moffバンド” はこうして生まれた ──大阪イノベーションハブ(2)

2014年07月31日



IoT時代のおもちゃ、”Moffバンド” はこうして生まれた ──大阪イノベーションハブ(2) | あしたのコミュニティーラボ
大阪イノベーションハブ(以下、OIH)からは、革新的な成果が生まれている。それが第1回ものアプリハッカソンをきっかけに生み出された、ウェアラブルデバイス「Moff」。シリコンバレーからも熱視線を送られるこのアイテムを、いかにして生み、育てていったのか。

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ユーザーインタビューで課題設定を白紙に戻す

時計のように手首に巻くだけで、ホウキがギターになったり、丸めた新聞紙が電子銃に、あるいはおもちゃの刀になったり──手の動きと連動してアプリ側から音が出ることで、子どもの身の周りのものをおもちゃに変えてしまう「Moff」。

ウェアラブルデバイスのMoffのサイトでは使用イメージ映像など見ることができる
(提供:株式会社Moff)

Kickstarterで開発資金を調達し、今年9月以降に初回ロットが発送され、その後、一般販売を予定しているこのウェアラブルなスマートトイは、そもそもOIHの第1回ものアプリハッカソンから生まれた成果の1つだ。

これをきっかけに起業した株式会社Moff代表取締役の高萩昭範さんは「家族で使えるもの、というテーマのハッカソンで2位となった当時のアイデアはまったく別物でした」と振り返る。

株式会社Moff代表取締役 高萩昭範さん

「最初のアイデアは子どものおもちゃではなく、夫婦げんかを緩和する〈怒りを愛にカエル君〉。腹が立ったとき怒りをダイレクトに相手へぶつけるのではなく、カエルのぬいぐるみの柔らかいインターフェースをぎゅっと握ってパワーメーターが上がるのを見て落ち着く、みたいなガジェットです」

提供:株式会社Moff

シリコンバレーツアーに参加してこれをプレゼンしたら、けっこうウケた。
「まあちょっとふざけた感じのものだったので、みんなが評価してくれたわけじゃないですが、その点シリコンバレーはすごくおもしろくて、収益性や成長性を重視する人もいれば、オリジナリティや新奇性に注目する人もいて、〈わけのわかんない感じが最高にいいねぇ!〉なんて言ってくれるんですよ(笑)」

シリコンバレーツアーでプレゼンテーションを行う高萩さん
(提供:Osaka Innovation Hub)

シリコンバレーでは、リーンスタートアップのプロセスをきちんと踏んだほうがいいとアドバイスされた。そこで20家族ほどにユーザーインタビューし、そもそも想定していた「家族間のコミュニケーションギャップ」に関わる課題があるかどうか調べたところ「そんなに差し迫った課題はない」ことが判明。そこで元の課題設定を白紙に戻し、ゼロから考え直したという。

ウェアラブルなスマートトイを入口にして


当初のアイデアに市場性がないことがわかり、いったん白紙に戻して根底から練り直すことを「ピボット」と呼ぶが、外資系自動車メーカーの商品企画部にいたことがある高萩さんにとっては、少なからず衝撃だった。

「プロダクトをブラッシュアップするためのユーザーインタビューは企業でもやっていましたが、そもそもの課題設定から洗い直し、必要とされていないことがわかったらコンセプト自体をあっさり潰してしまうのは、かなり勇気のいることです。しかしそこは決断して、新たに2つの課題をあぶり出しました」

子どもがすぐおもちゃに飽きて、買っては捨てるを繰り返す。
家族でいるのに子どもがスマホやタブレットのゲームなどに没頭しているのは気持ち悪い。

この2つの課題を解決するプロダクトとしてMoffのアイデアが生まれた。

これもリーンスタートアップの手法に則り、プロトタイプの試行錯誤を繰り返した。当初は身の周りのもの自体にセンサーデバイスを取り付けたら動きに反応し音が出て楽しい、と考えたが、これには物理的・技術的な課題があった。

第1に、ものによって取り付け方が千差万別なこと。第2に、余計なものが付いて不細工になる。第3に、どこにどう付けたかで動きがまったく違うので解析できない。

「動きの起点をつくらなければいけなかったのですが、どうしたらいいか全然わからなくて。ふと、腕時計みたいに手首に巻き付けてみたらどうだろう、と試してみたら、3つの課題が一挙に解決して、Moffの原型になりました」

ウェラブルなスマートトイは入口にすぎない、と高萩さんは言う。コンピュータと人間との接点、関わり方を変えたい、というのが描いているビジョンだ。PCもタブレットもスマホも、今の接点は堅くて冷たくて機械的。それと対極の、柔らかく暖かく優しいイメージの擬態語が商品名であり、会社名となっている。

「すべては、ものアプリハッカソンに参加したことがきっかけ。OIHのような場があるのはとてもすばらしいですね。<HackOsaka>にも呼んでもらいました。Pebble創業者のエリックさんにMoffのプロトタイプを見せたのですが、そこで“いいねぇ!”と言ってもらえたのは大きな自信になりました」と高萩さんは話す。

OIHは「Moff」のような起業家だけでなく、企業間の連携をも促進している。次回は制作会社と大手広告代理店がコラボレーションした「ワンダーポート」を取り上げる。

ハッカソンのアイデアを、アイデアのままで終わらせないために──大阪イノベーションハブ(3)へ続く
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