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社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

プロダクトをただ「買う」という行為に、「つくる」という要素をプラスした&Fab。「つくり手」と「売り手」の関係はどのように変化しているのだろうか? &Fabがもたらす価値について、FabLab Shibuyaチーフディレクターの梅澤陽明さん、渋谷LOFT・LOFT&担当の菅井進さんにお話を伺った。

ユーザーのアイデアが「世界に1つだけのモノ」をつくりだす ──&Fab(1)
「&」でつながる「つくり手」と「買い手」 ──&Fab(2)

誰かを想って「モノ」をつくる「コト」

大量生産・大量消費から、適量生産・適量消費へ。これはファブラボの描く未来像だが、いきなりそのフェーズにはたどり着けない。だから「大量生産品に少し自分のテイストを入れ込んでみる〈チョイ足し〉の部分に、入口としての可能性を感じている」と語るのは、FabLab Shibuyaチーフディレクターの梅澤陽明さん。

「ファブラボのお客さんは、ギークというか、“モノづくり好きだぜ!”みたいな人が多いんですが、ロフトのお客さんは、そもそも女性が多いですし、ぜんぜん違います。ですが、そんなエントリーユーザーが何度も足を運んでくださるうちに、いつかはファブラボのドアをノックしてくれるかもしれません」

FabLab Shibuyaチーフディレクターの梅澤陽明さん

加工することを楽しむエンタテインメント工房。「買う」という選択肢しかなかったところに「つくる」という選択肢のエッセンスを振りかけられると、多くの人は興奮する。&Fabで加工したモノをプレゼントしたときの相手の感動をカメラに収めて伝えに来てくれるユーザーもいるとか。

昨年、2013年11月29日にオープン以来、利用者は800人を超えた。2〜3回のリピーターは数多く、最高で9回のヘビーユーザーも。

ビーチサンダルにレーザーカッターで独自の刻印。布地キャンバスにUVプリンターで絵を描きウェディングボードに。父の日のプレゼントのブックカバーに子供の描いた絵を、レーザーカッターで彫刻などなど、さまざまなアイデアが生まれている。ギフトやプレゼントの需要が多く「誰かを想ってモノをつくる、というモノづくりの根本を発信できているのがうれしい」と梅澤さんは話す。

ユーザーの許諾のとれた製作物は&Fabのサイト上にアーカイブされ、加工デザインの参考にもなる

失敗しても、壊れてもいいからやってみたい

ユーザーが実験に参加した事例もある。若い男性2人が &Fabの近くでモジモジしていた。スタッフが声をかけると、1階の無印良品で買ったサングラスのグラス部分にレーザーカッターで「あなたが眩しすぎる」という文字を刻印できないか、という。パーティーでかけたいのだとか。

加工したサングラスについて話す梅澤さんと菅井さん

&Fabとしては、基本的に前例がないものは断るか、失敗の恐れがあることをあらかじめ伝えたうえで加工する。それでもいいからやりたい、とのことで、結果的には成功した。それを見たもう1人の男性が「ぼくも」と、すぐさまサングラスを買いに行き、今度は英語で “You’re too bright”と刻印した。

梅澤さんは「買ったばかりなのに、失敗して壊れてしまうかもしれないけれど、それでもいいからやってみたい、と言ってくださったこと。<それいいね!>と友だちが同じことをやりはじめ、<実験>を推進してくれたこと。共感が生まれてアイデアがシェアされたわけで、まさにファブラボのドアが開いたような瞬間でした。いろんなアイデアを出していただけるので、僕らもそれに応えなきゃ、と気持ちが高まります」と話す。

&Fabのウェブサイトでは、多種多様なサンプル作品が見られる。完成作品はユーザー承諾のうえ、撮影してウェブにアップするのだ。いうなれば「チョイ足し」アイデアのデータベース。実はデジタル機器のメーカーも、このサイトをチェックしているとか。たとえば、ウェディングボードの事例では、布地キャンバスにUVプリンターで刻印すると素敵な仕上がりになる、などというアイデアは、メーカーでもなかなか気づかなかったことだという。

ユーザーとスタッフが親密に会話を交わしながら、つくる楽しさを共有する。そんな体験のできる&Fabは、小売業としても「お客さまと近しくなれて、情報発信ができて、話題性も継続性もあり、圧倒的にアドバンテージの高い試み」(菅井さん)だ。ユーザーが「チョイ足し」カスタマイズの感動を得られるだけでなく、ファブラボにも企業にも、新たな価値を生み出す共創の扉が開いた。

ユーザーのアイデアが「世界に1つだけのモノ」をつくりだす ──&Fab(1)
「&」でつながる「つくり手」と「買い手」 ──&Fab(2)

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