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社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

今からさかのぼることおよそ半年前の2014年春、立教大学経営学部 佐々木宏ゼミと富士通株式会社、あしたのコミュニティーラボは、新たなチャレンジをスタートさせた。学生の斬新な発想と富士通の最先端技術を掛け合わせたらどうなるか……? という新しい学びの形。4カ月間、38名のゼミ生と5名の富士通グループの社員が二人三脚で進めたプロジェクトに密着した。

“実現性”を突き詰めろ! ──立教大学佐々木ゼミの挑戦(2)
体験のプロセスそのものが“新しい学び” ──立教大学佐々木ゼミの挑戦(3)

挑戦することが身近になる機運を社会に作り出したい

立教大学経営学部 佐々木ゼミの専攻テーマはマーケティング・リサーチ。システム開発や経営コンサルティング経験がある佐々木宏教授は、これまでも盛んに企業とのコラボレーションに取り組んできた。ウェブ証券会社やゴルフポータルサイトのビッグデータ分析や、山崎製パン株式会社と4大学による「キャンパスランチパック」の共同開発にも参画してきた。

「ビジネスの現場で使われている実データの分析や、実際の商品開発、そうした本物に触れる機会があると、学生たちのスイッチがオンになります」と佐々木教授は言う。「実際に自分たちでやってみてはじめて、教室で勉強したのはこういうことだったのか、とわかる。それがねらいです」


立教大学経営学部教授 佐々木宏さん

学生の本気を引き出し、昇華するために何を仕掛けるか……2014年度に佐々木教授が選んだパートナーが富士通株式会社、そして、あしたのコミュニティーラボだった。「今回は〈あしたのコミュニティーラボ〉代表の柴崎さんから、学生たちでアイデアソンをやってみませんか、と願ってもないお話をいただきました。いま、アイデアソン・ハッカソンということばが世の中に普及しはじめているときですので、これは産学連携の絶好の機会だと思いました。業種・業務を問わず、あらゆる領域のソリューションを提供できる富士通さんの最先端技術に刺激を受けて、学生たちがどんなふうにアイデアを生み出していくのか、大いに期待しています」

他方、パートナーとして選ばれた企業はどんなゴールを想定しているのだろうか。学生のファシリテーションを担当した株式会社富士通総研シニアコンサルタント・黒木昭博さんはこれまでの製造業への新規サービス開発のコンサルティング活動を踏まえて、「こうした試みを通じて、どんどん新しいことにチャレンジする気運が広がっていくといい」と考えていた。


株式会社富士通総研シニアコンサルタント 黒木昭博さん

「会社に入ると日常業務に追われ、だんだん視野が狭くなりがちだと気づいている人も多いでしょうが、<こんなこと実現したら社会や会社がもっと面白くなる>ということに果敢に挑戦し、失敗してもそれを次に活かせばいいではないか、という文化が当たり前になれば、社会的にも意義が大きいと思うのです。学生と富士通によるアイデアソンが、そういう風土を醸成するきっかけにもなればすばらしいですね」

アイデアを創出するしくみも学生で考える

今回、佐々木ゼミ2年生と3年生、総勢38名が取り組んだ課題は、学生の目線を起点として、身近なところの困りごとや社会的な問題を見つけ出し、それを富士通のICTを使うことによって解決する新商品やサービス、あるいはソーシャル・イノベーションを起こす企画を考え出すこと。富士通総研のコンサルタントや富士通研究所の研究者が適宜、ゼミに顔を出してヒントや手法を伝授し、学生たちの研究活動をサポートしていった。

また、学生側では3年のコアメンバー6名が全体のスケジューリングと学生側のファシリテーションを主導した。プロジェクト・リーダーの羽根一貴さん(3年)は「富士通さんと一緒に勉強させていただく過程で、ゼミ生たち同士の関係づくりも重要とコアメンバーで話し合いました」と、アイデアを練るのと同時並行でチームビルディングをしていったことを振り返る。


立教大学経営学部3年 羽根一貴さん

「自分たちは文系なので技術の世界をよく知りません。最初からあまりテーマを絞り込むと可能性が広がらないと思い、とりあえず和やかな雰囲気づくりも兼ねて、素っ頓狂なことでもいいから、日々感じている課題を出し合うことからスタートしました」

学生たちが考えた“アイデアの種”は、自分が直面している悩み。朝、なかなか起きられない、電車の混雑を避けたい、財布がふくらむのでポイントカードを1つにしたい……これが本当にビジネスを生み出すのかな……? 半信半疑のゼミ生も多かったはずだ。まずはゼミ生全員でアイデアを出し合い、1人2つ程度のコンセプトシートにまとめ、最初のメルクマールに備えた。

第1の関門、“アイデアが通用しない”

迎えた最初のメルクマールは、5月15~16日に開催された富士通フォーラム2014。富士通の最新技術が一堂に集まる会場を学生たちが見学し、テーマと解決すべき課題に使える技術を探る機会が設けられた。チームごとに富士通の技術のどのようなところに注目するのか、ミッションと段取りを決め、富士通が持つ技術の最先端を見て回った。この時、学生は大きな衝撃を受けたという。


富士通総研 黒木さんのアテンドのもと、学生は富士通フォーラムをまわった

「わたしの考えていたアプリならこの技術を使えるのでは? と思ったら、もっと大きなくくりだったり、違うことに応用されていたりしたので、もう一度アイデアをきちんと整理してから、富士通さんにこの技術でこれができますか、と聞かなければいけないと思いました」(3年、上野安結子さん)


立教大学経営学部3年 上野安結子さん

「ぼくのアイデアがすでに技術として実現しているどころか、さらにすごい技術もできていることを知ってびっくりしました」(3年、柏倉旬平さん)

羽根さんも「自分が思っていたよりも現実は2ステップ先に進んでいた」と圧倒された。

技術を伝えるだけなら、方法は他にある。だが、あえて展示会場を見せた。富士通総研の黒木さんはこのフィールドワークのねらいをこのように話す。

「どうしても技術の進展に目が行きがちですが、もともと自分が考えていたアイデアは本質的にどういうことなのか、と原点に立ち返って考えてみるのも大切です。たとえばテーマが交通関係だったら〈自分にとって移動とは何だろう、人が移動するとはどういうことなんだろう〉とか。本質から掘り起こすと、まったく関係ないと思っていた技術がヒントになったりすることもあります」

「自分が考えていた“夢のようなアイデア”が現実には通用しない……」。──はじめて痛感した富士通フォーラムでのフィールドワーク。学生たちはテーマと課題設定を軌道修正しながら、アイデアを熟成させていくプロセスに入っていく。

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