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社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

前期すべての期間をかけて行ってきた新しい学びのプロジェクトもついに終わりを迎えた。“発散”と“収束”の第3段階、今回の集大成として、学生たちはいよいよ自分たちのアイデアを最終形につくりあげ、発表する段階に至る。緊張と喜び、新しい発見の模様をお伝えする。

“発散”と“収束”の繰り返しが学びを変える ──立教大学佐々木ゼミの挑戦(1)
“実現性”を突き詰めろ! ──立教大学佐々木ゼミの挑戦(2)

観客の心をつかめるか? 90秒のピッチ勝負

4カ月近くにわたってアイデアを練ってきた成果を発表するのは、7月11日(金)東京・蒲田の富士通ソリューションスクエア。「立教大学 佐々木ゼミ&あしたのコミュニティーラボ アイデアソン成果発表会」には、学生ならではの自由で新鮮な発想に期待する富士通グループ社員が各部署から詰めかけた。

7チームによる予告編ピッチのあと、展示ブースでチームごとにアイデアをプレゼン。それを来場者が審査・投票する。ゼミ生以外の来場者には全員、審査・投票の資格があり、それによって参加者賞が選ばれる。他の各賞は、デザイン賞、IoT賞、あしたのコミュニティーラボ賞、ゲスト審査員からのTBWA\HAKUHODO\QUANTUM 賞。

審査は以下のような観点から行われた。
①利益を見込めるビジネスモデルに発展できそうな「市場性」。
②付加価値を生む「コトづくり」を起こす可能性をはらんだ「将来性」。
③他に例のない斬新な着眼点がある「新規性」。
④ピッチや展示を通じて聴衆との間に共感が生まれる「生活者視点」。

予告編ピッチは90秒間のコマーシャル。来場者が興味を持ち、展示を見てプレゼンを聴きたいと思ってもらうためのプロモーションタイムだ。表現方法は自由。各チームとも、コントやドラマ仕立て、クレジットタイトルや音楽を効果的に使ったムービー、画像と組み合わせたシミュレーション寸劇など、さまざまに工夫を凝らした表現で来場者を自分たちの展示ブースに誘った。

予告編ピッチの様子

学生たちの熱いプレゼンに沸く展示ブース

隣室の会場に移動し50分間の展示タイムと投票。各ブースでゼミ生が入れ替わり立ち替わり、サービス内容を説明する。富士通グループ社員は熱心に聞き耳を立て、ときおり鋭い質問を投げかける。一瞬たじろぎながらも、きちんと自分の言葉で相手の疑問を解消していく様子に、アイデアの肉付けと深掘りに励んだことがうかがえた。

訪れた富士通社員に説明する学生

実際に7チームがプレゼンしたサービスは次のとおり。


7チームのプレゼン内容まとめ

このアイデアは間違いなくファッション業界を変える

いよいよ審査結果の発表。ゼミ生にとっては成果が問われる緊張の一瞬だ。各賞受賞者と選定理由は次のとおり。

【デザイン賞】
⑦チーム「Sea Dog」●テキストレスでゼロストレス!
「デザインにとって、サービスの内容やアプリの機能を考えることはもちろん大切だが、それ以前に、ユーザーがそのサービスやアプリを使っているシーンをどこまで明確に思い浮かべられるかどうか。それがデザインの第1歩。その点で、学生の1日の生活シーンがきちんと理解・整理されており、そのプロセスを高く評価した」
(審査員/グローバルマーケティング本部総合デザインセンターシニアエキスパート・蔦谷邦夫)

デザイン賞を受賞したSea Dogチーム

【IoT賞】
⑥チーム「波乗りピカチュウ」●Lovix
「モノがネットワークにつながると、双方向になって誰もが情報発信側になれるのがおもしろいところ。そういう意味では、確かにコンサートやライブの観客は情報発信の手段が拍手と歓声くらいしかなくてストレスがたまる。そのニーズを汲み取ったサービスで、しかも安易にスマートデバイスに頼らず、簡易で安価なペンライトでの実現にこだわった点が優れていた」
(審査員/ネットワークサービス事業本部IoTビジネス推進室室長・須賀高明)

【全員投票による参加者賞】
⑥チーム「波乗りピカチュウ」●Lovix

IoT賞と参加者賞のダブル受賞を果たした、チーム「波乗りピカチュウ」

【TBWA\HAKUHODO\QUANTUM 賞】
④チーム「かぶらない」●ファストパス(ファッション ストリート・パス)
「このアイデアは間違いなくファッション業界を大きく変える。売り手と買い手の垣根が消え、街全体がメディアになると、アパレルメーカーも変わりメディアと広告主の関係も変わる。同じファッションがテーマの⑤チーム長男長女のアイデアも生活者起点のサービスとしてよくできていて、最後まで迷った」
(審査員/株式会社TBWA HAKUHODO QUANTUM 代表・高松充)

【あしたのコミュニティーラボ賞】
④チーム「かぶらない」●ファストパス(ファッション ストリート・パス)
「7チームそれぞれ、さまざまな観点から興味深いアイデアだった。私自身がこんなサービスが欲しい、と思ったのと、〈あしたのコミュニティーラボ〉でも将来、こうしたサービスを提供していきたいという希望も重ねて選んだ」
(審査員/あしたのコミュニティーラボ代表・柴崎辰彦)

あしたのコミュニティーラボ賞、TBWA\HAKUHODO\QUANTUM 賞を受賞した、
チーム「かぶらない」

発散―収束の繰り返しのプロセスこそ最大の成果

審査員の須賀高明さんは講評で「6月6日のプロトタイピング・ワークショップでは、正直なところ、それほど目を引くアイデアは見つけられませんでした。それがたった1カ月で、ビジネスモデルの組み立てをはじめ、これだけすばらしく進歩したのに驚いています。富士通社員も顔負けです」と絶賛。

高松充さんが「最後まで迷った④(チーム「かぶらない」)と⑤(チーム「長男長女」)に、ぜひTBWA博報堂でもプレゼンしてほしい。できればクライアントのアパレルメーカーの前でも」と話すと、そこまでの展開の予期していなかった学生は色めきたった。

株式会社TBWA HAKUHODO QUANTUM 代表高松充さん

最後に佐々木宏教授が次のように全体の講評を述べた。

「今日のアウトプットはもちろん大切ですが、それと同じくらい重要な成果は、アイデアソンのプロセスそのもの。学生がプロのコンサルタントやエンジニアのサポートを受けながら、アイデアの発散―収束を何回も繰り返して企画を練り上げることができました。そのプロセスのなかに、アイデアソン推進の新しいひな形が存在していると思います。アイデアソンのプロセス自体を試行錯誤して作り上げていく、このような産学連携の取り組みは、おそらく日本ではじめてではないでしょうか。振り返ってみますと、最新の技術を知らない学生がアイデアを出すと、それはもうすでにあると富士通さんに指摘されてしまう。富士通フォーラムという大規模な展示会で先端技術を網羅的に知って目が開け、学生ならではの新しいアイデアが生まれる。ある程度素案が固まった段階で、プロトタイピングで実現可能性を検証する……こうした発散―収束の繰り返しで漠然としたアイデアが鍛えられていくプロセスは、とてもエキサイティングでした。今後も富士通さんと一緒に実践を積み重ね、これを方法論にまで昇華させたい」

立教大学経営学部教授 佐々木宏さん

学生たちばかりでなく、富士通グループの社員にとっても、大いに実りあるプロジェクトだった。デジタルネイティブ世代の学生が何を考え、どんなサービスを欲しているのか、より密接に知ることができるまたとない機会となった。学生とのコラボレーションによって新たな価値の創造をめざすのも、初めての経験だった。

今回、およそ4カ月で3回の“発散”と“収束”を展開した学生たち。1回目は富士通フォーラム、2回目はプロトタイプ・ワークショップ、最後は発表会と、普段の講義では感じられないビジネス創造の場を肌で感じながら、自分たちのアイデアを形に昇華していった。企業と大学の新しい共創のかたち。このアイデアソン・プロジェクトは、後期に向かって、さらに大きなステップを踏み出そうとしている。

“発散”と“収束”の繰り返しが学びを変える ──立教大学佐々木ゼミの挑戦(1)
“実現性”を突き詰めろ! ──立教大学佐々木ゼミの挑戦(2)


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