Cases
社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

全日本空輸株式会社(以下、ANA)は、<世界をまたにかけて活躍する社会起業家の航空移動をサポートする>「Blue Wingプログラム」を今年2月から半年間展開し、現在は次のプロジェクトを準備中だ。グループの経営理念に直結したグローバルエアラインとしての新しい試みとして位置づけられるこのプロジェクトは、20代の若手社員の粘り強い情熱とイノベーティブな想いを応援する社内、志を共有する協力者が1つになって実現したもの。さまざまな想いが詰まったプロジェクトを追った。

大企業をイノベーティブにフル活用する秘訣 ──ANA「Blue Wing」(2)
飛行機は夢と挑戦の象徴 ──ANA「Blue Wing」(3)

“Changemakersの移動”にフォーカス

ANAは社会起業家の航空運賃を支援し、社会起業家は自らのSNSネットワークなどで、このプログラムを積極的に発信する。世界各地への移動に航空機を利用することが多い海外の社会起業家にとっては活動の手助けになり、ANAにとってはエアラインだからこそできる価値の提供ができる。

世界の社会課題に向き合う真摯な姿勢をアピールし国際線における知名度を高め、ひいては新たな顧客開拓にもつなげられる。このように社会起業家と企業が互いにWin=Winの関係を築けるのが、Blue Wingプログラムの大きな特長だ。


Blue Wing Project

一般の顧客もこのプログラムを通じて間接的に社会起業家の活動支援に参加できる。ANAのウェブサイト “Blue Wing: Wings for Changemakers”(英語サイトのみ、今期は終了)にアクセスし、「Vote」「Fly」「Share」の3つのアクションを起こすと、ANAが代わりに支援してくれるしくみだ。「Vote」は、支援したい活動に投票すると1Voteにつき50セントをANAが社会起業家に還元。「FLY」を入口に購入されたANA航空運賃の1%をANAから社会起業家に還元(日本以外の海外各地から出発する旅程のみ対象)。また、自分のFacebookアカウントからBlue Wingサイト内の活動を「Share」し、活動を啓蒙できる。

Blue Wingプログラムが支援しているのは、世界最大の社会起業家のネットワーク組織「アショカフェロー」に選出されている5人。途上国の低所得者層の医療支援、障がい者の就労支援、耐震技術を利用した住宅支援といった活動をグローバルに展開している社会起業家たちだ。

2014年2月4日から実験的にスタートし、ANAグループ各社から公募した有志27名のメンバーが参加。そもそもの発案のきっかけは、入社3年目の社員が個人的に参加した社外セミナーにあった。

入社3年目でやってきた“出会い”と“ひらめき”

2010年、パイロットの操作手順などのマニュアルを作成する部署に所属していた深堀昂さん(現・マーケティング室マーケットコミュニケーション部宣伝チーム)は東京・六本木アカデミーヒルズで開催された「グローバルアジェンダセミナー」に参加した。世界的なイシューについて英語でディスカッションするなど、グローバル人材養成のための10カ月(2014年現在は6カ月)のセッションプログラムで、一橋大学名誉教授の石倉洋子さんが主宰している。


全日本空輸株式会社 マーケティング室マーケットコミュニケーション部宣伝チーム 深堀昂さん

海外のNGOリーダーが来日したセッションで、深堀さんは「ルーム・トゥ・リード」の代表、ジョン・ウッド氏のプレゼンに衝撃を受けた。30代で就任したマイクロソフトの幹部を経て、途上国の子どもたちに教育の機会を与える活動をグローバルに展開している社会起業家だ。

「こうして世の中を変えてみせる──それが完璧なビジネスプレゼンテーションだったのです」と深堀さんは当時の感動を思い出す。「情熱もカリスマ性もあり、Twitterのフォロワーが33万人くらい。これは凄い、とお話をさせてもらいました。聞けば、年間のフライトは300日に及ぶとか。莫大な費用はファンドレイジングで賄っているとのこと。そこで思いついたのが Blue Wingのコアになるアイデアでした。あなたのストーリーをぜひANAのお客さまにも知ってもらいたい。たとえばANAが航空移動をサポートしたら、あなたがそのことをTwitterやFacebookで発信するのはどうですかと尋ねたところ、ジョン・ウッドさんはその場で〈おもしろい!〉と言ってくれました」

セミナーの主宰者、石倉洋子さんもこの企画に共感し、かつてANAのアドバイザリーボードを務めた経験を活かし、会長と社長に手紙を書くという強力なサポートを買って出た。おかげで入社3年目の社員の考えた企画がCSR担当者の目に触れることになった。


一橋大学名誉教授 石倉洋子さん

荒削りながら作った当時の案は、CSR担当部署で現段階では実現が難しいと伝えられたが、「もっとリサーチがしたい」と言った深堀さんに、担当者はあるアドバイスをした。「満足行くまで組み立ててみなさい」。それが2010年4月、深堀さんは以後、5カ月かけて社外、社内のリサーチに精を出すこととなった。

社外の恩師と社内の担当者からの大きな後押しと叱咤激励を得て、深堀さんはさらにプロジェクトを加速させていく。社外で何が求められているのか、それに対してどんな社内の資産を提供できるのか、ひたすら話を聞きに行く日々。その行動力が次の展開を産んでいく。

大企業をイノベーティブにフル活用する秘訣 ──ANA「Blue Wing」(2)へ続く
飛行機は夢と挑戦の象徴 ──ANA「Blue Wing」(3)


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