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社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

飛行機は夢と挑戦の象徴  ――ANA「Blue Wing」(3)

2014年09月12日



飛行機は夢と挑戦の象徴  ――ANA「Blue Wing」(3) | あしたのコミュニティーラボ
会社の力強い支援を得、バーチャルハリウッド制度を利用し仲間も集まったことで、4年越しの深堀さんの夢は本格的に稼働するためのスタート地点に立った。最後の回では、このプロジェクトをともに支えるメンバーと、最大の協力者が考える「Blue Wing」について聞いた。

空を通じて、社会起業家と企業がWin=Winの関係を築く ――ANA「Blue Wing」(1)
大企業をイノベーティブにフル活用する秘訣 ――ANA「Blue Wing」(2)

形にならない“形にしたい”気持ちを

Blue Wingプロジェクトチームのメンバーは、どのような想いでこの企画に賛同し、深堀さんと志を同じくしているのだろうか。今回は4名のメンバーに話を聞いた。

ANA福岡空港株式会社旅行サービス部の久木野匠さんは2010年入社。ふだんチェックインや発券など接客の仕事をしている。バーチャルハリウッドの企画書は1~2枚の簡単なものが多いなかで、Blue Wingの20枚という企画書のボリュームに魅かれ応募。福岡空港まで来てくれた深堀さんの熱いプレゼンに心を動かされた。


ANA福岡空港株式会社旅行サービス部 久木野匠さん

「もし目先の業務だけしていたら絶対に出会えなかった人たちと一緒にプロジェクトを進められるのがすばらしいです。職場の始業時に〈世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します〉といった経営理念を唱和するのですが、日々の仕事で実際にそれを意識しているかというと疑問でした。ところが、それをまさに体現するような仕事に関われている、と思うとワクワクします」

ANAシステムズ株式会社でIT関連業務に携わる佐野有則さんは、世の中を良くしようと努力している人を会社として何か形にして応援できないかと、おぼろげながら思っている時期にBlue Wingに出会って賛同した。仕事柄、システム面でサポートできることがあるだろうと考えた。


ANAシステムズ株式会社 佐野有則さん

「大きな会社で何か新しいことを始めようとすると、必ず壁が立ちはだかると思うので、何年も前から取り組んできて、やっと形になりつつあると聞き、自分もなかに入って見届けてみたいという気持ちもありました。朝7時のミーティングに参加するには移動も込みで5時起き。そこまでやって、途中でサヨナラはありえません。それは、意地でも成功させたい、という気になりますよね」

整備センター技術部の保理江裕己さんは深堀さんの後輩。「むちゃくちゃおもしろいことを思いついたぞ!」と興奮ぎみに語る先輩の背中をいつも見ていた。アイデアがふくらんではしぼみを繰り返し、孤軍奮闘しているようすもよく知っていたから、声をかけてもらったときうれしくて、ぜひにと参加した。


整備センター技術部 保理江裕己さん

「飛行機が好きでこの会社に入ったので、仕事自体が楽しいのですが、さらにもう1つ、社会にインパクトを与えるような仕事ができたらいいな、というモチベーションが生まれたときにBlue Wingに出会えました。縦割りの大企業と言われるなかでこれが成功できたらすごいし、おもしろいと思って取り組んでいます」

Helen Shum(沈 碧芬)さんはマーケティング室マーケットコミュニケーション部のスーパーバイザーで、今年の4月にエクスチェンジプログラムで香港支店から赴任し、正規業務の1つとしてBlue Wingを担当している。


マーケティング室マーケットコミュニケーション部 Helen Shum(沈 碧芬)さん

「業務票にBlue Wingとあり、その当時は聞いたことがなかったプロジェクトでした。支店ではこういうプロジェクトはできませんし、個人的にも初めてで、やりがいがあるし、楽しいです。まだ本格的にスタートしたばかりですから、これからが大事。次に何をするか、いま皆で議論しています」

企業の本業で社会課題を解決するモデルケース

この企画の立ち上がりから一貫してサポーターを務め、何度となく深堀さんとミーティングを重ね、上層部に話をつなぐなど側面支援をしてきた石倉洋子さんは「深堀さんのパッションが持続していたから実現できた」と語る。「Blue Wingは、世界各地で活動している社会起業家にとっても、ANAにとっても意義のあるプロジェクト。企業の社会貢献活動が企業戦略の一部になる。それがカギです。私の先生のマイケル・ポーターが提唱したCSV(Creating Shared Value)――つまり企業の得意技を使って社会課題を解決する試みの絶好例だと考えています。そういう意味で私自身にも非常に思い入れがありました」。

くじけず、4年間も粘り強くパッションを持続できたのはなぜか。最後にBlue Wing Projectから見えるストーリーを探ってみたい。

まず、外部への積極的な行動と社内の巻き込みがあげられる。だからこそ、Blue Wing Projectのスタートとなるジョン・ウッド氏から金言、石倉洋子さんからの叱咤激励、次の一歩をつくり出すタイミングを得ることができた。また、何度も真剣に話を聞いてくれたCSR、ブランディング、マーケティングといった関連部署、ANAという大企業がイノベーティブなアイデアを育てる土壌を持っていたことも大きな要因であろう。

それでも、個人の内奥から発する強い意思がなければ、とても持続できるものではない。深堀さんの場合、その源は「飛行機への愛」だった。ANAに入社した理由が、誰にも負けない飛行機好き。小型飛行機のライセンスを持っているほどだ。「ぼくにとって飛行機とは夢と挑戦の象徴で、ライト兄弟の時代と変わらない」という深堀さんが、飛行機の翼に夢と感動を乗せて世界中の人に届けたいと思う気持ちは、誰よりも強かった。

そして最後に彼を支えたのは、27人の仲間たちだ。20代から50代まで年齢性別は多様で、パイロットもいればCAもいる。個人の強いパッションと、それを共有し、支えてくれる同志。社内起業に欠かせない条件の揃った青い翼が今後どのように大きく羽ばたくか、注目していきたい。

空を通じて、社会起業家と企業がWin=Winの関係を築く ――ANA「Blue Wing」(1)
大企業をイノベーティブにフル活用する秘訣 ――ANA「Blue Wing」(2)


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