Cases
社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

漢方医学から世界標準をつくる ISO/TC249における北里大学・富士通の挑戦(前編)

2014年09月22日



漢方医学から世界標準をつくる ISO/TC249における北里大学・富士通の挑戦(前編) | あしたのコミュニティーラボ
あしたのコミュニティーラボ編集部の片岡枝里花です。あしたのコミュニティーラボ(以下、あしたラボ)では、健康・ヘルスケア分野で進む取り組みの1つとして、日本における漢方医学の見える化・標準化に注目してきました。伝統医学の普及に向けた活動が世界的に広がり、国際標準化の動きも進むいま、6世紀から長年の叡智が蓄積されてきた日本の漢方医学のエッセンスもまた、国際標準化に向けてアピールしていくことが求められています。この春、日本で行われた国際会議をレポートしながら読み解きます。

漢方医学から世界標準をつくる ISO/TC249における北里大学・富士通の挑戦(後編)

これからのものづくりに欠かせないISO

IoT(Internet of Things)時代とも言われるように、インターネットを介して、ユーザー、デジタルデバイスを始め、私達の身の回りのあらゆるモノが情報を介してつながる時代がやってきました。この変化を受け、ICTによって生まれるコミュニケーションは、場所や時間という枠組みを超え、さらにグローバルかつミクロに拡大していくことが想定されます。

一方で、モノをつなげていくためのインターフェイス、すなわち技術や基盤の標準化をどう考えていくのかが懸念されています。そこで注目を浴びているのが、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)です。特に医療機器の分野では、今秋に予定されている薬事法の改正によって、海外向け製品のみならず国内で製造する製品には、ISOへの準拠が求められてきます。

自らの製品の価値を担保し、時代の潮流とのマッチングを図っていくためにも、これからのものづくりは、ISOとの関連性がより密接になってくるでしょう。そのなかで、漢方医学の可視化/標準化を支える先端技術についても同様に、国際標準化を検討していくことが重要です。

2014年1月にあしたラボで取り上げた、北里大学東洋医学総合研究所と富士通グループによる、ICTを用いた漢方医学を形式知化する取り組み(東西医学を統合したヘルスケアシステムをつくる)。これに続いて、北里大学と富士通の合同プロジェクトチームが現在新たに挑戦しているのが、ISOへの開発技術の提案です。

ISOとは何か。ひとことでいえば、国際的に共通するルールづくりのことです。たとえば、交通信号機は世界の多くの国で、赤・青・黄の3色の光の信号から成り、「進行不可・通行許可・停止」という色の意味も共通しています。これは、どの国にいっても道路を横断するときに混乱しないよう、ISOでルールが定義されているのです。ISOでは、この他にもネジ、キャッシュカード、非常口のシンボルマークやコピー用紙をはじめ、私たちの生活を支えるあらゆるモノや技術の標準が規定されています。


ISOで規定されている世界共通の信号機の色(提供:富士通株式会社)

ISO/TC249への参画

1947年に発足したISOは、現在では164カ国が参加し、これまでに19,573規格を発行しています。本部はジュネーブ(スイス)にあり、目的は「世界における標準化及び関連活動の発展を促進すること」 。このなかで、北里大学と富士通がプロポーザル提案を行ったのが、TC (Technical Committee)と呼ばれる技術委員会の1つである、ISO/TC249(国際標準化機構伝統中医薬標準化技術委員会)です。

TC249は、伝統医学の国際標準化を推進するための組織として、2009年2月に発足しました。24カ国の参加国(提案権や投票権をもつ)と、8つのオブザーバー国(左記をもたない)で構成され、5つのワーキンググループ(=WG /WG1=天然薬物、WG2=製品化された薬剤、WG3=鍼灸鍼、WG4=鍼灸鍼以外の医療機器、WG5=伝統医学の医療情報)に分かれて検討が行われます。

比較的歴史が新しいこの委員会は、中国によるTCM(Traditional Chinese Medicine:伝統的中医学)標準化提案が組織化した経緯もあり、中国の影響力が強いことが知られています。

しかし、自国の統一見解を世界標準にするのは、自らの製品の製造・輸出が有利に進むだけでなく(ISOに則った新たな開発や工程の変更が必要ない)、一般の人たちにとっても一定品質が保障された製品を安心して使うことができるというメリットが期待できます。このため、韓国の韓医学や日本の漢方医学なども、自らのスタンダードのグローバルへの展開をねらって、さまざまな提案活動を行っています 。


ISO/TC249の参加国 (資料:金沢医科大学 元雄良治教授作成)

日本が初めてのホスト国に、2014年京都会議

ISO/TC249は、年に1回の全体会議(Plenary meeting)とWG単位での分科会が行われています。2010年6月の北京(中国)以来、これまでに5回の全体会議が各国で開催されましたが、6回目となる今年、京都での開催が実現することになりました。

京都は、日本古来の神社仏閣建築が有名なだけではなく、2012年のノーベル医学賞にも選出されたiPS細胞(人工多能性幹細胞)が生まれた地。伝統と革新が共存するこの街で、世界中から集まった参加者とともに、伝統医療の標準化について連日の熱い議論が繰り広げられました。後編では、会議の詳細をお届けします。

漢方医学から世界標準をつくる ISO/TC249における北里大学・富士通の挑戦(後編)へ続く


いいね!を押して
Facebookページをフォロー

あしたラボの最新情報をお届けします。

Twitterであしたラボ(@ashita_lab)をフォローしよう!

皆さんの感想をお聞かせください!





  • facebook
  •  twitter
  • USTREAM
  • RSS

Copyright 2017 あしたのコミュニティーラボ