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子どもとメンターが”楽しみながら育つ場”をつくる ──Life is Tech!後編

2014年09月26日



子どもとメンターが”楽しみながら育つ場”をつくる ──Life is Tech!後編 | あしたのコミュニティーラボ
中学生、高校生のためのITサマーキャンプをはじめとしたプログラミング学習の機会提供を行っているLife is Tech!には、“場づくり”、それもこのうえないポジティブさを持った“場づくり”のヒントが隠されている。起業からの試行錯誤のストーリーを聞いた前編に引き続き、後編では実際にどのような場づくりのしかけが展開されているのか、その裏側を3名のスタッフに聞いた。

ITが子どもの人生を変え、世の中を変える ──Life is Tech!前編

自分の“脳内”を見せることからコミュニケーションがはじまる

メンターの研修や現場のディレクターなど、実務面を率いる取締役副社長CEOの小森勇太さんは、ワークショップデザイナーの資格を持つ。SFCサマーキャンプの発表会で見事なモデレーターぶりを発揮していたのも小森さんだ。企業の採用戦略を手がけていたコンサルタント会社で水野さんの後輩にあたり、誘われて起業仲間になった。


Life is Tech! 小森勇太さん

集まった子どもたちが楽しく、ワクワクしながら学べる場は、どうしたらデザインできるのか。参加者がヒントを手がかりに謎を解いてその場所から脱出する「リアル脱出ゲーム」のディレクターを務めていた経験を持つ小森さんは2つの要素が大切という。

「1つは、潜在的・顕在的にもっている興味・関心を引出すこと。もう1つは、仲間とコミュニケーションをとりながらチームで学ぶこと。最初に〈脳内シート〉というのを子どもたちに書いてもらいます。自分の頭のなかにある好きなものを、何でもいいから書く。ゲームのタイトルでも、アイドルの名前でも、好きな教科でも部活でも、何でもいい。それを見て、メンターが話を引き出してあげます。どんなに無口な子でも、自分な好きなものについて話すとスイッチの入る瞬間が必ずあるんです。そうしたらアクティビティやレクリエーションを通じて、仲間と一緒に何かをすることの楽しさを体験してもらいます」


コミュニケーションの最初のきっかけとなる「脳内マップ」

かつて教師の役割は一方的な知識の伝授だった。今は、その気になればいくらでもインターネットで最新の知識を得られる。「なに」を教えるかより「どう」したら自発的な学びをデザインできるか。それが、これからの教師に求められること。メンターの研修では、プログラミングのみならずコミュニケーションの実習にも注力し、そうした新しい「学習観」を身につけてもらう。

メンターの気持ちも成長させる“場”

デジタルハリウッド大学の藤田隼輝さんは、Life is Tech!スタート時からのメンター。秋葉原のパーツショップで店員のアルバイトをしていたが、そろそろ技術を生かせるバイトをしたいと思っていた矢先に、水野さんから誘われ、アニメーションコースのカリキュラムづくりから参画し、現在はゲームコースを担当。今や水野さんによれば「黒帯メンター」で、研修の講師も務めている。


Life is Tech! 藤田隼輝さん

「最初はずっと一緒につくってあげます。その時点でオリジナル性はあまりないんですが、だんだんこうしたい、という欲求が出て来ます。たとえばシューティングゲームなら、動きをカーブさせたくとなったときに高校数学の微積分をつかう。自分がやりたい、と思った瞬間に知識や技術を教えると、飲み込みがすごく早い。いかに適確なタイミングでコンテンツを与えるか、がポイントですね」。藤田さん自身もメンターとして活動するなかで、新しい仲間を見つけた。もうすぐメンター仲間とゲーム制作会社を起業する予定だ。

女子美術大学の高瀬有美子さんは、もともと高校時代に生徒として参加していたメンター。最初、お試しでワンデイスクールの生徒になったとき「ここが本当に信頼していい場所なのかどうか」、ひそかに観察していたという。


Life is Tech! 高瀬有美子さん

「終わってスタッフが片付けるタイミングとか、すっごい細かく見てたんです(笑)。生徒がいなくなったら「ホッ」とかため息つくような人がいないかな、と。1人もいませんでした。プログラミングの勉強自体よりも、場の雰囲気がすごく魅力的だったんですね。だから、メンターになりませんか? と声をかけていただいたとき、覚えててくれたんだ! とすごく嬉しかったです」

受け持った生徒はみな、脳内シートを使って初日に自己紹介した時の恥ずかしそうな態度と、最終日にすっかりフランクになった態度の対比が「かわいくてかわいくて」たまらない。プログラミングは「実は死ぬほど嫌い」という高瀬さんだが、かわいい生徒のために頑張って勉強するのはちっとも苦にならない、とも話してくれた。

こんなにほめあう習慣のあるコミュニティーはない

メンターは修了式でチームのひとりひとりに個別のメッセージを書き込んだ「認定証」を渡す。これが子どもたちにとっては嬉しい。そのコメントは後にメンター同士で共有されることで、リピーターで来た子への接し方は、その情報をベースに積み上がっていく。

藤田さんは「自分も本気でエンジョイする」ことが子どもたちとチームビルディングするコツ、と語る。上から目線ではなく、ちょっと年の離れた友だちのようで、子どもたちから突っ込まれたりもしている。でも肝心なことはちゃんと手助けしてくれるので、頼りがいのあるコーチ。そんなポジションをメンター自身も楽しんでいる様子は、端から見ていてもわかる。


参加生徒が1人ひとりプレゼンテーションを行う。出てくるプロダクトも大人顔負け

「アクティビティやレクリエーションでは、子どもたち目線で流行りのネタを豊富に取り入れたりして、雰囲気づくりが圧倒的に楽しい。こんなに祝う習慣やほめ合う習慣があるコミュニティーは、ちょっとない」という藤田さんの言葉を裏づけるのは、社会人になったメンターOBが会社の夏休みを丸々潰してサマーキャンプを手伝いに駆けつけること。子どもたちと一緒に過ごした濃密な時間の楽しさが忘れられないという。

仲間と交流しながら自分のアイデアでアプリやゲームをつくりだす喜びを知った子どもたちは、まさに“人生を変えるような経験”をしているのだろう。それはメンターにとっても同じかもしれない。楽しみながら互いに高めあうこと。Life is Tech!の実践は、「ポジティブな場づくり」に腐心するすべての人にとって大きな示唆に富んでいる。

ITが子どもの人生を変え、世の中を変える ──Life is Tech!前編


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