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未来が生まれる場所をつくる――ソーシャルイノベーションを体験する―― イベントレポート(後編)

2014年09月29日



未来が生まれる場所をつくる――ソーシャルイノベーションを体験する―― イベントレポート(後編) | あしたのコミュニティーラボ
自分たちをとりまくあらゆる“場”を、よりよくイノベーティブな場にするためにどうしたらいいのか。今まさに抱える課題を、ダイアローグ(対話)するために集まった参加者たち。すでに実践している3名の登壇者のプレゼンテーションに続き、登壇者、参加者全員でのダイアローグを行った後編をお届けします。

未来が生まれる場所をつくる――ソーシャルイノベーションを体験する―― イベントレポート(前編)

「相談したい自分ごと」なら、トピックスは何でもいい

後半は参加者が主役のダイアローグです。前半の登壇者が出した3つのトピックスに加えて、会場から8つのトピックスを募りました。合計11のトピックスについて、トピックスの提示者を含めた4~5名程度のグループで20分、ダイアローグを行います。そしてメンバーを組み替え、もう一度話し合う。トピックスの提示者以外の参加者は、都合2つのトピックスについて対話することになるわけです。いったいどんなトピックスが出されたのでしょうか。


今回のダイアローグは2回に分けて行われました

モデレーターの西村さんが、まずトピックスの2つの条件を提示しました。トピックスはこの2つの条件を必ず満たしていなければいけません。言い換えるなら、以下2つの条件さえ満たしていれば、どんなトピックスでもいいのです。

① 人にアイデアを聞きたい、相談したいこと。
② 自分ごとである。

①でないと、トピックスの提示者が1人でべらべら喋る独演会になってしまいます。②他人ごとならば、しょせん深い関心はないので熱量が不足し、通りいっぺんの話しか出ず、これもダイアローグにならないと言います。

以上を念頭に置いてもらい、会場から8人先着でトピックスを募りました。あっという間に手が挙がります。8人が登壇し、「相談したい自分ごと」を本のタイトルのように紙に書きました。出されたのは次のようなトピックスです。

「みんな違ってオッケーの社会をつくるには?」
「どうすれば若者が日本で幸せを感じるのか」
「不登校だったり、学校を途中でやめた人の生き方」
「都会で働くことと、地域で働くことについて」
「満員電車内でコミュニケーションをつくりだす方法」
「東北の被災3県で挑戦する人を応援する仲間を増やすには」
「父親として1歳半の娘との過ごし方がわからない」
「IoT(Internet of Things)のアイデアが欲しいです!」

ダイアローグでは、まず提示者がなぜそのトピックスを相談したいのか、背景を説明します。次にグループのメンバーが、そのトピックスを選んだ理由を話す。そこから対話がスタートです。会場の参加者は三々五々、自分が興味・関心のあるトピックスの提示者のもとへ集まりました。今回は、1回目のダイアローグを終えた、とあるグループの様子をレポートします。

Fさん:今回の出題者。1歳半の娘の子育てに関して悩みを抱えている
Sさん:娘の立場から対話したいと参加
Tさん:4人兄弟の大家族に育ち、その経験を活かして対話したいと参加
Nさん:3兄弟の次男で、友人の体験を元に対話したいと参加


1回目のダイアローグ、参加者のみなさんは少し緊張気味です

娘との過ごし方、正解はどこにある?

「父親として1歳半の娘との過ごし方がわからない」。トピックスの提示者・Fさんは、1歳4か月になる娘さんの成長に向けて、どう育てたらいいか迷っています。仕事が多忙で、土日しか娘さんと接する機会がなく、つい先日も、あやしたら泣かれてしまったそうです。

Sさんは娘の立場からの父親への接し方が参考になれば、と思ってこのグループに参加しました。子どもはいないが4人兄弟の大家族で育ったので、そんな観点から話ができれば、と言うのはTさん。Nさんは3兄弟の次男で未婚ですが、1歳半の子どもがいる友人と対比できるかも、と話します。


話が進むにつれ、手元にある模造紙にもメモが増えていきます

Fさんが1回目のダイアローグで出た意見を紹介してくれました。子育てにおいて何よりも大事なのは、パパがママを大切にすること。娘は母親とのつながりが本能的に強いので、どうしても父親は疎外感を味わうが、その親密な母親を父親が大切にしていることが娘にわかれば、娘も父親を好きになる。この関係をしっかり築くのが子どもの成長にとって大切、というわけです。また、娘は成長すると、ある時点で「パパ離れ」するのは仕方がない。それは人間として当然のことなので、受け入れないといけない「らしいです」とFさんは苦笑しつつ報告しました。3人は「なるほど!」と関心至極。

女の子にこだわらず、これからの社会での子どもの育て方、という広い観点からも皆さんの意見を聞きたい、とFさんが議論を促します。

それぞれの立場から語る“子どもを取り巻く環境づくり”

親離れが始まる10歳までに父親からスキンシップしてもらった女の子は成長して、男の良し悪しの判別がつく。そう聞いたことがあるとNさん。それは聞き捨てならない! 自分のまわりにいる悪友みたいな男にひっかかってほしくない! とFさんから赤裸裸なホンネが出ます。友だちにスキンシップしてもらい、早めに男性を見極める目を養ったほうがいいのでは? とTさん。

Tさんは、片親の子どもはどうすればいい? 子どもを取り巻く環境にはもう一枠あるような気がする、と問題提起します。田舎育ちで大家族のTさんは従兄弟が30人も。親だけでなく親戚や地域ぐるみで子どもに接するのが当たり前だったと語ります。

実際、都内に住むFさんは夫婦とも実家が遠く、近所づきあいも薄いので、公民館などに集う「ママ友」が唯一の子育てコミュニティーとのこと。

Sさんは、子どものころ単身赴任だった父親とは今も仲がいいそうで、むしろずっと一緒にいた母親に対して、反抗期をちゃんとやらせてほしかった、と思っているそうです。「ダメ!」に従い続けたので、自分の意見のほうが正しいと思っても反論のできない引っ込み思案の性格になったかもしれない。

Nさんは父親に対してSさんと同じような気持ちを抱いていました。どんな意見にも「否定」から入られた記憶があるので、いったん受け容れてから「でもな……」というコミュニケーションがあってもよかったのでは、と今にして思います。他にも「習いごと」の是非などについて活発な議論が展開されました。

「対話する場」が持つ力をあらためて感じた

2回のダイアローグ終了後、その結果を何人かのトピックス提示者が発表しました。

「人が忘れっぽいところだったり、生活のシーンを考えてアイデアを深掘りできそう」(「IoTのアイデアを!」のKさん)。
「おもしろいアイデアを2つ紹介します! 路線や時間に合わせたラジオを配信するアイデアと、山手線をコンベアみたいにつなげて(笑)すしづめの混雑自体を緩和するアイデアです」(「満員電車内でコミュニケーションをつくりだす方法」のFさん)。

意外なアイデアに会場では笑いが起こりました。


最後には模造紙はメモでいっぱい。さまざまなキーワードが書かれました

登壇者はダイアローグを体験してどんな感想を抱いたのでしょうか。

「対話を通じて、ふだん僕らがやっていることの再確認だったり、新たなアプローチの仕方に思い至りました。たとえばICTによる〈掛け算〉で価値を最大化することなどは、この場で得られた新たな気づきです」(堀井さん)

「教育論で盛り上がってしまい、アイデア出しというよりもディスカッションになりましたが、とても刺激的でした。場が持つ力をあらためて感じます。議論が、社会を変える実行につながると素敵だなと思いました」(石戸さん)

「こういう場所で、実りある対話ができることを初めて体感できたのが新鮮でした。デザインの本質に気づかされる話もありました。またぜひこういう機会を設けたいです」(平野さん)

あしたラボはこれから、より多様なユーザーのみなさんの価値観を織り交ぜながら、単なる伝える側だけでなく、新しい価値を一緒につくり出す存在になりたいと考えています。今回のイベントはまさにその体現。

さまざまなバックボーンをもつ人たちが、ある1つの具体的な課題についてオープンに語り合い、アイデアを共有する。意見を集めるだけでなく、次に実践していくことが求められますが、「未来を生む場」の第1歩はここからはじまることが見えたイベントになりました。

今後もみなさんとともに新しい価値をつくり出すイベントやしかけを行っていきます。次回のイベントにもぜひご期待ください!

未来が生まれる場所をつくる――ソーシャルイノベーションを体験する―― イベントレポート(前編)


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