Cases
社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

本気で成果をあげるハッカソンのつくり方 ――「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(前編)

2014年10月31日



本気で成果をあげるハッカソンのつくり方 ――「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(前編) | あしたのコミュニティーラボ
企業内でも研修の一環として取り入れられ、短期間で一般化しつつある“ハッカソン”。しかし、ハッカソンでの成果物をどうするか、多くの主催者が悩み、もがいている。2013年にスタートしたハードウェアコンテスト「GUGEN」は、商品として具現化するためのフォローアップで注目を集めている。ハッカソンで生まれたイノベーションの種をその場限りで潰さず、発芽させ育てる方法を探ってみた。(TOP画像提供:GUGEN)

課題を見つけて、次のステージへ――「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(後編)

“おもしろい”から“買いたい”へのシフト

「このハッカソンは、ものをつくるだけのハッカソンではありません」。

主催者がそう最初に宣言するハッカソンがある。「あくまでもアイデアは仮説。その仮説を検証するためユーザーテストをやってもらいます。その上で実用化・商品化に至るまで継続してほしい。ハッカソンはスタートに過ぎません」。

ハッカソンでアイデアを出し、プロトタイプをつくり、市場でニーズを検証し、またつくり直す――リーンスタートアップの手法を取り入れ、最終的に商品化までサポートする。それが「GUGEN」の目指すところだ。


株式会社ピーバンドットコムマーケティング統括マネジャー GUGEN代表の崔熙元(チェ・ヒウォン)さん

今年は東京、大阪、福岡、横浜でハッカソンを実施。8月に決勝戦的な位置づけのハードウェアアイデアコンテスト「Hirameki」を開催し、12月の展示会・授賞式に向け9チームが継続してアイデアの具現化に挑んでいる。

「未来のふつう」としてありそうなハードウェアを実用性や商品性の観点で表彰する「GUGEN」の原型は、2009年から2012年まで開催してきた「電子工作コンテスト」だ。主催するのは、プリント基板ネット通販の株式会社ピーバンドットコム。同社のエンドユーザーはハードウェア・エンジニアにほかならない。マーケティング統括マネジャーでGUGEN代表の崔熙元さんは「もともとはハードウェア・エンジニアのイメージアップのための場づくりでした」と、電子工作コンテストを立ち上げた経緯を振り返る。


GUGEN2014開催の様子(提供:GUGEN)

「弊社の経営理念は“開発環境のイノベーション”です。ハードウェア・エンジニアがイノベーティブな作品を発表し、プロモーションできる場を設けたかった。ちょうどアメリカで〈メイカーズムーブメント〉が起き、ファブラボが注目されだした頃でしたが、つくり手の裾野を広げるというより、優秀なエンジニアを顕彰してムーブメントを牽引したかったのでコンテスト形式をとりました」

初回の応募は50作品程度だったが、3年目ともなると180作品近くまで増えた。ハードウェアに特化した日本最大のコンテストとして知名度も上がった。

だが、4年間開催して気になったのは、ホビー的な応募作品が大半を占めていたこと。せっかくすばらしい技術を持っているエンジニアが趣味に走るだけなのはもったいない。確かに笑えたり、おもしろかったりするが、いざ商品化したら、果たしてどれだけの人がお金を出して買ってくれるかとなると疑わしい。「そこで2013年から、実用性と商品性の高いアイデアを表彰するというコンセプトに変えて〈GUGEN〉をスタートさせたわけです」と、崔さんは話す。

販路までを見据えてイノベーションを後押しする

GUGENに変わると、電子工作コンテストの時代よりも実用性を志向した作品の応募が増えた。たとえば昨年の大賞を受賞した「HandiiiGUGENでの紹介ページはこちら」。すべてのパーツを3Dプリンターでつくった筋電義手で、安価ながら機能的でスタイリッシュなデザインが評価された。海外のコンテストでも入賞し、商品化に向けてサポートしている最中だ。


筋電義手Handiii 提供:exiii

とはいえ全体としてみれば、商品として売れそうなものは、まだ少ない。昨年の第1回は、電子工作コンテストの方法を踏襲し、応募者がアップした動画から厳選して展示会に出品し、最終プレゼンを経て表彰、というプロセスだった。そこでレベルの底上げのため、今年からハッカソンの手法を取り入れて、アイデア出しの段階からサポートすることにした。それによって「Handiii」のような理想的な事例を多く生み出したい、と崔さんは意気込む。

GUGENの最大の特長は、入口から出口までのフォローアップだ。製作過程においては、ピーバンドットコムのネットワークを活用して外注先を紹介したり、電子部品を安価に提供したり。プロトタイピングの段階でユーザーテストを半ば強制的に課しているのは、ニーズサーヴェイとマーケティングのサポートを意味する。そして販売ルートに関しても、ピーバンドットコムのネット通販や協賛企業のショッピングモールを活用することが可能だ。

「日本には優秀な技術を持つエンジニアが多くいます。だからイノベーションの起こる可能性も高い。それなのにスピードが遅いし、少ない。私は韓国出身ですが、客観的に他の国と比べたら、日本のエンジニアは良く言えば慎重、悪く言えば消極的。だとするなら、GUGENのようなしくみがあれば、慎重な方法でサポートしながらイノベーションを後押しできるのではないかと考えています。こうした取り組みをもっと強化していきたいですね」と崔さんは語る。

大きなメリットはネットワークの拡大とブランドイメージの向上だ。たとえば大阪、福岡、横浜は自治体の後援を受けている。GUGENを通じて、自治体や企業とのつながりが増え、それが自社の本業にも好循環をもたらしている。

ハードウェア・エンジニアのアウトプットの場から“買いたい”と思わせる商品づくりの場へ――。より高度な方向へと舵を切ったGUGENには、本気のものづくりを志向する人、その場をムーブメントにしたいと考える企業が続々と集まっている。後編はその場に集まる新しい仲間たちの想いを聞いた。

課題を見つけて、次のステージへ――「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(後編)へつづく

関連リンク
GUGEN2014 展示会・授賞式


いいね!を押して
Facebookページをフォロー

あしたラボの最新情報をお届けします。

Twitterであしたラボ(@ashita_lab)をフォローしよう!

皆さんの感想をお聞かせください!





  • facebook
  •  twitter
  • USTREAM
  • RSS

Copyright 2016 あしたのコミュニティーラボ