Cases
社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

課題を見つけて、次のステージへ ──「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(後編)

2014年11月04日



課題を見つけて、次のステージへ ──「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(後編) | あしたのコミュニティーラボ
2014年4月、GUGEN2014のプログラムはスタートした。アイデアソンをスタートにハッカソン、それを商品として具現化するところまで細かくフォローアップを行うプログラムで注目を集めている、日本最大級のものづくりハッカソン「GUGEN」は夏のHiramekiを終え、12月の展示会・授賞式に向けて最終コーナーにさしかかったところだ。では、ハッカソンの参加者、企業パートナーはどのような想いでこのプログラムに参加しているのか。今後GUGENがつくり出そうとしている未来について聞いた。

本気で成果をあげるハッカソンのつくり方──「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(前編)

趣味が導いた、仲間づくりとものづくりの新しいステージ

メーカーでカーナビの設計を仕事とする上田浩さんは、今年に入って「ハッカソン漬け」になっている。GUGENの東京、横浜、そしてHiramekiに参加した。電子工作が趣味。自宅でコツコツやっていたが、仲間が欲しくなって1年ほど前から「三鷹ハードウェアエンジニアカフェ」に足を運ぶようになった。

作品を応募したことがあった電子工作コンテストがGUGENと名称を変え、ハッカソンが開催されることを知り、ソフトウェアではなくハードウェアのハッカソンであるところに魅かれ、申し込んだ。ハッカソンは「仲間ができるのと、自分1人では絶対にできないモノがチームでつくれたりする」のが楽しいと言う。

チーム You-ShowとしてGUGENに参加。リーダーを務める上田浩さん

東京、横浜と参加してコツをつかんだので、Hiramekiでは入賞をねらう意気込みでチームリーダーとなった。「虎の巻」めいたものを作成しメンバーに披露。過去2回で得た教訓から、いくらアイデアが良くてもデモが完成できなければダメ、1つのデバイスに集約すること、といったコツを伝授した。

上田さんのチームがHiramekiで開発したのは「Empty Alarm」。シャンプーや醤油などの日用品は、普段ついつい買い忘れてしまう。そこでセンサを容器に取りつけておき、残り少なくなったら買物の時にスマートフォンに知らせてくれるというしくみだ。大賞に準ずる優秀賞を獲得した。

チーム You-Showが開発したEmpty Alarm。日用品の消耗度合いがタブレットなどで確認できる
(提供:チーム You-Show)

「ユーザーヒアリングを課せられたのは新鮮な体験」と上田さんは振り返る。「会場近くのお台場ではショップの開店前に並んでいるお客さんがいて、暇つぶしにちょうどよかったのか、百発百中で答えてくれました。男性は比較的〈そんなのいらない〉という反応も多かった一方で、若い女性には、〈数百円で買えるなら欲しいかも〉という人から〈数千円払ってもいい〉という人まで、ウケが良かったです。サービス提供のしかたとして課金方式にしたらどうか、とアイデアを逆にいただいたり、新たな発見もありました」

12月の展示会・授賞式は決してゴールではない。10月7日から開催された家電・ITの見本市「CEATEC JAPAN(シーテック・ジャパン)2014」で展示しアピールするなど、商品化へ向けたGUGENのサポートが続いている。

「プロジェクトを進めるスピード感とか、いろいろ学ぶところは多いです。なんとか製品化までこぎつけたいですね」と上田さんは意欲を燃やす。

日本のものづくりのエコシステム構築を応援する

付加価値の高い最先端の半導体デバイスやネットワーク機器を提供する技術商社トップの株式会社マクニカは、GUGENのスポンサー企業の1社。主催するピーバンドットコムとはパートナー企業として取引関係にある。マクニカの主要クライアントは大手電機メーカーだが、最近では、3Dプリンターやオープンソースハードウェアを活用して新しいモノづくりを模索するベンチャー企業や個人の「メイカーズ」に向け、ロボット開発やハードウェアづくりを展開するユカイ工学株式会社と共同で最先端半導体デバイスをキット化し、技術ソリューション「Mpression for MAKERS」として提供している。

株式会社マクニカ ストラテジックマーケティング推進室の岡田裕二さん

GUGENのスポンサー企業として名乗りを上げたのも、そうした新しい潮流の一環にほかならない、とストラテジックマーケティング推進室の岡田裕二さんは語る。

「われわれの持つリソースを提供することで、日本のモノづくりの新しいかたちを支援したい、というのが最大の意図です。もともと、シリコンバレーのベンチャー企業の最先端デバイスを日本に導入してきた長い実績がありますから、新しいことへのチャレンジは身についた企業風土といってよいと思います」。

ユカイ工学と開発した「Mpression for MAKERS」の製品や加速度センサなど

基板や半導体などの部品を主催のピーバンドットコムや協賛のマクニカのような企業が提供し、量産のノウハウや販路をたとえば大手電機メーカーが提供する。とりわけ大手企業によるプロフェッショナルなサポートが、ハッカソンで生まれたアイデアの商品化にはカギとなるだろう、と岡田さんは考える。

「事業化を希望する参加者には、資金調達までつながるようなプラットフォームになっていくといいですね。インキュベーターやアクセラレーターのような資金面でのサポート機能も加わり、最後には量産の受け皿となる大手企業が関わってくると、一連のエコシステムができあがり、新しいムーブメントになるはずです」

メイカーズムーブメントは、従来の大量生産モデルでは対応しきれなかったニッチな要望を拾い上げ、規模は小さいものの切実なニーズのある市場を豊富に開拓する可能性が高い。個人によるモノづくりの敷居は低くなったが、その先の道筋は決して平坦ではなく、つまづくケースも目立つ。岡田さんが指摘するように、そこからが既存のモノづくり企業の出番なのかもしれない。

被災地のニーズを現場で抽出するようなハッカソンを

GUGEN代表の崔さんがハッカソンの参加者によく強調しているのは「課題設定の大切さ」だ。商品化・実用化にはこれが最大のキーポイントになる。メンバーの頭でひねり出したその課題は本当に世の中に存在するのか。それはマーケットに聞いてみるのが、いちばんてっとり早い。だからこそ、つくりはじめる前にユーザーヒアリングをする。その結果、そんな課題はなかったことがわかり、ゼロから仕切り直さなければならない場合もある。しかし、最初にそれをやっておけば、商品化への射程距離を縮めることができる。

株式会社ピーバンドットコムマーケティング統括マネジャー GUGEN代表の崔熙元さん

「自分の経験に照らして身近な課題を解決するモノでもいいんですが、エンジニアの皆さんに期待したいのは、もっと広がりのあるフロンティアとしての社会的な課題へのコミット」と崔さんは話す。

「とはいえ、関心もないのに無理やり考えても意味はない。なので、たとえば東日本大震災の被災地の方々がいま何を求めているか話を聞いて、そこから課題を抽出するようなハッカソンをやってみたいんです。社会的な課題は現場に行かないと絶対にわかりませんから。福祉関係なら実際に介護の現場に出向いてハッカソンをやるとか……」。

GUGENのハッカソンで出たアイデアの半数は商品化できる。それが究極の目標、と崔さんは語る。GUGENのように人を集めるプラットフォームと、既存の企業資産、そこに日本の優秀なエンジニアが加わることで新しいものづくりができる環境はつくられつつある。しかし、成果を上げ、どうエコシステムを構築していくか、あしたのコミュニティーラボでも引き続き実践しながら探っていきたい。

本気で成果をあげるハッカソンのつくり方──「未来のふつう」を具現化する「GUGEN」(前編)

関連リンク
GUGEN2014 展示会・授賞式


いいね!を押して
Facebookページをフォロー

あしたラボの最新情報をお届けします。

Twitterであしたラボ(@ashita_lab)をフォローしよう!

皆さんの感想をお聞かせください!





  • facebook
  •  twitter
  • USTREAM
  • RSS

Copyright 2017 あしたのコミュニティーラボ