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高知の山奥で、起業家の卵を育てる ――土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(1)

2014年11月14日



高知の山奥で、起業家の卵を育てる ――土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(1) | あしたのコミュニティーラボ
工石山を仰ぎ、鏡川がせせらぐ緑深い渓谷。明治の自由民権運動の時代から「社学一体」の社会教育の伝統が根づく高知県土佐山地域に拠点を置くNPO法人「土佐山アカデミー」で、過疎地域に特化したユニークな起業家養成プログラムの「EDGE CAMP」がスタートした。次の100年間持続する暮らしのために、地域資源を活かす人材を育む新しい「学びの場」づくりは、どのように進んでいるのだろうか(全3編)。 (冒頭写真提供:NPO法人土佐山アカデミー)

“先輩”から受け継がれる地域起業の道 ――土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(2)
100年後の地域を支えるアイデアを形にする場 ――土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(3)

6カ月で「なりわい」を立ち上げる

「地元のお母さんたちを巻き込むのはたいへんでしたか?」

会場からの質問に壇上のメンターが答える。

「超たいへんですよ! 親よりも年上の人たちですからね。テクニカルなコツなんてない。地域のために一生懸命やっている姿をひたすら見せること。全員に好かれようと僕は努めました。地域の人たちと活動していくうえで、〈支持率〉はものすごく気にしています。嫌われていないだろうか、と。ホストクラブのホストみたいなものですよ(笑)。でも、このたとえはそんなにズレてない。みんなが僕の取り合いになるような関係性を築くんです(笑)。そして各グループでキーになる人を必ず1人だけ見つけること。それがすごく重要ですね」

高知県高知市土佐山。市街からクルマで20分ほどだが、人口減少が著しい典型的な日本の中山間地域だ。かつて県立牧野植物園の分館だった施設を拠点に土佐山アカデミーの「EDGE CAMP(エッジキャンプ)」が開催されている。

日本財団が支援するこの取り組みは「過疎地域特化型・起業家養成プログラム」。参加者は月1回の合宿を積み重ね、6カ月間をかけて、メンターや地域コーディネーターのサポートのもと、中山間地域の資源を活かした新しい「なりわい」を立ち上げる。10月下旬の週末、この日は第2回目の合宿。前回、最初のプレゼンテーションでメンターからレビューを受けた参加者は、それぞれブラッシュアップしてきた2回目の事業プレゼンを行い、土佐山と似たような他の地域で事業を立ち上げ軌道に乗せた先輩としてのメンターの実績に学びながら、個人面談でアドバイスを受けていた。


参加者によるプレゼンテーションの様子

EDGE CAMPを主催する土佐山アカデミーは、「次の100年のために、地域の資源を活かし新たな出会いやアイデアを生み出す」人材の育成をミッションとしている。豊かな資源が潜在する日本の中山間地域を活かすことは日本を活かすことにつながる、とのビジョンを掲げ2012年に発足した「学びの場」だ。

スタッフとメンターが伴走しながら、初めての起業へ

土佐山アカデミーでは、生活しながら地域の人と触れ合い、土や農や食について体験する長期の3カ月滞在プログラムや、森や水の恵みを知る短期の3日間プログラムなどを通じて、次の100年のために持続可能な暮らし方とはどんなものかを学ぶ場を提供してきた。


地域の人とに関わりコミュニティーに入ることも大切な要素だ(提供:NPO法人土佐山アカデミー)

「今年からスタートしたEDGE CAMPは、もう一段階踏み込んで、解決策を生み出し実際に地域資源を活かしたソーシャルビジネスのスタートアップを目指すプログラムです」と事務局長の吉冨慎作さんは話す。


土佐山アカデミー事務局長の吉冨慎作さん

「募集の時点で事業計画を提出してもらいました。40名の応募から実現性の高さを基準に選考し、3カ月プログラムの既卒生も含め13名が参加しています。僕ら運営スタッフは地元のキーマンや空き家を紹介するなど地域のリソースとつなげて、8人いるメンターには得意分野を生かしビジネスの組み立てをアドバイスして伴走していただく、というサポート体制です」

参加者同士とメンターはFacebookで情報を共有しながら6カ月の準備期間を経て起業を目指す。特産品を活用した商品開発、コミュニティーカフェの開設、改修実践型のシェアハウス、農家と飲食店の共同事業、ナマズ養殖プロジェクト……などなどアイデアは多種多様で、年齢も20代前半から50代まで幅広い。

ほぼ共通しているのは、起業に挑戦するのは初めてということ。中山間地域の豊かな自然や暮らし方のなかから新たな価値を生み出したい。アイデアと熱意はあるけれど、どこから手をつければよいかわからない。そんな人たちにきっかけと入口を提供しているのが、土佐山アカデミーのEDGE CAMPだ。

地域資源を活かす人材を育む「学びの場」の提供だけでなく、そこから一歩踏み込んで解決策を生み出し、実際のビジネス立ち上げにつなげるプログラム「EDGE CAMP」。中編では、参加者を導くメンターの方々に、実際のアドバイスの様子や取り組みへの期待を伺う。

“先輩”から受け継がれる地域起業の道 ――土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(2)へ続く
100年後の地域を支えるアイデアを形にする場 ――土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(3)

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土佐山アカデミー
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