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“先輩”から受け継がれる地域起業の道 ──土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(2)

2014年11月17日



“先輩”から受け継がれる地域起業の道 ──土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(2) | あしたのコミュニティーラボ
地域資源を活かす人材を育む「学びの場」の提供だけでなく、そこから一歩踏み込んで解決策を生み出し、実際のビジネス立ち上げにつなげるプログラム「EDGE CAMP」。カギになるのは、参加者を導くメンターの存在だ。地方で事業を立ち上げ軌道に乗せた先駆者たちはどんなアドバイスを送っているのか。EDGE CAMPへの期待と、起業に必要な視点も合わせて伺った。

高知の山奥で、起業家の卵を育てる ──土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(1)
100年後の地域を支えるアイデアを形にする場 ──土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(3)

肝心なのは、困難に吹き飛ばされない芯の強さ

前編冒頭の質問に答えていたメンターは、三重県尾鷲市で、地域の主婦たちを巻き込み地産食材の郷土料理を提供する「お母ちゃんのランチバイキング」を成功させ、間伐材を利用したユニークな商品開発や未利用魚の活用などに取り組んでいる「夢古道おわせ」「夢古道の湯」支配人の伊東将志さん。

「夢古道おわせ」「夢古道の湯」支配人 伊東将志さん

「合宿なので、今朝は午前4時半まで参加者と話し込んでいました。何のために仕事するんだっけ? みたいな基本的なことを質問しつつ、ああ自分も事業をはじめたとき、こんなだったなあなんて思い返したりして、楽しいですね」

伊東さんがアドバイスで気を配っているのは、やろうとしていることの本質からズレてしまいがちなのを軌道修正すること。まだ全体の展望も固まっていないのに、お店のつくりはこう、カーテンの色はこう……などと、ディテールへ先走る気持ちを引き戻す。

「その事業で本当に自分が幸せを感じ、続けていけるのか。まだ2回目ですから、今の段階ではそこを軸に話をしています。初めにブレない覚悟ができていないと踏ん張れないと思うので。太い幹をしっかり持っていてほしい」

伊東さんは尾鷲で生まれ育ち、愛着ある故郷を1歩も出ずに仕事をしてきた。その芯は強く、何があろうとも折れない。だから幾多の困難も乗り越えられた。「趣味や好みのような軽い思いではじめると、たちまち吹き飛ばされてしまう」と自身の経験をもとに語る。

そんな伊東さんに、「EDGE CAMPのような場をどう思いますか?」と聞いてみた。すかさず、「こういう場があるのはすばらしい」と返ってきた。

「参加者もメンターも、ずっと仲間ですもんね。こんな心強いことはないですよ。同じ志を共有する仲間がいるのは大きな励みになります。僕らがまちづくり会社を設立したときは、わりと孤独でしたから、実にうらやましいですね。僕の経験してきたことが少しでも生かされるのなら、ぜひお手伝いしたいと思っています」

ビジネスの基礎的なフレームワークを踏まえて

もう1人、EDGE CAMP第2回合宿でプレゼンテーションしたメンターの方にも話を聞いた。2年にわたる世界一周旅行でツーリズムサービスの真髄を学び、飛騨エリアにて地域の人との交流を主眼にしたサイクリングツアー、酒文化の体感プログラムや古民家レントハウスなどを提供する「SATOYAMA EXPERIENCE」を立ち上げ、外国人旅行者を数多く呼び込む、株式会社美ら地球(ちゅらぼし)代表取締役の山田拓さんだ。

株式会社美ら地球代表取締役の山田拓さん


飛騨エリアでのサイクリングツアー。
伝統的な古民家や地元の人との交流が外国人旅行者に人気。(提供:株式会社美ら地球)

「EDGE CAMPのような取り組みは、今後ますます必要になる」と山田さんはみている。

「仕事だけでなくライフスタイルも変えたい。でも里山で完全に自給自足生活は難しいので、どうやって生計を立てていくか。その道筋を模索する人は年々増えています。私自身はフラッと地域に飛び込んで扉をこじ開けましたが、なかなかそれは稀なケースだと思うので、なにかしら背中を押すしくみが求められます。そうした動きは土佐山に限らず多くの地域で出てきてほしい」

山田さんは外資系コンサルティング会社出身。今も新人育成やビジネススタートアップ講座などの講師を務めることが多い。事業規模の大小に関わらず、基本的なビジネスのフレームワークをおさえておくことが肝要、と指摘する。

「やりたいことはわかったけれど、商品を買う人、サービスを利用する人の立場に立ったとき、いったい何が得られるの? という話を、きのうのレビューでも繰り返しました。どんなビジネスにせよ、誰かに価値を提供して、その対価をいただくという基本は同じ。事業計画書のつくり方からはじまって、経営学の教科書にあるような最低限のフレームワークを踏まえる必要があります。それをきちんとしないから、そもそも背景や前提のまったく違う先行事例の安易なまねごとになり、いつまでも成果に結びつかないサイクルの繰り返しになるのです」

とはいえ、企業の新人研修やビジネススクールとは違い、まっさらな状態で起業を目指す人たちなので、なるべく心が折れないようにエンカレッジするように山田さんは努めている。これから壁がいくつも立ちはだかることになるが、それを越えるためにもセオリーに立ち戻ることが重要というわけだ。

地域資源を活かす人材を育む「学びの場」の提供だけでなく、そこから一歩踏み込んで解決策を生み出し、実際のビジネス立ち上げにつなげるプログラム「EDGE CAMP」。後編では、参加者に参加への意気込みを、そして土佐山アカデミーの創設者に話を伺い、取り組みがもたらす可能性について考えていく。

100年後の地域を支えるアイデアを形にする場 ──土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(3)へ続く
高知の山奥で、起業家の卵を育てる ──土佐山アカデミー「EDGE CAMP」(1)
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