Cases
社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

地球をハックせよ! グリーンITの潜在能力を引き出す――Green Hackathon TOKYO(前編)

2014年11月20日



地球をハックせよ! グリーンITの潜在能力を引き出す――Green Hackathon TOKYO(前編) | あしたのコミュニティーラボ
地球環境をよくするためのIT技術「グリーンIT」が注目されるようになって久しい。環境に関する技術をハッカソンと組み合わせて新しいものづくりができないか。そんな疑問から2014年10月25~26日に「Green Hackathon TOKYO」(グリーンハッカソン東京)が開催された。コンセプトは「人と地球のためのハック」。環境問題を“ハッカソン”という手法で楽しく取り組み、新たな「グリーンIT」を模索しようとする日本で初めての試みだ。単に効率化だけにとどまらない、新しい環境問題への取り組みに続く第一歩となったイベントの模様をレポートする。

グリーンITに化学変化を起こすアイデアたち――Green Hackathon TOKYO(後編)

アジア発のグリーンITは生まれるか!?

グリーンハッカソン実行委員会 河瀬航大さんは、今回のハッカソンを開催した背景をこう語る。

「環境課題を解決していく産業をもっと盛り上げていきたいという思いがあり、かねてからグリーンITに注目していました。しかし、『グリーンIT』と一口に言っても、なんだか漠然としていて想像がつきませんよね? それが社会にどんなインパクトを与え、どんなビジネスモデルが考えられるのか。海外ではその試みが進んでいて、それを調べているうちにグリーンハッカソンが定期的に開催されていることを知り、このたびアジアでの初開催に漕ぎ着くことができました。日本国内で環境に配慮したIT技術がどうつくれるのか、グリーンITという考えを広めながら、企業やエンジニアがつながるコミュニティをつくっていきたいです」


グリーンハッカソン実行委員会 河瀬航大さん

今回の事務局は全員がボランティアで参加しているといい、今回のグリーンハッカソン運営メンバーの半分近くを占めるのは、早稲田大学の学生環境NPO「環境ロドリゲス」の出身で、同NPOでビジネスコンテストを主催していた学生たちだ。

もとは、スウェーデン王立工科大学のサステナブルコミュニケーションセンターではじまったグリーンハッカソン。2011年にスタートし、これまで、ロンドン、バルセロナ、ベルリンなどの7都市で開催。環境問題をITで解決するイベントとして、今後も世界各地で開催される予定だ。

「Googleマップの航空写真から付近にある屋根の総面積を算出し、そこに日射量を照らし合わせることで、住所を入力するだけで、そのエリアでどのくらいの太陽光発電が可能なのかがはじきだされる。海外のグリーンハッカソンでは、そんなサービスが生まれています。ほかにも、大気の汚染度を鼻毛の伸び具合でグラフィック化するような、ユニークなアイデアもありました」(河瀬さん)

グリーンIT発展のカギは、企業からのオープンデータ

地球温暖化、持続可能性、エコロジー……。つい数年前まで、日本中のメディアを通じて、私たちが何度も耳にしてきたキーワードだ。たしかに多くの企業の努力によって、数々の省エネ製品や環境技術が開発され、日本中に環境意識が浸透した。しかしその一方で、環境問題への関心度は、どこか落ち着きをみせてきてしまっている。

会場ではさまざまな年代の参加者たちがグループを組み、開発を行っていた

「環境問題を考えるうえで、省電力化や節電に役立ち、地球優しい環境をつくるためのIT技術、いわゆる『グリーンIT』をテーマしたハッカソンは日本では前例がありません。まずはこれを国内で発展させていかなければいけませんが、これがもっと発展するのに必要なのは、企業や団体が保有している環境系のデータをオープン化してもらうこと。さまざまな環境系データが集まれば、それらをマネタイズしていくようなビジネスも生まれていくはずだと思い、今回のグリーンハッカソン開催にあたっては9社からデータ提供をしていただきました」(河瀬さん)

特別利用データの提供に応じた企業は、ウェザーニューズ、ソニーコンピューターサイエンス研究所、ルートレック・ネットワークス、東京電力、大和ハウス、日本気象など。その結果、リアルタイムでPM2.5の飛散状況が把握できるデータや通信キャリアの基地局整備を活用し地域の気温時別値を把握できるもの、農地、電力消費、住宅、日射量、熱中症などに関する貴重なAPIやデータが約30種類集まった。

河瀬さん自身も、今年9月に立ち上げた株式会社フォトシンスで開発した鍵ロボット「Akerun」(アケルン)のAPIを提供する。「Akerun」では、スマートロックの特性を活用して部屋の在室状況がわかる。その次のビジネスにつながるサービスが期待できないかと、今回のAPIの提供を決定したという。

ハッキングを楽しんだ結果が、社会貢献につながっている

今回、社内ではじめての試みとしてAPIを提供した企業も多い。富士通からは、現在開発中の地域特性見える化ツールで使用しているオープンデータが提供された。これは、環境・経済・社会など47種の要素から1,782自治体を診断するツールだ。


富士通株式会社 清宮悠さん

地域資源が地域環境に負担のないかたちで活用されているか、地域の財政力や雇用の状況はどうか、社会インフラ・社会サービスは整っているかなどを通じて地域の特性を把握できる本ツールは、まだ開発途中にある。同社環境本部で同ツールのビジネス企画を担当する清宮悠さんは「今後、オープンイノベーションを目指していくうえで、どのような使われ方をされるのか、テストマーケティング的な観点で参考にしたい」と、グリーンハッカソン参加への意義を話す。

これらの統計データやAPIといったツールと、ハッカソンに参加したエンジニアの知恵・技術が掛け合わされ、新たなグリーンITのアイデアが構築されていく。この日のハッカソンに先立って、10月17日に開催されたアイデアソンでは、「○○と△△を組み合わせて、こんな環境課題を解決したい」というフレームでプランニングが行われた。


BuzzワードはIT関連からエンターテインメント分野まで幅広いものが揃う

「『○○』にはBuzzワード、『△△』には環境に関するGreenワードが入ります。たとえば“フェス”と“再生可能エネルギー”とか、“壁ドン”と“生物多様性”とかいった具合。無謀な組み合わせに思えても、アイデアの種をつくる作業です。もしかしたら思いもよらない何かが生まれるかもしれないですからね」(河瀬さん)

ハックイベントに参加したエンジニア、デザイナーはおよそ50名。主催・協賛・協力・後援のメンバー含めると、約100名によるハックイベントとなった。イベントの最終発表会を前に、河瀬さんは次のように話してくれた。


組み合わせ次第でさまざまなアイデアが生まれる

「グリーンハッカソンは、オープンデータやビックデータを、環境視点のアプローチとして活用してもらうイベントです。ここからおもしろいビジネスやスキームが生まれたら何よりもうれしい。参加してくれた皆さんには、新しいAPIを使いながらハッキングを楽しんでもらうことが何よりも重要ですね。楽しみながら開発したものが、実はそれが社会貢献や地球環境保全につながっている、そんな新しい視点を伝えたいです」(河瀬さん)

地球環境を改善したい、自らの仕事にポジティブなフィードバックを起こしたい、企業が提供する新しいデータをハッキングしてみたい……多くのプレイヤーの思いが結集されてグリーンハッカソンは開催された。後編では、イベントの集大成となる参加10チームによる最終プレゼンテーションの様子をお伝えする。

グリーンITに化学変化を起こすアイデアたち――Green Hackathon TOKYO(後編)へつづく


いいね!を押して
Facebookページをフォロー

あしたラボの最新情報をお届けします。

Twitterであしたラボ(@ashita_lab)をフォローしよう!

皆さんの感想をお聞かせください!





  • facebook
  •  twitter
  • USTREAM
  • RSS

Copyright 2017 あしたのコミュニティーラボ