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社会課題を解決する先進的なアプローチをご紹介します。

あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その1──上智大学(前編)

2015年02月18日



あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その1──上智大学(前編) | あしたのコミュニティーラボ
「未来をつくる学生とのオープン・イノベーションプロジェクト」としてはじまった「あしたラボUNIVERSITY」では、プログラムの1つとして、全国の大学での「出張授業」に取り組んでいます。その第1弾として行われたのが、2015年1月13日に上智大学四ッ谷キャンパスで行われた経済学部経営学科・山田幸三教授ゼミでの出張授業です。ゼミ生28名と富士通グループの社員が参加した、授業の模様をお伝えします。

あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その1──上智大学(後編)

社会課題を自分ごとで考え、その片鱗をつかむ

今回の出張授業は、上智大学経済学部経営学科・山田幸三ゼミの学生と富士通社員が一緒に、“社会課題を自分ごととして考え”“ソーシャルイノベーションを起こすきっかけを掴む”ことをテーマに共創型授業として行われました。ファシリテーターを務めたのは、富士通総研(以下、FRI)シニアコンサルタント 黒木昭博さん。冒頭、黒木さんから「イノベーションを起こすのに必要な視点を得ることがみなさんにとってのゴール。身近に起こっている問題や社会課題(ソーシャルイシュー)を“自分ごと”としてとらえ、1人ひとりがイノベーターになったつもりで挑んでほしい」と、この日のテーマを伝えました。
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FRI 黒木昭博さん

この日の共創型授業はトータル120分。前半60分はインプットの時間として、ソーシャルイシューを解決すべく活動する2名のゲストによるキーノートが行われました。キーノートの1人目として登壇したのは、上智大学OBでもある株式会社たからのやま副社長兼COO 本田正浩さんです。

国内の地域課題を解決し、世界に先んじる

通信社やテック系メディアのデザイナーやカメラマン、メディア立ち上げを経験した後、「地域×IT」をテーマにしたメディア&プロジェクトサイト『finder』を開設し、切実な課題をもった地域を変えようとする住民の活動を取材してきた本田さん。メディアを通じて人と人を結びつけるうちに、「自分も地域の活動にコミットしたい」と考えるようになり、カンファレンス運営やスタートアップ企業の支援などの分野で活躍していた奥田浩美さんとともに徳島県美波町に株式会社たからのやまを設立しました。
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株式会社たからのやま副社長兼COO 本田正浩さん

現在たからのやまでは、地域住民と自治体、企業、たからのやまの「共創の場」と位置づけた高齢者に無料でタブレットの使い方を教えると同時に高齢者の声を製品開発に活かす「ITふれあいカフェ」を徳島県美波町と鹿児島県肝付町で運営しています。また、徳島県内のオープンデータ活用を支援するためのハッカソンやアイデアソンも展開し、ITを通じて人を結びつけ地域を活性化するためにさまざまな場づくりを行っています。

たからのやまでの活動を紹介した本田さんは「地域課題は世界中の先進国で発生していて、今自分は世界最先端の課題を日本の田舎で先取りしている。それってすごくわくわくするきっかけだと思いませんか?  課題解決を楽しむということを大切に」と、未来のイノベーターとなる学生たちにメッセージを送りました。さらにイノベーターに不可欠な視点として「行動が機会をつくりだす」と話し、次のように続けます。

「ザッカーバーグの言葉を借りれば『完璧を目指すよりまず終わらせろ』。これからは何でもいいから動いてみて、そこからフィードバックを得、次の何かをやるのがイノベーターの基本的な動き方になる。でも、先が見えないからこそ仕事は楽しいんです!」

地域の人々を主役にする「コンサルタント」という仕事

キーノートの2人目として登壇したのはFRI 金融・地域事業部マネジングコンサルタント 上保裕典さん。上保さんは1995年から2006年まで建設コンサルタント会社に勤務し、2006年からはFRIで地域・産業振興や再生可能エネルギー導入のコンサルティングに従事しています。
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FRI 金融・地域事業部 上保裕典さん

上保さんは、地域課題の解決のために共創を生み出す自らの仕事を「地域内のステークホルダーである行政、企業、住民、学術機関の間に入り、密なコミュニケーションをとって、みんなが納得する『納得解』を導く調整役」と定義します。しかしそれと同時に「やがてコンサルタントはその地域には必要なくなるもの」と話します。すなわち、地域内で産業を生み出し、お金を循環させる仕組みをつくる、このような自立した地域を目指すならば最後は自分のようなコンサルタントはいなくなるべき、と提言するのです。

「私たちコンサルタントはたくさんのステークホルダーを巻き込んでいきますが、いつまでも自分が関わっていてはいけないと思っています。コンサルタントが関わる間は費用も発生してしまいます。それは地域の外にお金が出ていくことにもなってしまう。理想的なコンサルタントは、その地に共創が生まれたら、いつのまにかすっと“消えていく”存在であること。自分が必要でなくなる場を、自らつくっていくことが、地域コンサルタントの仕事なんです」

燕三条と鯖江でのフィールドワーク報告

こうして2名のゲストによるキーノートを終えたあと、前半最後のプログラムとして山田ゼミの学生による研究内容紹介が行われました。山田ゼミでは、新潟県燕三条と福井県鯖江に赴き、フィールドワークを実施。フィールドワークを通し、日本の伝統企業・産業が生き残るためにどんな戦略を講じているか、経営学的視点と照らしあわせながら整理と分析を行っています。
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山田ゼミ生からの発表の様子

燕三条チームは「産業集積の生存戦略」というテーマのもと、金属研磨・金属プレスを地域産業とする燕市と三条市を訪れました。地域産業が衰退していく当地の生存戦略を、経営学的な枠組みで分析・解明し、日本の地域課題を探っています。また、鯖江チームは当地で酒蔵を営む加藤吉平商店を取材。海外に対して「鯖江ブランド」を広げている当地で、海外進出が企業や地域に還元されるサイクルに着目し、地域ブランドの高め方を研究しています。

日々新しい課題に挑んでいるキーノートスピーカーの2名の姿は学生の目にどのように映ったのでしょうか。みな真剣にキーノートに聞き入っていました。こうして前半60分のインプットを終え、いよいよ後半60分はアウトプットの時間。ファシリテーターの黒木さんから、アイデアスプリントの説明がされました。

「共創」という、ぼんやりとしていた言葉の意味を少しずつ理解しはじめた学生たち。次は、さらにそれを体感するための“共創ワーク”をチームごとで行います。また、普段オフィスで仕事に取り組む富士通社員たちは、学生と話すことでどんな学びを得られるのか。いよいよ後半がはじまります。

あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その1──上智大学(後編)へ続く

関連リンク
上智大学経済学部経営学科・山田幸三ゼミ
株式会社たからのやま
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