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あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その2──大分大学経済学部(後編)

2015年03月10日



あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その2──大分大学経済学部(後編) | あしたのコミュニティーラボ
「あしたラボUNIVERSITY出張授業」の後半は、アイデアスプリントの時間です。「学生+富士通社員」による9チームと、経済学部教員が集まる1チーム、計10チームでアイデアを競いました。チームそれぞれが趣向を凝らして完成したプレスリリースが、1分間のプレゼンテーションでお披露目されていきます。後編では、これらのアイデアを紹介するとともに、民間企業との協働を積極果敢に実践する大学の戦略を、大分大学経済学部の市原宏一学部長に伺いました。(TOP画像はチーム「おひとりさま」がつくったプロトタイプの一部)

あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その2──大分大学経済学部(前編)

教員チームも全力で。10チームによるアイデアバトル

「ラピッドプロトタイピング、スタート!」──。ファシリテーター・黒木昭博さんの掛け声とともに、人形、発泡スチロール、おもちゃのブロック、毛糸、車のおもちゃ、プラスチック容器など、さまざまな“素材”の並ぶ中央テーブルに、参加者がどっと押し寄せます。
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これは「ラピッドプロトタイピング」のひとコマ。出張授業の後半はアイデアスプリントで、上智大学での出張授業と同様「①数多くアイデアを出す」「②アイデアを選定する」「③プレスリリースをつくる」という3つのワークから成り立っていますが、今回の講義は比較的長時間に及んだことから、この「ラピッドプロトタイピング」も組み込まれました。
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教員のみなさんも全力でプログラムに参加。活発な議論が行われていました

ラピッドプロトタイピングは「問題を解決するためにどんな方法があり得るか?」を考えるための試作品づくりのこと。40分の制限時間内で、生み出したい価値を体現するモノを実際につくり、アイデアの有効性を検証します。事務局から用意された素材は早い者勝ちで、別のチームに素材の“おすそわけ”を交渉しにいくチームも見られました。

最優秀賞の副賞は「あしたのまちHack」優先出場権!

プレゼンテーションでは、各チーム、これらのプロトタイプを使いながらプレスリリースを発表しました。特に、教員チーム「温泉de癒やされたい!!」による、学生チームにも負けない斬新なアイデアに、会場はおおいにわきました。なお、参加10チームのアイデアは次の通り。プレゼン終了後、いよいよ審査結果が発表されます。
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教員のみなさんも全力でプログラムに参加。活発な議論が行われていました

大分大学高等教育開発センター長賞を受賞したのは、チーム「やわよりカタ派」。山下茂高等教育開発センター長は「着眼点とアイデアの奇抜さに長けていて、発表ではプロトタイプを使いながらしっかりとストーリーを練り上げていた」と選定理由を説明しました。
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(左から)大分大学 山下茂高等教育開発センター長とチーム「やわよりカタ派」
(メンバー:猿渡卓司さん(3年生)、久保葵さん(2年生)、古賀蒼さん(2年生))

大分大学経済学部長賞を受賞したのは、チーム「長風呂できない」。大分大学経済学部の市原宏一学部長は「新規性があること、テクノロジーが入っていること、大分との関連性、その3つが揃っていた」と話しました。
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(左から)大分大学 市原宏一学部長とチーム「長風呂できない」
(メンバー:森本彩未さん(2年生)、苑田奈津弥さん(2年生)、長野大地さん(2年生))

そしていよいよ、最優秀賞の「Idea Sprintグランプリ」の発表です。受賞したのは、チーム「とりてん」。学生3名+富士通社員1名に、この日のキーノートに登場したスティーブン・ヴェルテマさんが参加しました。
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(左から)富士通株式会社 於久佳史さんとチーム「とりてん」
(メンバー:前田瑞貴さん(3年生)、安部紗央さん(3年生)、斎藤孔典さん(3年生))

「チームのみなが楽しんでいるか、コミュニケーションがとれているか、そして、発想力・アイデア力・プレゼン力があるか。そのすべてが備わっていた」とは、富士通株式会社の於久佳史さんのコメントです。

富士通グループの新規ビジネス開拓に活かしたい

「とりてん」は、副賞としてあしたラボUNIVERSITY・関西エリアアイデアソン「あしたのまちHack」の優先出場権を獲得。メンバーの前田瑞貴さんは「企業の方々と一緒に取り組む活動は大学生活ではなかなかないもの。今回の課題を大阪の『あしたのまちHack』で活かしたい」と、「あしたのまちHack」に向けた意気込みを語りました。
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一方、学生とワークを通じて、富士通の社員はどんなことを感じたのでしょうか。株式会社富士通九州システムサービス(FJQS)から参加した宮川泰裕さんは「社会人は凝り固まった発想になりがちですが、学生の自由な発想と私たちの知識が組み合わせることで、何かいいものが生み出せる予感がしました。スプリントでアイデアをひとまずかたちにしたことで、深堀りすべき点が早い段階で見えた。私の会社では社員によるビジネスコンテストに取り組んでいるので、この体験を新規ビジネスの開拓手法として活かしていければ」と話してくれました。

教員が楽しまないと、学生もおもしろいと思わない!

今回の出張授業は、大分大学の経済学部および高等教育開発センターの「課題探求型授業研究」の一環として開かれましたが、学生たちにどんな効果をもたらすことが狙いなのでしょうか。市原学部長に、大学側の思いを伺いました。
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大分大学 経済学部 市原宏一学部長。「学生にプログラムをやってもらうなら、まずは教員が楽しむことから」と今回の全プログラムに参加した

市原学部長は、先々を見据えた経済学部の戦略として「新しい教育の取り組みをはじめたい」と話します。その際に柱となるのは「イノベーション」であり、大分県内の地場産業も、新しい販路や消費者を開拓し、当地から県外、そして世界に向けて、新しい商品・サービスを売り出そうとしています。そうした背景から市原学部長は「私たちは大学機関として、人材供給のお役に立ちたい。しかし、まったく新しい技術をわれわれが思いつくことはできないので、ソフトウェアの開発や、人同士・企業同士の連携という点で先進的な経験のある民間企業ならば、ぜひともご一緒したかった」と話します。

「大分大学の学生・卒業生の特徴として、組織のなかで自分がどう貢献できるかには強い志向がある半面、アントレプレナー精神には弱いところがある。今、社会に求められるのは、組織のなかで他人を支えることができ、かつ、コンスタントに予測できる力を出せる人。今回のような授業ならば、そんなきっかけをつかむことができるかもしれません」
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最後に大分大学の「O」をつくりながら、笑顔で記念撮影

学生たちに負けじと授業を楽しむ教員のみなさんが印象的だった、この日のイベント。市原学部長は締めくくりとして「僕ら教員が楽しんでいないと、きっとみなさんもおもしろいと思わない。大学でやるべき教育は、こういうことだと思う」と、学生のみなさんに総括しました。

そんな意気込みと熱意にあふれた教育の場から、やがて学生たちは社会に羽ばたいていきます。未来のイノベーターたる学生のみなさんの活躍に期待せずにはいられない、そんなイベントとなりました。

あしたラボUNIVERSITY 出張授業 その2──大分大学経済学部(前編)

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