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学生、社会人、立場を超えて“これからの仕事”を考える ──あしたラボUNIVERSITY1年目の挑戦(前編)

2015年04月22日



学生、社会人、立場を超えて“これからの仕事”を考える ──あしたラボUNIVERSITY1年目の挑戦(前編) | あしたのコミュニティーラボ
富士通と学生とのオープンイノベーションプロジェクト「あしたラボUNIVERSITY」。あしたのコミュニティーラボ(以下、あしたラボ)として初の試みとなった本プロジェクトでは、12月15日のキックオフイベントを皮切りにアイデアソンなどを開催。2015年3月9日の成果発表会をもって初年度の全プログラムを終了した。3部署合同という運営メンバーの構成に加え、キャリア支援、大学生との共創、大企業のイメージ刷新、新しいイノベーションのヒントなど多くの要素が混じりあうなかで、どうゴール設定し、プロジェクトを進めていったのか。今回は前後編にわたって中心メンバーとなった富士通女性社員3名、そして事務局と参加者両方の立場を体験した女性社員1名に話を聞いた。

互いに学び合う場づくり、2年目に向けて ──あしたラボUNIVERSITY 1年目の挑戦(後編)

「仕事のイメージを変えたい」がきっかけ

「お堅いデスクワーク」「積極性がない」「何をやっているかわからない」「何かのスポンサー」「決まりにのっとった感じ」「保守的・大組織」……。これらはプロジェクトに参加した学生からのアンケートで集まった「富士通に対する事前印象」欄に記入されていた回答群だ。

しかしこれは“富士通”という1企業だけに限らず、企業規模が大きく、幅広い分野で事業を展開する企業の多くに学生が抱いているイメージなのではないだろうか。「学生の目に触れやすい携帯電話やパソコンといった商品以外にも、富士通には多様な技術、サービスがあり、魅力的な人たちがいる。そのことをどうすれば伝えられるのか」富士通株式会社 人事本部人材採用センター(以下、採用センター)で、日頃から学生と関わってきた梅津未央さんは苦慮していた。

伝わらなければ理解されない。これは、これから社会に飛び出そうとする学生たちに「仕事=つまらないもの」というイメージを持たせることになってしまうのではないか──。その課題意識がこのプロジェクトの出発点だった。

3部署横断プロジェクト、キックオフ

2014年度の「あしたラボUNIVERSITY」は、採用センター、富士通株式会社 インテグレーションサービス部門 戦略企画室(以下、戦略企画室)、株式会社富士通総研(以下、FRI)の3部門が企画・運営をしている。プロジェクトの発起人でもある採用センター 梅津未央さんには「ただ企業紹介をするだけの採用イベントではなく、 “仕事のおもしろさ”を体感してもらうことや、“人や人から生まれるアイデアの多様性を知って仕事に生かす”というメッセージを込めたプロジェクトを立ち上げたい」という熱い思いがあった。
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富士通株式会社 人事本部人材採用センター 梅津未央さん

「私たち採用センターのメンバーは皆“学生の成長を支援したい”という思いをもって仕事をしています。また、学生と接する中で、彼らの持つパワーを感じることは富士通社員にとって普段は得られない刺激になるだろうと思っていました。富士通にただ興味を持ってもらうのではなく、就職活動における学生さんと富士通社員との接点が、お互いにとって成長の機会になる、そんな場所をつくりたいと思いました」(梅津さん)

2014年の夏頃、採用センターとして何かできることはないか考えていた梅津さんは、立教大学経営学部佐々木宏教授と富士通、あしたのコミュニティーラボの共創プロジェクト(以下、立教PJ)を知った。立教PJは、FRIと戦略企画室が企画・運営を担当したプロジェクト。戦略企画室の浜田順子さんは、当時のことをこう振り返る。

「“キャリア支援の場をつくりたい”という思いを聞いているうちに、それは、私たちが掲げる“共創”というテーマとも共通するものがあるのではと感じました。『あしたラボ』ではこれまで社会課題の解決に取り組んでいる方々を中心にメディアを活用し、プロジェクトを展開してきました。メディアの読者は若手ビジネスマンが中心でしたが、もっと多様な視点、特に未来を担う学生やデジタルネイティブ世代にもそれを伝えて、一緒に何か行動を起こしていきたいと常々考えていたんです。それであればぜひ一緒にプロジェクトをやっていこう、と話がまとまりました」(浜田さん)
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富士通株式会社 インテグレーションサービス部門 戦略企画室 浜田順子さん

以降は、立教PJや社内ハッカソン「FUJIHACK」でのプログラム設計のノウハウを持つFRIも加わり、3部門協働の“新たな共創チャレンジ”がスタートした。

ゆるやかなつながりが継続する“共創コミュニティー” を目指して

3部門の運営メンバーは、「戦略企画室=全体企画とプロジェクト管理」「採用センター=学生視点の企画支援と学生のフォロー」「FRI=プログラムの設計とファシリテーション」を主な役割分担として、2014年度プロジェクトが終了する2015年3月までの間、協働でプロジェクトを推進してきた。

「これからの時代に必要な、新しい働き方や仕事のつくり方を体感してもらう場にしたい」という3部署共通の思いのもと、トークイベント、出張授業、アイデアソンを柱とする全体スケジュールはスムーズに決定した。
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2014年度のあしたラボUNIVERSITYスケジュール

各イベントの社内外ゲストの調整や、イベント会場の準備・設営、参加する学生の募集・選定などもあったなかで、特に苦心したのは、本プロジェクトの核となるアイデアソン「あしたのまちHack」のコンセプトづくりだったと話す。この議論は土壇場まで続いた。

採用センターが当初大きな目的として考えていたのが「富士通や社員のことをもっと知ってほしい」、「これまで会えなかった多くの学生に富士通に関心を持ってほしい」というもの。一方、戦略企画室・FRIは「共創」を大前提に「多様性の体感」、「自分の身近な問題に目を向け、自分ごととして考え、次のアクションを起こしてもらうための新しい学びの場づくり」といった構想を持っていた。

「多様性のあるメンバーが揃って、できることに幅が広がった半面、意思統一がとても難しかったです。お互いが持つ単語の定義からはじめました。例えば、“インターンシップ”という言葉。梅津さんは、“キャリア支援”という意味合いで“インターンシップ”を表現していましたが、川口さんや私にとっては“採用活動”という意味合いに感じました。『富士通の営利や採用に閉じた活動にみられてしまうのでは?』と抵抗がありました。そんな意識をひとつずつあわせて、全員で合意するまでかなりの時間がかかりました(苦笑)」と浜田さんは当時を振り返る。

そして、そこから浮かび上がったのは、“共創コミュニティー”というキーワードだったとFRIの川口紗弥香さんが説明する。“会社対学生”という関係ではなく、“人と人”が向き合い、つながる場をつくるという考え方だ。

「参加する学生さんがこの先、富士通に入社しなくても構わない。将来、何かをやろうとしたときに“あの時に出会ったあの人とやりたいな”と色々な場面で思える土壌をつくりたくて、それが“共創コミュニティー”なんだと考えました」
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株式会社富士通総研 川口紗弥香さん

浜田さんも「大きなプラットフォームをつくり、そこでどんどん仲間が増えていく。イベントが終わって学生さんたちがどの会社に勤めたとしても、この先もずっとゆるやかにつながるような場にしたかった」と続ける。それは、プロジェクトの発起人である梅津さんの思いとも、ぴったりと合致するものだったと言う。

「明日から身の回りに目を向けたい」──参加学生にもたらした変化

日頃の業務では、なかなか学生との接点を持つことがない浜田さんや川口さんには、冒頭のアンケート結果に表れた“富士通のイメージ”は「正直、なかなか衝撃的なものだった」と笑う。しかしイベントを通して変わった「After」の回答を見れば、学生が持つ “仕事や企業に対するイメージ”がこのプロジェクトによって、どんな変化をもたらしたのか一目瞭然だ。
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イベント前後に行った富士通に対する印象のアンケート結果 Before→Afterはここまで変わった

「社会課題への取り組みが強い」「創造を実現する場所」「積極性◎」「おもしろい取り組みをやっている企業」「多様なものに焦点をあてている」「革新的・ベンチャー体質もある」……。

“Before”で「SEはひきこもり」と衝撃的な回答をした参加者は「コミュニケーションに長け、自分の信じるものと相手の信じるものをどちらも尊重する力を見習いたいと感じました」と、劇的な変化を記したという。
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冒頭の横断幕は、トークイベントから出張事業、アイデアソン、成果発表会とすべての会場に掲げられた

「ほかにも感想として『新しい発見があった』『考え続けることが大事なんだ!』『明日から身の回りのことに目を向けたい』といった声も寄せられていた」と、初年度の活動にまずは一定の達成感を得られたと3名は振り返った。

普段交わることのない部署同士が共通する思いを胸に、現場主導で進めていった本プロジェクト。互いに目指す方向は一緒ながら、プロジェクトの進め方や役回りの難しさなど、衝突は多かったという。そこを乗り越えようやくカタチになった“共創コミュニティー”というコンセプトとプログラム。次は学生、富士通社員がリアルに交わることで見えてきた「課題と収穫」を聞く。

互いに学び合う場づくり、2年目に向けて ──あしたラボUNIVERSITY 1年目の挑戦(後編)に続く


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