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ハードウェア系ベンチャー育成のエコシステムで、メーカー企業が担うべき役割とは ——オムロンベンチャーズ「オムロン コトチャレンジ」(前編)

2015年10月09日



ハードウェア系ベンチャー育成のエコシステムで、メーカー企業が担うべき役割とは ——オムロンベンチャーズ「オムロン コトチャレンジ」(前編) | あしたのコミュニティーラボ
2015年8月1〜2日の2日間、東京国際展示場で「Maker Faire Tokyo2015」が開催された。その“エレクトロニクスエリア”でひときわ来場者の目をひいていたのが「オムロン コトチャレンジ」のブースだ。「コトチャレンジ」とは、オムロンベンチャーズ株式会社が主催するインキュベーションプログラム。オムロン株式会社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)である同社は、これらの活動を通じて“ハードウェア系ベンチャー育成のエコシステム”を確立させようとしている。その狙いに迫る。

10の事業創出に必要な、50のチャレンジと、500の“種”探し ——オムロンベンチャーズ「オムロン コトチャレンジ」(後編)

コトチャレンジに出展された6つのハードウェア

「オムロンコトチャレンジ」は2015年が第1回目の開催となる。2014年12月に募集がスタート。30組から、若手起業家チーム、学生チーム、オムロン社内の有志チームなど、6つのチームに絞られ、2015年3〜5月の期間、オムロン社員によるメンタリングを受けた。

こうして6月に完成したプロトタイプが、この日の「Maker Faire Tokyo2015」のブースでお披露目された。

〈コトチャレンジに出展されたチームとアイテム〉
●Waiston Chobit Healthcare ベルトで健康管理
●Vimo まくらで睡眠改善
●ウェアラブルデバイス総合研究所 触覚で意思疎通
●AoLEMoN ドローンで追い出せ猪!
●都市風プロジェクト 小型風車でエネルギー問題に新提案
●Peloreen 食器で栄養管理

このなかの1つである「Waiston Chobit Healthcare」チームは、コトチャレンジ締めくくりとして開催された最終プレゼン大会で最優秀賞を受賞している。「同級生に久しぶりに会ったら見違えるように太っていた(笑)」ことがきっかけに考案されたのは、“ベルトで健康管理”ができる「おなかのげんじつ」なるハードウェアだ。センシング機能の付いたベルトを身につけるだけでウエスト測定ができ、測定した日々のデータは連携したスマホアプリで確認・管理が可能となる。


“ベルトを締める”という日常の動作で、無理のない健康管理ができる

今年3月まで通っていた明石工業高等専門学校時代、仲間とともに「おなかのげんじつ」を考案したという松田裕貴さん。4月に奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)に入学し、現在はユビキタスコンピューティングシステム研究室に在籍している。松田さんは大阪イノベーションハブを通じ、大阪市経済戦略局イノベーション企画担当課長代理(当時)の角勝さんからの紹介を受け、「コトチャレンジ」への参加を決めたという。

「特にハードウェア系のスタートアップにはノウハウはもちろんですが、何より、ものづくりができる環境自体が足りていません。こうしたバックアップを受け、そこに僕らの力が合わされば、加速度的にハードウェア系スタートアップが成長していくかもしれない」

奈良先端科学技術大学院大学 ユビキタスコンピューティングシステム研究室 松田 裕貴さん
奈良先端科学技術大学院大学 ユビキタスコンピューティングシステム研究室
松田 裕貴さん

そう期待を抱く松田さんは「量産化やビジネスプランにまだまだ課題はあるけれど、製品化に向けての活動を続けていきたい」と、これからの目標を話す。

アーリーステージにいる人たちの伴走者になることから

松田さんのようなベンチャースピリットを持った若手イノベーターを支援することが「コトチャレンジ」の大きな使命だ。プログラムの企画・設計を担当し、後のメンタリングにも参加したオムロン株式会社グローバル戦略本部経営戦略部の“事業インキュベーショングループ”に在籍する今林知柔さんは、1年目の活動を次のように振り返る。

「オムロンのCVCであるオムロンベンチャーズのミッションの一つは、ハードウェア系ベンチャーへの出資活動です。しかし投資対象となるベンチャーはまだまだ日本に少ないため、当社とマッチングできるところも見つかりにくい。そこでまずは“アーリーステージ”にいる若手起業家、学生起業家を見つけ出し、われわれオムロンのメンターが伴走者に徹しながら、彼らの活動をサポートすることからはじめました」

オムロン株式会社 グローバル戦略本部 経営戦略部 事業インキュベーショングループ 今林 知柔(いまばやし・ともなり)さん
オムロン株式会社 グローバル戦略本部 経営戦略部
事業インキュベーショングループ 今林 知柔(いまばやし・ともなり)さん

オムロン社内から参加したメンターの数は13名。材料系のエンジニア出身である今林さんのほか、メカ設計や回路設計の各種エンジニアから、企画担当、経理担当の社員まで、さまざまな属性のメンバーが集まった。

3カ月のプログラム期間中は、オムロンが本社を置く京都の貸しオフィスが開放された。参加者は週1回の会議で、各チームに専属する2名のメンターとディスカッションを繰り返し、オンライン上でのメンタリングも受けた。

「選考段階では、すぐにでも投資をはじめられるようなプランもありましたが、“コトチャレンジ”はあくまでインキュベーションプログラムの枠のなかでの活動。メンタリングの過程においても、技術的な面はもちろんですが、量産化や流通よりももっと手前にある、ビジネスプランにおけるアドバイスが中心でした。特に学生さんだと『自分たちで商売をしていく』という経験がまだ浅く、たとえば、量産の品質安定化といったメーカーにとっては当たり前のことまで踏み込めていない。企業が豊富に持つ経験やノウハウと、学生の探究心をコラボさせていくことが、こうした活動では重要だと再確認できたと思います」

コトチャレンジのデモ・デイ(成果発表会)の様子 (提供:オムロン株式会社)
コトチャレンジのデモ・デイ(成果発表会)の様子
(提供:オムロンベンチャーズ株式会社)

1年目の活動を終えた「コトチャレンジ」。では活動をはじめたオムロンベンチャーズは、ハードウェア系の「企業×ベンチャー」のコラボレーションをどのように機能させていこうとしているのか。後編では、京都に本社を置くオムロンベンチャーズの小澤尚志代表取締役社長にその展望を伺う。

10の事業創出に必要な、50のチャレンジと、500の“種”探し ——オムロンベンチャーズ「オムロン コトチャレンジ」(後編)

関連リンク
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コトチャレンジ
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