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働くってどういうこと? 「コミュニケーションから理想の働き方を考える」イベントレポート(上)

2012年12月27日



働くってどういうこと? 「コミュニケーションから理想の働き方を考える」イベントレポート(上) | あしたのコミュニティーラボ
2012年12月14日(金)、東京・渋谷にて、これからの働き方を考えるトークセッションイベント「コミュニケーションから理想の働き方を考える」を開催しました。モデレーターを務めた働き方研究家の西村佳哲さん、コクヨ株式会社でワークプレイスの研究を続けてきた齋藤敦子さん、フリーランスの若手編集者・江口晋太朗さんらのお話はもちろん、来場者同士が対話を重ねたワークショップにより、会場は大盛り上がり。当日の模様を詳しくレポートします。

「1+X=10」では働き方も一様になる

平日の午後7時。会場には、1日の仕事を終えた人たちが集まってきました。
事前の募集人数50名に対し、早々に定員が埋まった今回のイベント。キャンセル待ちが出るなど、「働き方」というテーマに対する人々の関心の高さがうかがえます。

定刻を過ぎ、編集部から開会のアナウンスが行われると、さっそくトークセッションのモデレーターを務めるプランニング・ディレクター、働き方研究家の西村佳哲さんから大まかな構成が伝えられました。

前半は、課題認識として「これまでの働き方はいかに一様だったか」。
後半は、将来展望として「働き方の多様化はいかに実現するか」。
このテーマについて考え、参加者それぞれが自分事として持ち帰ってもらおう、というのが本イベントの趣旨です。

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まずは、西村さんによる課題認識が投げかけられました。日本人の働き方がこれまで一様だった理由は、端的に「トレーニングされていないから」と西村さんは考えています。日本の小学校のドリルでは「1+X=10」のXを求める。対してあるイギリスの小学校では「X+X=10」のXを求めるという。イギリスではXの中に自由な数値を入れ、多様性を担保した出題の仕方をするけれど、日本では単一の解答に間違いなくたどりつく出題の仕方をする――。子どものころからこうした教育では、働き方も一様になってあたりまえ、と西村さんは指摘します。

〈どう〉つくるか模索する「生産性が問われる段階」を勤勉に達成し、欧米へのキャッチアップを終えた日本企業は、いまや〈何を〉つくるか模索する、「創造性が問われる段階」からスタートしなければならないという状況を迎えています。

しかし「生産性が問われる段階」にふさわしい人材を輩出する「1+X=10」式の教育は、「創造性が問われる段階」にふさわしい、多様な解答を導き出せる人材を育めません。西村さんはこうした課題を指摘しつつ、企業におけるワークスペースのセッティングも「生産性が問われる段階」と「創造性が問われる段階」ではかなり違うはずだよね、と齋藤敦子さんにバトンを渡しました。

なぜ企業内コラボができないのか

コクヨ株式会社で主幹研究員を務める齋藤さんは、かつてクライアントの依頼で社内コラボレーションのためのスペースを設計したそうです。ところが、一向にコラボの気配がありません。それはなぜか。自席を離れるとサボっていると見られたり、違うチームに入ってミーティングしていると上司に咎められたり、そもそも社内コラボが実現できるような環境になかったのです。「問題の本質はハードの設計ではなく、働き方にある」と齋藤さんは悟りました。そこで、働き方を起点にワークスペースのすべてを考える活動にシフトしていったそうです。

創造的な対話や知識・経験・価値の共有の前に立ちはだかるのは、「営業」対「開発」など部門間の壁です。自分たちのミッションをまっとうしようと思うとぶつかり合う。その点で、齋藤さんは興味深いヒントを投げかけてくれました。たとえば地域のゴミ問題。利害対立を避けるには、いきなりゴミ問題に入らず「10年後どんな街にしたいか」という一段高いレベルの話から始めると、望ましい未来づくりという点で一致した場ができます。そこから逆算してゴミ問題について話し合う。こうした課題解決のアプローチは、企業の中でも有効です。

日本のオフィスはまだまだ、分業や効率化に適した旧来の「対向島型」に自席を配置するワークスペースが多く、創造的な対話や知識・経験・価値の共有ができるような自由で柔軟なワークスペースは少ない、と齋藤さんは指摘します。

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一様な組織は、一様なワークスペースで一様な働き方をしている。それは「気配」でわかるといいます。強制的な「やらされ感」ではなく、自発的な「やりたい感」からしかアイデアは出ません。その点、日本企業の9割は、管理型で固く閉じた組織といえる。経営者もそのあたりを重々承知しており、もっと創発的で柔らかい組織へ変えていきたい、という相談を齋藤さんはよく受けているそうです。

「コワーキング」という新しい働き方

編集者の江口晋太朗さんは2011年に、シリコンバレーやロサンゼルス、シアトル、ニューヨークなどを取材し、異業種やフリーランサーが同じスペースで仕事をする「コワーキング」スタイルの息吹を感じ取りました。日本でもその芽が出始めている、そんな話からプレゼンテーションが始まりました。

1984年生まれ、28歳の江口さんの実感として、高度経済成長を知らない世代は、西村さんのいう「生産性を問われる段階」を経験しないまま「創造性を問われる段階」に直面しています。新しいことをしなければ。でも何をしていいのかわからない。そんな手探り状態の中で青年期を過ごした江口さんは、「コワーキング」という新しい働き方の中に一つの突破口を見出しています。

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多種多様な人たちが出会える場。セレンディピティ(偶発的なひらめき)が起こりやすい場。それが「コワーキング」スペースです。違う企業に勤める人たちやフリーランサーなどが同じ場所を共有し、それぞれ別の仕事をしていても、多様な出会いから新たなビジネスの芽が生まれる可能性もあります。

組織においては、トップダウンからボトムアップへ。メディアにおいては、マスメディアからソーシャルメディアへ。こうした「一方向から多方向へ」広がっていく動きによって、1+1の答えはいつも2である、といった固定された解答ではなく、1+1が3にも4にもなるような、さまざまな可能性や多くの新しい解を導き出せるようになるのです。そのときカギになるのは、インタラクティブに対話をしながら創造性を持ってともに考え、答えを出そうとすること、と江口さんは指摘します。それを促す触媒として、「コワーキング」は有効に機能するのかもしれません。

働くってどういうこと?「コミュニケーションから理想の働き方を考える」イベントレポート(下)へ続く
http://www.ashita-lab.jp/special/657/


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