地域から起こるこれからのワークライフスタイル探求プロジェクト

ハバタク流、地域との共創を生み出す方法 ――五城目町・ハバタクを訪問して(2)

2015年4月14日



ハバタク流、地域との共創を生み出す方法 ――五城目町・ハバタクを訪問して(2)

これからは「地域で暮らし、そこからイノベーションを起こすのが一般的になるのではないか」という仮説をもとに、秋田県五城目町にフィールドワークに訪れた富士通デザイン 高嶋大介さんとNPO法人ミラツク 西村勇哉さん、工藤瑞穂さん。3人が感じたこととは。東京と五城目を往復しながら独自のワークライフバランスをつくるハバタク株式会社 丑田俊輔さんの活動に流れる思いを全3回で伺う、2回目のレポート。

「ゆっくり、突っ走る」。地域に入るためのバランス感の取り方

西村 五城目町に移住するにあたり、地域とこんな関わり方をしよう、という意識は前もって丑田さんにあったのですか。

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五城目のまちの様子。地域の人が互いに声をかけながら雪かき中

丑田 地域の歴史や文化については勉強したり、地元の人たちと飲みながら話を聞くようにしました。それをきちんとおさえないとブレてしまうと思ったので。その上で、地域の人たちと関係性をつくりながらコミュニティーの輪を広げるのを焦らずじっくりやっていこうと考えていました。一方で、ビジネスの視点からいえば、多くの住民との合意形成ができないと何もはじめられないのでは事業として弱いし、ある程度突っ走る部分も必要で、そのあたりのさじ加減が大切だと感じます。ゆっくり温度を高めて行くコミュニティー活動と、事業毎のステークホルダーと共にスピード感で突っ走るビジネス活動を同時並行で進めようと思っていました。

西村 地域の人たちからはどんな期待感を持たれていますか。

丑田 まだまだ怪しい人ですよね、たぶん(笑)。でも、「わたしにも何かできそう」というまちのお母さんたちの声が少しずつ増えてきているのは、嬉しいです。

西村 丑田さんと一緒に仕事をする人たちだけでなく、地域で普通に生活している人たちのなかからそういう声が出ているのですか。

丑田 地域に住むと、“ビジネスとして貨幣を稼ぐ仕事”と、“お金にはならないけれど地域のためにやるべき仕事”の2つがあります。

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フィールドワークのインタビューの様子。お話を伺っているのは丑田さんとまちづくり課 企業誘致係長 柴田浩之さん

丑田 都心に住んでいる時は、ほとんど前者だけだったので、後者は全く新しい体験でした。先日、小学校の校庭で「雪と思いっきり遊ぶ会」を催したら、まちの親子連れが170人も来てくれた。集落の子どもが減って、近所に遊び相手が少なくなり、子どもが家にいることが多くなっているので、こういう機会があるとすごく楽しい、と皆さんおっしゃっていました。そんな集まりをきっかけにお母さんたちのヨガ教室みたいな草の根活動が積み重なったら、まちの温度が上がり、外から来た人も「このまち、なんか明るくていいよね」というふうになるんじゃないかと思います。

「主観的な豊かさを感じること」が地域に溶け込めるかの分岐点

西村 大学講義として学生が地方に行くと、課題を探りに行ったはずが、行ってみたらおもしろいことがたくさんあって、地元の人たちも楽しそうに暮らしているので、「課題なんてないんじゃないですか」という話になる。限界集落とか超高齢化とか、地方に対してステレオタイプなネガティブイメージを持ちがちですが、「人が少ない」イコール空間が広く1人で使える場所がたくさんある、という意味も持ちます。そんなふうに捉え方を変えたとき、五城目ならではのおもしろさって何でしょう?

丑田 まず、その地域ごとの魅力って、住む人たち同士や自然との関係性といった主観的な部分でしかありえないと思うんです。里山も特産品も、五城目にしかないわけではないけれど、住民たちが長い時間をかけて積み重ねてきた関係性の歴史、そこから紡ぎだされた風景にこそ固有の価値がある。そういう「主観的な感覚」が次時代のビジネスのカギの1つではないか、と思っています。

数値で比較できる価値だけでビジネスを組み立てていくと、おそらくすぐさまコモディティに収斂し、新興国の台頭のなかで先進国として結構キツい勝負になっていく。「主観的な感覚の豊かさ」に価値の源泉を置いて仕事をすることが、次のビジネスのオペレーションシステムになる気がしています。

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まちに残る昔ながらの古民家

西村 なるほど。その「豊かさの価値」を、東京などの都市からはじめて五城目に来る人がどのように地域と関わると感じやすいのでしょうか。

丑田 すでにその地域で関係性を築いている人間が触媒となって、その人の信用を借りるかたちで地域に入ると、早めに体感できるのではないでしょうか。

高嶋 今回のフィールドワークも、丑田さんたちのもつ「信用」に乗せていただいたおかげで、地域の皆さんとの距離がグンと縮まりました。

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ハバタクのオフィスの様子(提供:ハバタク株式会社)

工藤 夏に開催された「移住者のための五城目ツアー」に参加したとき、案内役の方がいきなり農家さんとつないでくれたおかげで、枝豆の収穫に立ち合うことができ、最初から地域の人たちの生活に入っていけて、とても良い体験ができました。

西村 主観的な体験につないでくれる触媒役の人がいるかどうか。しばらく暮らしてみないとわからないようなことを丁寧に受け取ろうとしていて、なおかつ外ともつないでくれる。そういう人を持てた地域は、外の人を早い段階で地域の「深い良さ」に触れさせることができるのでしょうね。そうでないと、ただ里山が美しい、表面的な話に終わってしまいますね。

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