地域から起こるこれからのワークライフスタイル探求プロジェクト

地域の工芸職人と世界を“文化”で繋ぐ これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(1)

2015年4月17日



地域の工芸職人と世界を“文化”で繋ぐ これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(1)

いつまで満員電車に揺られながら東京で働き続けるのか。地域に価値を見いだす仕事をしたほうが新しいことができるのでは? そんな問題意識を出発点に、「これからの働き方」を参加者が対話しながら考えるイベント「地域から起こる“グローカル”なワークスタイル」第2回目が2015年2月17日にHAB-YU platform(東京・六本木)で開催されました。「よこしまな気持ち」からはじまった、地域の産業とその魅力を後世に残すためのプロジェクトのキーワードは「公私混同」だと話す各務さん。全3回でイベントの様子をレポートします。

京都の価値を編集し直し、世界へ発信する

今回のゲストスピーカーは、京都の伝統工芸の新しい魅力を国内外に発信するプロジェクトを進める株式会社電通 関西支社 京都営業局 プロデューサー 各務(かがみ)亮さん。

各務さんの活動内容をインプットとして、後半はワークスタイルに関するテーマを参加者から提示してもらい、それについてグループに分かれディスカッションを行いました。モデレーターでダイアローグ(対話)の手法を使ってワークショップを行い、全国でソーシャルイノベーションを促す活動を続けているNPO法人ミラツク代表の西村勇哉さんが各務さんの「グローカル」な活動をさらに深掘りする役割です。

イベント冒頭、各務さんは現在進めている京都の魅力を発信するプロジェクトをいくつか紹介しました。

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第2回ゲスト 各務亮さん

GO ON(ゴオン)」は、伝統工芸の若き後継者たちが連携して、自分たちの技や素材で今までにない新しいものを生み出し、国内外の企業やクリエイターに提供する、2012年からはじまったプロジェクトです。茶筒の技を活かしたテーブルウェアや、京指物の木桶の技を使ったスツール、といったプロダクトが生み出されています。海外のデザイン展などで王族やセレブリティの目にとまり、ビジネスが回り出しました。

そして、GO-ONの新規プロジェクトである「beyond KYOTO」は、旅行コンシェルジュサービス。3,600社もある工芸企業や、ふだん非公開の寺社や茶室など、未知なる京都の魅力を掘り起こし、町の人たちと連携しながらその価値を伝えています。伝統工芸を育んできた文化をともに理解してもらいたい、との意図からはじめたプロジェクトで、プライベートジェットで京都に遊びに来るような富裕層がターゲットです。

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GO ONで生まれた作品が並ぶショールームの入り口

もう1つの新規プロジェクトが京都の伝統工芸品に囲まれた結婚式をプロデュースする「御恩 GO ON WEDDING」。西陣織でドレスをつくるなど、現代的な和の美意識を取り入れたオーダーメイドのウェディングサービスです。

「GO ON」をはじめ30個近くも同時進行しているこうした京都文化プロジェクトの戦略で重視しているのは、異業種とのコラボレーション。ファッションブランドのギャラリーやカメラメーカーのショールームに伝統工芸の技を取り入れたデザインを提供したり、ホテルのラグジュアリールームに伝統工芸品を設えたりするなどさまざまな業種と連携して、互いに付加価値を高めています。

10年間の海外勤務が気づかせてくれた足元・日本の価値

各務さんが京都に関わるようになったのは3年前から。それ以前の10年間は海外勤務でした。中国赴任の後、シンガポールを拠点にしながらプロジェクトごとに国を転々とする日々。タイ、マレーシア、インドネシア、韓国、台湾とさまざまです。

そこでは広告代理店の営業として日本を代表する自動車や家電メーカーを担当。手頃な価格で品質の良い日本製品が東南アジアの生活を豊かにしている実感がありました。しかし次第に韓国や中国の製品が台頭するなかで、これから何をどう売ればいいのか悩む日本企業に答えを出せないもどかしさが募ります。

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そんな折、担当していた企業からの誘いもあり京都に赴任し、もしや足元にヒントがあるのでは? と思ったと言います。京都の伝統産業の平均年齢は60歳で、半数は後継者がいない状態です。このままでは衰退すると若い後継者たちは危機感を募らせていました。

「京都の伝統文化の高い価値はもっと世界へ広まるにちがいない」。海外生活が長かった各務さんはそう直感し、「GO ON」プロジェクトがはじまったと語ります。

現在ユニットを組んでいる工房は、西陣織の「細尾」、竹工芸の「公長齋小菅」、京指物の「中川木工芸」、茶筒の「開化堂」、京金網の「金網つじ」、焼物の「朝日焼」。6人の職人は個別に世界でも活躍していましたが、「明日のため」の仕事ではなく、老舗として次の100年の仕事をつくる課題を共有していました。そこで各務さんプロデュースのもと、伝統工芸の職人の世界では珍しく“チーム”で大きな仕事に挑んでいます。

「繊細なJapan handmadeの伝統工芸品はもの単体というよりも、“ふさわしい空間に配置”されてこそ真価を発揮する」、それが「GO ON」プロジェクトの重要なコンセプト。ショールームを訪れた海外の富裕層が「この部屋をまるごと持って帰りたい」と、究極の「大人買い」を望むこともあると言います。

「仕事」と「生活」、曖昧だからこそ生まれるアイデア これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(2)へ続く
今の仕事から少し踏み出すためのキーワードとは これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(3)


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