地域から起こるこれからのワークライフスタイル探求プロジェクト

「仕事」と「生活」、曖昧だからこそ生まれるアイデア これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(2)

2015年4月20日



「仕事」と「生活」、曖昧だからこそ生まれるアイデア これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(2)

2012年から京都の若手工芸職人たちと、その魅力を世界に広げる活動を行っている株式会社電通 関西支社 京都営業局の各務亮さん。繊細な工芸品たちのクオリティーはもちろん、その“もの”に流れる背景も空間を通して伝えていくことで、海外の富裕層から多くの支持を得ています。イベントレポート2回目は「ものにストーリーを付与し、ブランドをつくりあげるための仕事の仕方」についてお伺いします。

「公私混同で仕事を進める」とは

「京都で働いていると、仕事と生活のつながりが良い意味での『公私混同』になる」と、モデレーター西村さんからの「普段の暮らしと仕事の様子」についての質問に答える各務さん。信念を持って長年やってきた老舗の若旦那と仕事するときに大切なのは、「家族づきあい」だと続けます。

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第2回ゲスト 各務亮さん

つまり、若旦那の上司は父親で、経理部長は母親だったりするわけで、週末の鍋パーティーにお呼ばれした時に、若旦那が新しくチャレンジしたいと考えている「海外の展示会に出品する」ことの意義をそれとなく話題に出し、若旦那をさりげなくサポートするといった全方位的な外交が必要になります。各務さんにとってそれは果たして「仕事」なのか、職人さんの家族と一緒に夢を追いかける「生活」なのか、境界線は曖昧です。

福井県の山里の空き家を借りている各務さんは、週末は「GO ON」の仲間たちと七輪を囲み食事をしながらミーティングも。田舎にいると違うスイッチが入るのか、東京では思いつかないようなアイデアも湧き出るそうです。

伝統産業という深い世界に外から入り込むのは難しそうですが、どんな出会いからはじまったのか、その経緯を西村さんがさらに詳しく聞きました。

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「若旦那と仲良くなりたい」という“よこしまな”気持ちで西陣織のショールームに行きましたが、そこで見た作品が本当に素敵だったので、海外に発信するお手伝いをできませんか、と熱く語ったそうです。するとその夜に、老舗12代目の若旦那から電話があり、そこから今のメンバーと知り合い飲み歩くようになりました。各務さんはすっかり「仲良くなった」と思い込んでいましたが、先ごろ打ち明けられたところによると、実は若旦那たちの間では当初、「広告代理店なんてロクなもんじゃない」「いや、あいつは信用できる」と侃々諤々の大論争があったとか。

家族ぐるみのつきあいも含め、彼らと仕事をしていると楽しいから「そのプロジェクトはいつ儲かるんだ?」と詰め寄ってくる上司を説得しつつ、ライフワークと見定め、ねばり強く取り組む各務さん。そんな姿勢が若旦那たちの信頼を勝ち取ったのでしょう。

一過性のブームや単なるファッションに終わらせはしない。京都の伝統産業全体を盛り上げるのはまだまだこれから、と各務さんは意気込みます。

文化的背景の高付加価値を富裕層に訴求

続いて会場の参加者からも各務さんへいくつか質問が投げかけられました。1つ目の質問は、「京都の伝統を海外に発信したい、という気持ちはどこから生まれてきたのでしょうか?」というもの。

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伝統技術を利用してつくられたという作品は、現代風のデザインが際立つ

「シンガポールで日本のアニメフェスティバルの立ち上げや、シンガポール版AKBのプロジェクトに関わっていましたが、アニメやアイドルだけがジャパンブランドではないし、自分自身が誇りに思う日本の価値を発信したいと思うようになった」とその理由を話します。伝統工芸や伝統芸能は多くの人が素晴らしいと感じる一方でビジネスとしては難しいので注目されにくい。ならば今まで培ったスキルを活かしてそこを切り拓きたい、と考えたのです。

また、現在のGO ONプロジェクトに関して、「個性の強い伝統工芸の職人さん同士で美学の衝突は起こらないのか、それをどうやってまとめるのか」という質問が挙がりました。各務さんは「同世代のフラットな関係なので遠慮がなく、毎日のように6人でケンカしていますよ(笑)。徹底した議論の末に決断したことの良し悪しは1年や2年ではわからず、10年先、50年先に結果が見えてくるはず。真剣にやりきればそれがすべて。むしろケンカも厭わない関係であることは恵まれています」と、議論することで未来がよりしっかりしたものになると話します。

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ショールームには新しい風を吹き込まれた伝統工芸技術を使った作品が並ぶ

最後の質問はGO ONプロジェクトのアウトプットについて。「グローバルに発信するとき、ハイセンスな富裕層やアートコレクターだけではなく、もっと広い層に届けようとすると、日本文化特有の「間」や「文脈」をどうキュレーションして発信するのか?」という質問が挙がりました。

これに対して各務さんは「2012年から3年間、試行錯誤を重ねてきましたが、数に限りのある伝統工芸品で収益を生むには高い付加価値を理解してくれる人たちへの訴求がまずは優先」と話します。器としての茶碗のみならず、その背景にある茶の湯文化。着物としての西陣織のみならず、それを生んだ宮廷文化。それも含めて生活に取り入れたい海外の富裕層コミュニティーが関心を示しました。たとえばアラブの王族の買物を担うパーソナルショッパー。彼らと長い関係を保つことが収益につながります。今の6社以外にどう富裕層コミュニティーとつないでいくか、がこれからの課題です。

今の仕事から少し踏み出すためのキーワードとは これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(3)へ続く
地域の工芸職人と世界を“文化”で繋ぐ これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(1)


「仕事」と「生活」、曖昧だからこそ生まれるアイデア これからのワークライフスタイル探求プロジェクト――第2回イベントレポート(2)

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