地域から起こるこれからのワークライフスタイル探求プロジェクト

ものを通して自分という“人間”の覚悟を伝える――京都・GO ONを訪問して(3)

2015年4月28日



ものを通して自分という“人間”の覚悟を伝える――京都・GO ONを訪問して(3)

「公私混同」をキーワードに自らの仕事をつくり、京都で独自のワークライフスタイルをつくる各務亮さん。伝統工芸の職人さんと一緒にものをつくり、それを人の元に届ける。その過程には「地域でリセットすること」が欠かせないと言います。各務さんの仕事の方法、そしてGO ONプロジェクトから見えてくる地域で仕事を行うこと、そしてものづくりに関わる仕事をすることの意味とは。ミニフィールドワーク振り返り、全3回の最終回です。

クリエイティブになるトリガーとしての「地域」

高嶋 各務さんの場合は、企業に所属していますが、自らの思いにそって行動していますよね。ですが、都心の企業に務めるビジネスマンの働き方はそうではなく、毎日通勤と帰宅の繰り返し。今回のプロジェクトも今のままでは企業が衰退するだけなのではという考えからスタートしたプロジェクトです。各務さんは企業という人の集まりをより良くすると言う点で、どんなことを考えていますか。

各務 やっぱりオフィスで働かなくてもよくなっているというのは、職種にもよりますが、増えてきたと思います。

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西陣織の素材である箔の端材をリサイクルしたハンドバッグが並ぶ

僕はいま京都にいてもなお、週末は祖母の家がある福井の山奥に帰ります。まるでトトロの家のような山のなかにあるんですが、週末はそこで過ごします。向こうは集落で本当に何もない。家も10軒ぐらい、高齢者ばっかりで。でも、向こうに帰ったほうがクリエイティブになれる。アイデアが浮かんだり、良い企画書が書けたり、本読んだり、落ち着いてできるんです。

よく言われることではありますが、企業もより価値を発揮したければ、地域暮らしのなかで企画をするようなプログラムがあってもいいと思います。都市のなかで忙しく疲れている人も多いとおもうので、あえてそういうプログラムで創造性を生むことを応援するのも、おもしろいのではないでしょうか。

高嶋 都市だけでなくひろく外に出て、俯瞰して働き方を見直すことによって、よりよい成果を生み出せる。それをまた都市に持ち帰って、イノベーションを起こしたり、良い企画をつくるきっかけにする。何かしらのきっかけとして、地域は良いトリガーになっているのではないでしょうか。

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400年の歴史を持つ朝日焼が開発した日常使いの食器

各務 京都がやっぱり豊かだなと思うのは、人のつながり。うっとうしいものではあるとは思うんですけど、とても安心できるものだと思うんですよね。

価値を生むとき、何か自分の想いやプロジェクトを実現するときにポイントになるのは人との繋がり、ということかなと思っています。京都では誰かに相談すると、すぐにその道の一流の人を紹介してもらえるというのがあって、話がすぐ伝わるサイズのまち特有のものだなと思います。

「伝統という歴史」そのものが持つメッセージ

高嶋 GO ONプロジェクトをやっていて、各務さん自身にどんな変化が起きましたか。

各務 たくさんありますね。特に「“人間”が大事だと思うようになってきた」こと。「伝統工芸を復興したい」って誰でも言えるんですが、その言葉が本当に迫力をもつか人を共感させられるかは、結局ロジックではなく“人間”の勝負になってくる。特に、海外の王族や富裕層の方にお会いすることがありますが、やはり彼らはそこしか見ていないなと感じました。

Japan Handmade
Japan Handmade 公式ページ

そもそも名刺交換をしないので、それでどう信頼いただくか、さらにどう信用してもらいお付き合いいただくか。自分はまだまだ空っぽだなと痛感させられます。

高嶋 王族とか会ったことないので想像がつかないですね(笑)。具体的にはどんな方なんですか。

各務 最近Japan Handmade(編集部注:GO ONプロジェクトで生まれた海外向けプロダクトブランド)のお客さまたちは、多くがそういう方々です。それこそ「大人買い」じゃないですけど、「この部屋全部ください」とか、そういう感じのお客さまが多いです。

王族関係者は、「京都」だからではなく「これから地球に残さなくてはいけないもの」という視点で見るんです。素敵だなと思ったのが、ヨーロッパにある靴ブランドのオーナーさんが来た時の買い物の仕方です。プロジェクトパートナーである400年続いている宇治の窯元へ一緒に訪れて、「娘の誕生日プレゼントを買いたい。それを一緒に選んでほしい」と言われたんです。

でも、よくよく話を聞くと、その娘さんが3歳と5歳で「その子たちが20歳のときにあげるものが欲しい」ということでした。大人になったときに、地球に残さなくてはいけないものを子どもたちには伝えたいから、そのときにプレゼントするものが欲しいということだったんです。

高嶋 と言うことは、およそ約15年後でも残っているものということですね。

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各務 その背景を少し考えてみると「ものの背景にある物語」というか、「400年続いて、今もこれからも続いていく」という事実を娘に伝えたいから、プレゼントをしたいということなのだと思います。常に“人間”を重要視している彼らと関わる上で求められるのが、誰がつくっているか、あなたはなぜこのプロジェクトをやっているのか、根本を求められていると感じています。

GO ONプロジェクトは、「仕事」、「ワークスタイル」という枠を飛び越え、「各務亮」という人間そのものが問われると話す、電通 京都営業局の各務亮さん。京都という地域のなかで、守られた文化に新しい風を送り込み続けるには自らの仕事を俯瞰する瞬間がやはり必要なのではないでしょうか。

フィールドワークを振り返ったのち、第2回のダイアローグを実施しました。そこでは「やるべき仕事」と「やりたい仕事」のバランスをどう取るかに参加者の関心が集まりました。

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