UXで考えてみるプロジェクトー私たちの生活と伝統工芸の関係性ー

【UXで考える伝統工芸1】私たちがUXで伝統工芸にチャレンジする理由

2015年12月21日



【UXで考える伝統工芸1】私たちがUXで伝統工芸にチャレンジする理由

みなさま、はじめまして。プロジェクトメンバーの岡田 一志です。
2015年11月、UX(ユーザー体験)で考えてみるチャレンジの第一弾、 UXで考える伝統工芸の取り組みがはじまりました。

これまで私たちは、ICTを中心としたUXを考えてきました。たとえば、個人商店で使用する販売管理システム。店員の方々との対話から「頼られ続ける店でありたい」という目指す姿を抽出し、必要な機能やユーザーインタフェースをデザインしたことで、店員の方々が使いたくなるようなシステムを提供することができました。

私たちはUXを考える際に、単に使いやすいものをつくるのではなく、日々の生活で継続的に使われていくことを心がけています。そのためには、使う人の気持ちをしっかりと考え、これからの人とシステムの関係性を俯瞰的に捉えることが大切です。この考え方は、ICTに限らず、社会のさまざまな問題を解決できると感じており、その可能性を実証したいと考えていました。

そんなときに出会ったのが、石川県金沢市で手染めを生業にしている染元平木屋です。およそ260年の歴史をもつ伝統的な染元である平木屋は、のれんやのぼり、獅子舞の蚊帳などをオーダーメイドで製作しています。昔はたくさんの製品が手染めで染められていましたが、印刷技術の発展で工業化や均一化が進み、職人が一品一品を染める染元は現在、全国的にも珍しいそうです。私たちは、平木屋の次期当主、平木良尚さんと対話を重ねるうちに、お祭りなどの伝統行事の減少、生活様式の洋風化などの影響により、人々と伝統工芸の関係性が失われつつあることが、手染めという伝統技術の衰退につながっていると強く感じました。そして、人々と伝統工芸の関係性を、UXでなんとかしたいという想いが芽生えてきました。

平木良尚さん(中央)と話し合う富士通のUXプロジェクトメンバー。右が筆者
平木良尚さん(中央)と話し合う富士通のUXプロジェクトメンバー。右が筆者

特に共感した話が“のれん”のエピソード。石川県では、実家の紋を入れたのれんを嫁ぎ先の仏間の入り口にかける風習があります。しかし、今の若いカップルはのれんを使わないことも多いそうです。あるとき、夫婦の趣味をのれんの柄にして結婚式の列席者を出迎え、結婚式が終われば夫婦と両家の両親で3等分して持ち帰るという新しい使い方をされました(上部写真参照)。これは、結婚式という晴れの場に合う手染めならではの風合いと、人々を迎えるというのれんの意味を大事にしているとともに、柄や使い方は夫婦の生活様式に合わせられています。良尚さんいわく、「だから、職人としても納得のいくものだった」とうれしそうに話されていたのが印象的です。これが私たちと伝統工芸の新たな関係性の1つかも、と感じました。みなさんもそう思いませんか。

今回のプロジェクトでは、最終的なアウトプットとして染元の技術を活かした新しい製品を生みだし、その製品が現代の生活様式にフィットするかどうかの実証まで行えるといいなあ、と思っています。ICTを中心に考えてきたUXの考え方が通用するのか。おそらく通用しない部分もあります。良尚さんは、新しい製品が生まれる予感にワクワクしている一方、実は、私たちは不安もいっぱいです。そんな試行錯誤から生まれる工夫や悩みを含め、プロジェクトの活動については、リアルタイムに「プロジェクト」で報告していきます。

UXで考える伝統工芸プロジェクトの2015年度スケジュール(予定)<UXで考える伝統工芸の取り組み> 2015年度スケジュール(予定)

まずは、手染めの良さを探るワークショップを12月に、現場のニーズを探るフィールドワークを1月に実施予定です。ワークショップには、富士通グループのメンバーはもちろん、百貨店の方、学生など多様なメンバーが集まり、手染めの良さを活かしたアイデアを発想していきます。さて、鬼がでるか蛇がでるか。ご期待ください。


【UXで考える伝統工芸1】私たちがUXで伝統工芸にチャレンジする理由

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