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あしたのコミュニティーラボ編集部のコラムをはじめ、ちょっと一息つける連載記事を更新中。
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企業も、出展者も、子どもも。ものづくりを楽しむ姿がそこにあった

2008年より毎年開催され、今年度は出展者数/入場者数ともに過去最高を記録したとされるMaker Faire Tokyo2014。メディアでも多数取り上げられ、“理系のコミケ(コミックマーケット)”とも称されるこのイベント、会場はまさにコミケさながらの熱気でした。

mft22日間、ものと人であふれた会場内

そのなかで今年とりわけ目立っていたのが、企業による出展です。入り口を抜けるとすぐ目に飛び込んできたのは、Intel、Autodesk、東芝といった企業のブース。それぞれ個人のエンジニア向けの製品を中心に、それらを使った社内の“Maker”による作品の展示、体験教室やワークショップのような企画も多く、かなりの賑わいを見せていました。

Autodeskのブースでは、スマートフォン十数台を連携させて3Dスキャンをする自作装置を披露するかたわら、子どもが参加できる工作ブースを設置。筆者も3歳の娘と一緒に親子でオーナメントづくりをしてきました。大企業が自社製品のPRの場として注目しているとされるMaker Faireですが、このようにものづくりの楽しさを知る場をつくり、カルチャーを育てていくことを重視する企業たちが、このムーブメントを支える重要な要因の1つとなっていくのでしょう。

mft3 子どもの参加できるワークショップブース。写真はAutodeskブース

子ども向けの出展はほかにも多々あり、オープンソースハードウェアを販売するスイッチサイエンス社のKIDSスペース、棒にLEDを付けることで何色にも輝く光るわたあめ、イベントではお馴染みの工房ヒゲキタによる手づくりプラネタリウムと、子どもと一緒に楽しめるものを展示する出展者も多く、それぞれ子どもたちに丁寧に、かつ楽しそうに説明している姿がとても印象的でした。

自分たちで企画したものを、自分たちでつくって、自分たちで展示する

編集部で注目したのは、企業に所属しながら自主的に出展をする出展者たち。それぞれ、プライベートでつくったものや会社の放課後活動、社内の有志プロジェクト、製品化支援など出発点はさまざまですが、「Maker Faireに出したい!」という思いで、たくさんの準備をし、この日を迎えていたのでしょう。

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Kinectでアフロとロボットを認識し、ロボット動作を制御するKinect無双。
あしたのコミュニティーラボにも出演した上田浩さんによる出展

mft5好きな場所の天気を部屋のなかで再現できるtempescope。来年度の製品化を予定

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おしりの圧力を感知するクッション型デバイスでキャラを左右に動かすSIRICON。
博報堂アイ・スタジオのHACKistに所属する茶谷亮裕さんによる出展

筆者も、ネットで見て心躍ったものをこの目で見て、知らなかったものと新たに出会い、そして醍醐味である出展者の方たちとの交流をすることで、その熱量のようなものが伝染し、自分でも何かものづくりがしたいという衝動に駆られました。

新しい知識の習得、ビジネスの機会だけでなく、つくりたくなる、表現したくなる、そんな不思議な影響力を、あの場にいたMakerの人たちは同じように持っていました。

メーカー企業に所属するMakerたちが動き出した

実は、富士通でも有志が集って出展していました。それが、「あしたのものづくり研究会」。2013年度から活動している、有志団体による出展です。個人で作成していたものや、社内のさまざまな部門から集まったメンバーによるプロジェクトで作成したプロトタイプを、初めてMaker Faire Tokyoに出すことに。富士通という名前は出さなくとも、つくったものに興味を持ってもらえて、「一緒に企画したい」という声もあったとか。通常の業務とは異なる自主的な部活動的なコミュニティーが、純粋にものづくりを楽しむだけでなく、仕事の幅を広げるような成長の機会につながっていったようです。

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mft8富士通の有志メンバーによる出展。通常業務から離れて自主的につくったものを展示

このように大手のメーカーに在籍しながらMakerとして活動するという動きが、徐々に活発になってきています。同会場ではトークイベントやパネルディスカッションも行われましたが、そのうちの1つ「Maker × メーカー 2014」では、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授 小林茂さんをモデレーターに、VITRO/品モノラボの田中章愛さん、ソニー株式会社 MESH Projectの萩原丈博さん、ローランドDG株式会社 3D事業部の村松一治さん、Maker Mediaの創始者であるデール・ダハティさんをパネリストに迎えて実施されました。

ここでも、こういった部活動的コミュニティーなところから生まれるイノベーションの可能性、企業内のMakerのこれからについてそれぞれ意見が披露されました。特に、田中さんの「大企業にいながら個人でものづくりをいている人はたくさんいる。それを放課後活動や会社外で行うことに対して良く思われないこともあり、やっていることを言いたがらない人も多い」という発言には他の聴講者からもうなずきが。

続けて、「放課後活動は本業に対してもメリットをもたらすため、もっとアピールが必要」というコメントに、筆者もそういった活動をアピールする場づくりの重要性を感じました。Maker Faireのような場に参加、開催する企業がこれからは増えてくることでしょう。

社内の活動と社外の活動、オフィシャルな組織と部活動的コミュニティー、与えられた仕事と好きなことや趣味の世界──。Makerムーブメントがもたらす影響は、個人によるものづくりを加速させるだけでなく、企業にとってもこういった境界線に対する再定義を迫り、社員1人ひとりのものづくりに対する向き合い方を問うようなところまで来ているのかもしれません。


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