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最先端テクノロジーと創造性のるつぼに、魂を揺さぶられた4日間 ──漢方ICTプロジェクトSXSW探訪記(前編)

2015年06月15日



最先端テクノロジーと創造性のるつぼに、魂を揺さぶられた4日間 ──漢方ICTプロジェクトSXSW探訪記(前編) | あしたのコミュニティーラボ
あしたのコミュニティーラボ編集部の佐々木と片岡です。あしたラボで過去に紹介してきた、北里大学と富士通が文部科学省COIプログラムの一環として取り組んでいる「漢方ICTプロジェクト」が、日本を飛び出し今年3月にアメリカ・テキサス州オースティンで開催されたSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)に出展しました。今回は、前後編にわたって、本プロジェクト出展にあたっての奮闘の軌跡や、SXSWの会場で見つけた新しいイノベーションの種をお届けします。

テクノロジーとデジタルクリエイティブの祭典「SXSW」

SXSWは毎年3月、10日間にわたり開催される音楽・映画・インタラクティブを中心とした世界最大級のカンファレンスイベントです。昼夜を問わず、まち全体でエネルギッシュに開催されるイベントやライブの参加者はおよそ8万人。インディーミュージックイベントが発祥のSXSWは、近年インタラクティブ枠が設けられ、最先端テクノロジーが集まることから「スタートアップの聖地」とも呼ばれています。

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SXSW 開催中のオースティンのまち

有名人や有識者をはじめ、テクノロジーやクリエイティブの関係者がオースティンという片田舎に一堂に会するイベントは、経済効果、地域の知名度向上にも巨大なインパクトを持っています。

世界にKAMPO ME!は受け入れられるのか?

今回は4日間にわたり、「KAMPO ME!」のプロジェクトメンバーである富士通研究所のエンジニア ミイ、富士通総研の佐々木、片岡の3名がインタラクティブ部門のトレードショーに挑戦しました。

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(左)すでにSXSWの空気感が漂うオースティン空港
(右)空港に降り立った筆者

開催場所は、オースティンコンベンションセンター。近年はアジア勢の出展も増加し、特に今年はブース全体の4分の1近くを日本からの出展者が占めていました。そのなかでも特に大きなスペースを有していたのが、秋葉原でハードウェア・スタートアップを支援するスペースを展開する「DMM.make AKIBA」です。入居企業や多くのスタートアップ、ベンチャーとともにブースを構成していました。小規模の組織で出展するにはハードルが高いのも事実であり、出展の取りまとめをしてくれる団体の存在は出展を望む側からすると非常に嬉しい動きです。

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DMM.make AKIBAブースの様子

ほかに、日本ブースで大きなスペースを占めていたのが「Todai to Texas」と「博報堂グループ」です。前者は東京大学に関連したベンチャー企業がSXSW出展を通じて世界に挑戦するプロジェクト。後者はグループ企業3社4グループが合同で出展。期間中に開催されたアクセラレーター・コンペティションで500社もの競合のなかから、それも日本企業ではじめて「Best Bootstrap Company」を受賞した、次世代型スピーカー「Lyric Speaker」も展示されていました。そのほかにもクリエイティブ、インタラクティブの存在感を強めるプロダクトを多数展示していたのが特徴的でした。

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(左)本体に歌詞が表示される「Lyric Speaker」
(右)手をインターフェースとして使う「フリーハンド・クリック」

私たち「KAMPO ME!」は、話題の指輪型ウェアラブル端末「Ring」と「NASA(アメリカ航空宇宙局)」の間にブースを設けました。

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KAMPO ME!ブース

インタラクティブなトレードショーを体感

漢方のデジタル化をテーマに出展した「KAMPO ME!」は「伝統的な日本文化とデジタルの融合」というコンセプトのもと、印章と基盤をモチーフにしたロゴを掲げ、デバイスのプロトタイプ、コンセプトムービーを中心とした展示を行いました。

「KAMPO ME!」というフレーズは、漢方を能動的に使える社会の実現を願って、漢方を動詞「Kampo」として用い、「Catch me!」「Take me!」などの気軽に利用できるフレーズにしたいと名づけました。「Balancing My Imbalance」というタグラインには“日常生活のなかで自然にImbalance(未病)に気づき、それを漢方でケアすることで健康を維持するしくみを漢方ICTで提供する”という意味を込めています。身近に感じてもらえるようオリジナルのロゴ判子やステッカー、手ぬぐいも準備しました。

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KAMPO ME! オリジナルノベルティの数々

トレードショー初日は人の山。メンバー総動員で対応しましたが、常に満員状態でした。そこでもらった反応は、“cool”“amazing”“fantastic”などの感嘆詞から、「どういうシーンで使うのか?」「いつ買えるのか?」「クラウドファンディングに出ているか?」「投資は受けつけているのか?」など多種多様。医療費の高い欧米という土地柄もあり、来場者は自宅で楽しく簡単に使えるセンサーで未病ケア、というコンセプトに特に注目していたようです。とあるショッピングモールを運営する会社からは、ぜひ自分たちのモールにも置きたいという要望をもらいました。

このSXSW特有の雰囲気ですが、参加者もインタラクション(相互性)をとても重視していると感じました。情報収集をするだけ、見て回るだけよりも自分のビジネスに何かつながらないか、おもしろいものをつくる人と会話がしたいといった、積極的なコミュニケーションを求めている人に多く出会いました。

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私たちの所属していた日本ブースは、ハードウェアを中心としたプロトタイプが多く展示されており、連日たくさんの来訪者や海外メディアでにぎわっていました。さらに、「KAMPO ME!」は近年注目されているデジタルヘルス領域での新たなアプローチ、そして富士通という日本企業と大学の共同プロジェクトが出展したという特殊性もあり、複数メディアから取材を受けました。プロトタイプの参考出展で終わることなく実際のビジネスにどうつなげていくかは、まさにこれからが正念場です。

さらに進化するKAMPO ME!

「日本の伝統医療とテクノロジーを融合し、病気になる前に心身をコントロールすることで健康な社会を実現する」コンセプトが海外でも高く評価されたと、メンバー全員が自信を持つことができました。今回の結果をもとに、KAMPO ME!はさらに進化します。

“技術開発の段階から市場の評価を得る”というアプローチと、海外市場での評価やユーザーニーズを一度に得ることは、プロジェクトとしてはじめての挑戦です。初出展で事前調整などに難航しながらも、結果的に大きな成果を得ることができたことが大きな収穫でした。さらに、今回のアプローチ全体を見ると、企業でイノベーションを起こす際、研究開発から事業化への移行段階で停滞してしまうことを防ぐ手段の1つだと体感することができました。

さまざまな制約のなかでビジネスを行う日本企業が、スピード感や失敗を恐れずチャレンジすることは、ハードルの高いことかもしれません。それでもなお身をもって感じたのは、先が見えないときこそ、第一線の空気を感じること、そのために積極的にビジョンやコンセプトを打ち出し、市場とコミュニケーションをすべきだということです。私たちはすでに来年のSXSWでさらに良いフィードバックを受けるための計画をはじめ、そこに挑戦したいという仲間も一緒に探しはじめています。

後編は、私たちが注目した新しいプロダクトやサービスのほか、SXSW全体の模様をお伝えします。

オースティンで出会った4つのイノベーションの種 ──漢方ICTプロジェクトSXSW探訪記(後編)へ続く

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