「イノベーションを起こす最強チームをつくるには」 ──Fujitsu Forum2014セミナーレポート(1)
生活者主導の時代に求められるビジネスの形 ──Fujitsu Forum2014セミナーレポート(2)
「さくらハッカソン2014」から見えたもの ──Fujitsu Forum2014セミナーレポート(4)
リアルとバーチャルを使い分ける共創のプラットホーム
あしたのコミュニティーラボの柴崎代表が、チームのつくり方のケーススタディとして、当サイトの成り立ちを語りました。あしたラボは『七人の侍』的な共創を目指し、リアルとバーチャルが往還する場づくりのメディアです。
「共創」と「協業」はどう違うのでしょうか。
協業は利益を分け合うことに主眼が置かれます。共創は「共通善」という大きな1つの目的に向かって異質な才能が結集するところに意義があります。共通善とは、『七人の侍』でいえば、村を盗賊から守ること。そのために農民たちと一致団結して戦う。社会のためになる善き価値。それを目指すからこそ、強いチームがつくれます。
あしたラボで取り上げている数々の事例は、そうした共通善を目的として、企業、行政、NPOなど異なるセクターの人たちが各々の立場から叡智を集めて取り組んでいるプロジェクトばかりです。
たとえば青森県の観光クラウド。オープンデータとクラウドコンピューティングを活用して地域の観光資源の再発見をサポートするしくみで、企業と自治体が連携し、埋もれた価値を掘り起こし地域を盛り上げる共通善に向かって新しいサービスを提供しています。
青森県の観光クラウドは、2013年にあしたラボでも取りあげた
共通善を目的とした共創のための場には、リアルとバーチャルの両方をうまく使い分けることが必要。「学び」「働き方」「ものづくり」「まちづくり」といったテーマごとにウェブサイトで共創の先進事例を紹介すると共に、イベントでの共創活動も行っています。
先ごろ開催された「さくらハッカソン2014」では、官民共創の東北復興プロジェクト「東北さくら街道」に関連づけ、さくらをきっかけに東北を訪れる人を増やすアイデア、サービスを考案しました。
共通善という高い目標に向かって挑戦するチームが勝つ
あしたラボは富士通という企業が運営するメディア。「企業のメディア化」が昨今よく促されていますが、うまくいっているケースとそうでないケースの差異は何なのか。柳瀬さんの問いかけに、高松さんがこう答えました。
「企業と生活者の間に介在すれば何でもメディアになる。事業やブランドを伝えるイベントもメディア。コミュニケーションしたい人たちに対して最適な場所に出て行きメッセージを届けられている企業は成功している」
そのメッセージが共通善とすると、異質な人たちが集まる共創の場で、どうしたら共通善をうまく共有できるのでしょうか。湯川さんはこう考えます。
「オープンソースソフトウェアはまさに共通善。これは右肩上がりで増えているのが実態。だとすると、うまく目的を共有できない場合、その目的が共通善ではないから、と考えるべきなのではないか。社会に善き価値をもたらすどんな共通善を目指すのか、まず徹底的に練ることからスタートしてはどうか」
イノベーションを起こす最強チームとは、共通善という高い目標に向かって共創しながら挑戦できるチーム。どうやら明らかな方向が見えてきました。
「さくらハッカソン2014」から見えたもの ──Fujitsu Forum2014セミナーレポート(4)へ続く
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