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オープンデータを駆使する、子ども起業家の育成!? ──jig.jp 福野泰介さんインタビュー(後編)

2014年12月17日



オープンデータを駆使する、子ども起業家の育成!? ──jig.jp 福野泰介さんインタビュー(後編) | あしたのコミュニティーラボ
「つくる人をつくる」を目指して活動する福野泰介さん。さまざまな活動のなかでも、現在鯖江市内で注力しているのは「子ども」と「高齢者」へのプログラミング教育だという。インタビュー後編では、そろばん教室のようなコミュニティー形成を目指したいと話す福野さんが目指す、「ものづくりの土壌」について話を伺った。

“JK”にも開かれた、オープンな鯖江づくり その途中 ──jig.jp 福野泰介さんインタビュー(前編)

オープンデータを駆使する「子ども起業家」を生み出す

──鯖江のオープンデータの利活用に足りないもの、乗り越えなければならない壁はありますか。

福野 アイデアを実装できる人材、「つくる人」が必要です。先進的な取り組みが好きな人々だけが一つひとつアプリをつくっていくだけでは、活動の本質である「市民が主役になる地域づくり」という考えもオープンデータを利活用する活動も広まりません。最近では、アプリをつくれる人を育成しようと、子どもと、おじいちゃんやおばあちゃん、高齢者の方にコンピュータ・プログラムを教える活動をはじめています。
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──またどうして、その両極端の世代に?

福野 高専生にプログラミングを教えたり、高専生向けプログラミングコンテストを開催しているなかで、特に最近、僕らの頃のように「小学生からプログラムを始めて好きになり高専に来ました」という生徒が実はとても少ないと感じられます。彼らの話を聞いてみると、要するに“英語”と同じなんですよ。すごく好きというわけでもなく、勉強しなきゃいけないから表面的に知っているけれど、いざとなると使いこなせない。せっかくものをつくれる、プログラミングという手法を知っているのに、それがすごく残念で。
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プログラミング専用パソコン「IchigoJam(イチゴジャム)」と、小学生が開発した「地中探検ゲーム」

なので、子どもの頃からプログラムに慣れ親しんでもらおうと、福井県のITベンチャー3社で立ち上げたプログラミング・クラブ・ネットワーク(PCN)で子どもにプログラミングを教える教室を開催しています。教材として、最低限の原理原則を身につけられるよう、初心者向けプログラミング言語「BASIC」を使える子ども向けプログラミング専用パソコン「IchigoJam(イチゴジャム)」をつくりました。「$15を目指す、『1(イチ)5(ゴー)』と他のデバイスを組み合わせて、ジャムセッションのように楽しもう」という思いを込めて、この名前をつけています。
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「地中探検ゲーム」。なかにはプログラミングが書かれたカードが入っている

小学5年生の子がハマって、自分でプログラムを打ち込んで遊ぶゲームを開発し、PCNに参画している企業の1つから「地中探検ゲーム」という製品としてリリースされました。

──高齢者の方にはどのようにプログラミングを教えているんですか?

福野 昔のそろばん教室のように、各地に教室がある状態をつくりたいと思ったんです。そして、地元の高齢者の方たちが近所の子どもたちを集めてプログラミングを教えるようなしくみをつくればいい。そこで、鯖江市の生涯学習施設「高年大学」のパソコン部の方々を中心に、IchigoJamを使ってプログラムを書いてもらおうと企画したら、20人くらい集まって、かなり盛り上がりました。

今は、勉強すれば中学生くらいでも普通にスマホのアプリを開発できます。だから、「子ども起業家」を生むところまでいくと、世の中に「プログラミングをやろう、オープンデータを活用しよう」という火がつくかな、と考えていて、それをねらっています。

正直、“オープンデータを使ったビジネス”と聞くとまだまだ市場規模ないでしょ? と、外部の方から言われることが多いんです。だからこそ、子ども起業家がチャンスだと思っていて。子どものなかで流行るものは子どもがつくるべきですよ。大人気のアニメ『妖怪ウォッチ』で遊んでる場合じゃないぞ、大人が用意した箱庭で遊んでて恥ずかしくないのか、と(笑)。

大人がよってたかって解決のための方法を模索していても、結局足踏みしている課題だらけのこれからの社会は、もう子どもたちのまっさらな知恵に期待するしかないのかもしれません。大人ができるのは「武器としてのコンピュータ」というリソースを提供して、能力を思う存分に発揮できる環境を用意することです。

──福野さんはオープンデータが進んだ結果として、どんな社会が生まれたらいいなと思いますか。

福野 ひとことで言うと「自由な社会」ですね。制約があって諦めるのが何より嫌いで、僕自身は自由に生きているつもりですが、みんなが自由になってほしい。たとえ身体が不自由であろうと、どんな山奥に住んでいようが、使いこなせる道具さえ十分にあれば、選択肢は限られません。

そうしたときに、1つの理想環境を横展開できるオープンデータは強力な道具になります。ありとあらゆるものが何でもある素敵な場所を、情報世界で実現するのが「オープンデータ」なのです。

“JK”にも開かれた、オープンな鯖江づくり その途中 ──jig.jp 福野泰介さんインタビュー(前編)
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福野 泰介 ふくの・たいすけ

株式会社jig.jp 代表取締役社長


1978年11月8日石川県生まれ。国立福井工業高等専門学校電子情報工学科を卒業後、有限会社シャフトや有限会社ユーエヌアイ研究所の設立を経て、2003年に株式会社jig.jp設立。世界初のダウンロード型フルブラウザ『jigブラウザ』は当時の携帯電話利用者に衝撃を与えた。現在は、本店のある福井県鯖江市で「データシティ鯖江」や「Code for Sabae」などの活動のほか、子どもや高齢者向けのプログラミング講座を展開。高専卒業生として、全国の現役高専生へのサポートも行っている。


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