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「2017年3月」の先にある浪江町の未来像 ──浪江町タブレットを利用したきずな再生・強化事業(3)

2015年03月02日



「2017年3月」の先にある浪江町の未来像 ──浪江町タブレットを利用したきずな再生・強化事業(3) | あしたのコミュニティーラボ
浪江町役場の小島さんと陣内さん、CFJの関さんと高木さん、そしてフェローとして役場に勤める吉永さんと小俣さん。彼ら6名のほか、プロジェクトメンバーと浪江町民の思いが結集されたタブレット端末は、2015年1月末、いよいよ配布されることとなる。今回は、その第1弾としてリリースされた3つのアプリを通じて今後どんな価値を提供していこうと考えているか、改めて6名に話を聞いた。

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まず欲しい情報をわかりやすく伝えること

2015年1月末から配布がはじまった浪江町のタブレット端末。そこには主に「情報を伝える」「交流する」ことを目的としたアプリケーションが3つ搭載された。「なみえ新聞」では、浪江町や福島県内のローカルニュースを新聞やテレビの情報をピックアップし配信する。高木さんらが町民へのヒアリングで気づきを得た「おくやみ情報」はこのアプリでカバーされている。「なみえ写真投稿」では町民が自ら写真投稿し町民同士で近況を報告できる写真アプリだが、どうやったら写真を高齢者でも簡単に送ることができるのかヒアリングを重ねた。
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浪江町きずな再生事業の流れ(取材内容を元に編集部作成)

「なみえタブレット道場」は、タブレットの扱いに慣れていないユーザーを想定して盛り込んだ動画配信アプリ。「検索してみよう」「LINEの友だち登録」といった内容で、端末にある他の機能の使い方を教えてくれる。ちなみに動画に登場する師範はCFJの矢吹博和さん。浪江町役場の小島さんも門下生として登場する。これらのアプリに新聞、道場といった名称を入れたのは「わかりやすいメタファーを入れることで、誰にとっても『何ができるのか』を明確にするため」と、フェローの吉永さんは説明してくれた。


なみえタブレット道場
当地の請戸(うけど)地区から名前が採られたご当地キャラクター「うけどん」がタブレットトップに登場。ユーザーに話しかけるなどして親しみを持ちやすくする工夫も行っている。「放射線量アプリ」など、今後もアプリの更新を予定している。

なぜ「行政×民間」がうまく機能したのか?

2014年4月のプロジェクトスタートから10カ月。タブレット端末はいよいよ配布まで漕ぎ着けたわけだが、ここまでプロジェクトがうまく機能したのは、行政と民間事業者が信頼できる関係性を築いたところが大きい。
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(左から)Code for Japan 代表理事 関治之さん、副理事 高木祐介さん

調査段階から現在までコミットしてきたCFJ高木さんは、浪江町のプロジェクト以前にも公官庁調達に多く携わった。そんな高木さんの目からみて浪江町役場には「前向きな行政担当者がいることに驚いた」という。「行政の政策ではモチベーションの高い人材を集めるのはたいへんなものですが、クリティカルな問題を取り扱っているなかで、とんがったアイデアがたくさん出てきた。その意味では、僕自身たくさんのことを気づかされました」。

一方で関さんも次のように補足する。「小島さんや陣内さんは、全方位を見て『不利益を被る人がいないかどうか』を確認してくれる。そこにわれわれみたいな『外の目線』で物事を見つつ、提案できる人材が加わった。行政の人と本気で話し合いながら、落としどころを見つけられたことは、ものすごく勉強になりました」。
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(左から)浪江町役場復興推進課 小島哲さん、陣内一樹さん

公共事業の調達では、公平性が担保されていなければいけないという点で、行政担当者の役割がそのプロジェクトの成功に大きく関係する。民間事業者がいくら「どこまでもオープンにしていこう」と言ったところで、町の合意を得られなければできないことはあるし、場合によって「外様に好き勝手やらせるな!」との声が内部から挙がることも推察できる。それまでの行政プロセスを守りながらも、CFJの提示する新たなフローを実現すべく、常に解決法を探り、町のキーマンの合意も得て、たとえ断られてもチャレンジする。小島さんや陣内さんがそんな役割を果たしたからこそ、プロジェクトは円滑に進んだ。CFJの2人は「我々の言葉を町内の言葉に変換してやってくれた」と口を揃えた。

いずれは「住む人がつくる」かたちへ

一方で浪江町役場の小島さんは「オープン調達のおかげで、ランニングのコストも減らすことができた」と話す。本事業は「調査」「システム設計・開発」を経て、現在「運用」「通信」の段階に進んでいるが、小島さんたちは、浪江町の想定する帰町開始時期である2017年3月より先も見据えている。
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浪江町役場 二本松事務所正面

「帰町開始時期を過ぎれば戻りたい人は戻ってくると考えていますので、本事業もそれまでは続けていくつもりです。しかし、復興の財源が厳しくなるなか、続けるにも検討が必要です。ランニングコストを抑えられるのであれば、来年も再来年も町が単独で運営できるようになるかもしれない」とのこと。そして、フェローの2人も「いずれは事業運営を福島のコミュニティーの人に譲り、地元の人が地元の課題を解決できるようバトンタッチしたい」とCFJが目指す「ともに考え、ともにつくる」を体現していきたいと話す。

避難先で住み続けたり、自立再建を目指したりと浪江町民の事情は人それぞれだ。しかし「町からの情報を発信し、町民の絆を維持していくことは、事業としてずっと続けていく必要がある」と陣内さん。その思いは、立場も故郷も異なる6名全員から感じ取ることができた。

浪江町が挑む“町民のための”タブレットづくり ──浪江町タブレットを利用したきずな再生・強化事業(1)
770の町民発のアイデアを「8つの機能」に凝縮 ──浪江町タブレットを利用したきずな再生・強化事業(2)

本プロジェクトは3月末に正式ローンチしました。その時、利用者である町民からはどんな反応があったのでしょうか。プロジェクトローンチ後の様子はこちらからご覧ください。

関連リンク
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